後日談にかえて、メモ
世界観、各登場人物の背景、その後など、様々なネタバレあります。ご注意ください。
書きなぐりに近いメモですが、もし面白いと思っていただけるなら、と、ここに置きます。
ネタバレがありますので、ご注意ください。
なお、もし続編や後日談などを書くことになったときには、引き下げる可能性があります。
よろしくお願いします。
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王子
20代後半。イケメン。
大国の世継ぎとして、正しく育ち、聖女に対しては常に紳士。
ただ外交も上手く、連合各国内での勢力はきっちりと抑えていることから、一筋縄ではいかない人物と分かる。かなりの駆け引きを経て、聖女の身柄を確保したのちの帰還だったため、政治的には大きな損失を被ったわけだが、シェリーの身柄をしっかりと王都近くに置くことで、優位を確保した。聖女の帰還が、旅の仲間の面前であったことに、安堵している。
聖女のことは異性としても魅力的であり、政治的にも王妃として大変有効な人選と思っていたが、そこに執着することはない。常に、多くの選択肢を確保し、冷静に判断できる。
また、その性質のため、勝手をしてシェリーに張り付いていたレードを、そのまま沙汰無しとした。それは、選択肢を増やすため以外に、自分を盲愛する弟を一抹の不安はあれど、疑いきれなかったのだと思われる。ずっと王宮に閉じ込められていた弟の、遅い自立の第一歩として甘く見てしまった可能性もある。
この後、この点を唯一の失策として批判を受け、その地位を守るために苦心する。自身も反省するが、同時に体を損なったレードに対する負い目もあり、一生弟を離宮にて養う。
シェリーと柱神に対しては最大限の謝罪と、様々な融通をはかり、友好的な関係を築いた。聖女の力がシェリーに戻ったことは、為政者の間での極秘事項として取り扱われ、民間には、逸話として徐々に浸透させる政策をとった。よい治世を築き、国内外での立場ものちに挽回し、賢王と慕われた。
レード
10代後半。美少年。傲岸なふりをした、残念な子犬。
兄王子が優秀かつ頑健であったこともあり、歳の離れた下の王子として甘やかされ、王妃の手元から離してもらえずに、こじらせた。世界の窓は、兄王子のみ。兄王子こそが、優れていて賢くて美しいものであり、世界的に誉め称えられるべきと思っている。
ある意味、兄王子の努力を正しく知っていて、それを当然とする周囲が許せない。今回の戦も、兄王子の功績が大変大きく、その当然の報酬として、聖女を王妃として王子に沿わせるべきと信じた。
王妃も心の底ではそれに同意していたために、初めてのお使いに出してしまう。
結果、レードは手足の自由を失い、王宮内とはいえ隔離して養われることとなり、王妃は兄王子に対して実の息子ながら冷たいとなじるようになる。さすがに、聖女と柱神への不敬はまずいことは王妃も分かるので、間に立つ兄王子が矢面に。
隔離後は、思うままに走れず馬にも乗れない足と剣を振るえない腕で、唯一自由となる書物に没頭し、その世界を広げ、文才を開花させる。匿名でいくつも重要な歴史研究の書物を執筆し、また甥姪に乞われて童話も書いた。優しくも力強い世界観をもつ童話は、聖女すら涙するほどであると、世界的に讃えられるようになるが、頑に正体を明かさず、比較的若くに没する。
ベルノー
王妃が、彼女の乳姉妹が病で若くして亡くなった際に引き取り、慈しんで育てたその息子。武術に秀で、寡黙で忠実であることを見込まれ、レードの見本となってやってほしいと王妃に願われ、側仕えとなる。
レードの世界が狭く、いまだ幼い精神であることはよく理解しており、脅かさずに、少しずつ育っていってほしいと願っていた。本人は、護衛のつもりであり、分を弁えようと考えたため、強く諌めることはせずにいた。
聖女に対する敬意は強かったが、板挟みとなり、シェリーは聖女の失われた依り代でしかないことを免罪符に、レードの行動を見て見ぬ振りをしていた。そのつけは、レードに返って来たため、その後一生、悔いに身を焦がして生き、妻帯もせずにひたすらレードに仕える。
レードの死後、彼の童話を読み聞かせるために国内の各地の孤児院を廻るうち、辺境の孤児院に骨を埋めることになる。その孤児院を細腕で守っていたある修道女と、清らかな思いを交わし合っていたと言われるが、誰もその真相は知らないまま。
とある国
病床にあった国王を、魔素使いが唆して大陸制覇に乗り出したが、連合軍の前に敗退。その精神的衝撃により、国王は絶命。魔素の源として酷使されていた少年(柱神の仮の姿)は救い出され、主犯の魔素使いは断罪された。その後、各国の分割統治となったが、労力の割にうまみが少なく、なし崩しに手を引かれ、群雄割拠の内乱状態になり、国民は悲惨な状況に陥った。
混乱に乗じて神殿の過激な一派が、神殿統治の国を作ろうと画策するが、ある夜、不可思議な雷が数十回とその拠点に落ち、一晩にして瓦解。その後、民衆が選んだ代表による統治が始まった。同時に国内で世界的に珍しい薬草の栽培が確立され、百年の時をかけて、医療国家となって行く。その背後に、聖女や柱神の意図があったはずと、後世まことしやかに囁かれる。