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09 身体強化 2

農家らしい庭先についたら庭で両刃の剣を振るガタイの良い人がいて子供に何か教えていた。


「やあ栗原君、今日は早いね。でそこの彼は誰?」


「やあ、彼は俺達の後輩の修君だ。この前、魔法について話していいか了解を貰っただろう。それで連れてきた」


「初めまして、神尾 修です。本日はあなたが使っている魔法について伺いに参りました。宜しくお願いします」


「あぁ、弟子入りの件だな。許可するよ。先に言っておくけど弟子入りしないと話さないからな」


「はぁ、分かりました。それでどうすれば良いんですか?」


「いや、分かればいいんだ。それで週1回はここに通って鍛錬するように!話は時間が空いたらするよ。今は子供たちの鍛錬を見ているから待っていて」


師匠が子供たちの相手をしている間は岸先輩と暇な時間を共有する。


「なんか簡単な弟子入りでしたね。何もしてないけど良いんですかね」


「私の時もこんなものだった。要は返答に嘘が無くて弟子入りする動機があれば問題ないみたいだな」


「魔法の話を聞きたいだけでもいいんですかね?」


「問題ないと思うよ。ただ1ヶ月は体験しないと聞くだけでは分からないと思う」


「では、沃土を連れて来るなら1ヶ月以後にします。魔法の効果が確認できた後の方がいい」


「そうだね。ああそろそろ終わりそうだ」


天谷師匠が子供たちの指導を終えてこちらに遣って来た


「それで修君は俺に何が聞きたいの?」


「体を頑健にかつ俊敏に動けるようにしたいのですが天谷師匠の魔法で可能ですか?」


「どの程度の話か分からないからそれは後で君をチェックしてから答えるよ。それだけ?」


「半年ほど掛かると聞いたんですけど何か他に即効性のある魔法は知りませんか?」


「一時的な話であればリミッターを外せば力が上げれるけどこの魔法はみんな知っているよね。でもこれは体が出来てないと怪我をし易いから日常的に使うことは今のところお勧めしない。魔法で筋肉を身に着ければ頑健には出来るけど俊敏に動くとなるとお勧め出来る方法ではない、でも今の君の体つきなら少しぐらい筋肉をつけた方がましだな。魔法で筋肉を着けてみるかい?」


「どちらも考えて目的に合致しないからと使うのを止めた魔法です。」


「まぁ、適切に使用すれば有用な魔法なんだけどね。不適切に使うと怪我をしたりホルモンのバランスを崩したりするので素人判断でやらないようにしてね」


一時的にリミッターを外して身体能力を上げたり、筋肉を増強したりする魔法は薬を使って身体能力の向上を図ることに似ているのでドーピング魔法とネットでは呼ばれている。

紛争地域では既に当たり前に使われていて即効性があるから軍関係やスポーツ関係の医療研究者が注目している。


「時間は掛かるけどじっくりと体を造った方がいいよ。今は気の鍛錬も魔法で効率的にできるからね。昔の武術家の修行に比べたら格段に短い時間で済むんだよ。この魔法で体がある程度出来たら魔法を併用した武技の修練を進めればさらに強くなる。半年は君の目的には必要な時間だと考えた方が良い」


「分かりました。半年間で体が出来るまでは今考えている実験は棚上げします。高校生の間に実験に掛かれるかどうかですね。仕方がありません」


「えーと実験て何?何するの?」


「魔法を使って生身で自由に飛びたいんですよ。ボールに乗って飛べるようにはなったんですけど元々は生身で飛ぼうとしていたんです。生身だと危ないからボールで防護することにしたんです。体を鍛えれば生身である程度は安全に飛べるようになるのではと考えてこちらに伺ったんです」


「危ないよ。人の体は飛ぶようには出来ていないから空中でバランスが取り難くて不安定だ。空中で安定させるとしたら砲弾の様に自分を回転させるくらいか。でも砲弾の様に飛びたいわけではないよね」


「だから最初は地面から少し浮いて滑るように動ければと考えているんですけどね。」


「それぐらいなら俺も短い距離であれば遣れるよ。ただ飛ぶといった感じではないな。相手の懐に飛び込むとか、空中で動いて位置を変えるとかだね。魔法を使うと不自然で意表を突いた動きが出来るから戦いでは結構有効なんだ」


「それは今のこの私の体でも出来ると思いますか?」


「俺が使ってる魔法そのままでは無理だな。俺の体は耐えれるけど君の体には負荷が大きすぎるだろう」


「やはりそう思いますか、危機回避のためにも体を造らないといけませんよね」


「じゃあ、体をチェックしようか。ちょっと体を障るよ」


天谷師匠は俺の背中に手を当てて魔法を掛けて調べ始めた。


「反応があるから能力の向上の余地はある。一通り刺激しておいたから来週から少しづつ調整しようか。修君は何か運動はしてるかな?毎日、軽くでいいから体を動かした方が魔法の効果が体に馴染むんだよ。当面は30分ぐらい歩くだけでもいいんだけど」


「休日以外は魔法の実験でボールに乗って飛んでいるので大丈夫です。休日は犬の散歩をしているから大丈夫かな?どうでしょうか」


「それでいいよ。来週の様子を見てから判断しようか」


運動量に特に問題はなかったので俺は毎週通い続けた。

俺が魔法の効果を自覚したのは、4週通った時点で明らかに視力が上がったからだ。


「天谷師匠!なんか視力が上がっているんですけど、魔法の効果ですか?」


「そうだね。視力も上がるよ。他の能力も向上しているはずだけど少しづつだから分かりにくい。明らかに悪かったところが良くなれば気が付くけど。元々日常生活に支障が無かったところは気が付きにくい」


俺は魔法の効果の裏付けが取れたので、予定通り沃土に報告して連れていくことにした。


「沃土が胡散臭いって後回しにしていた武術の師匠に弟子入りしたんだけど魔法の効果は確認できたぞ!週1で魔法を受けていたら視力が上がって眼鏡がいらなくなった。沃土も弟子入りしたら?」


「魔法についての話は聞きたいけど弟子入りをする気はないぞ?」


「いや師匠は弟子入りしないと魔法については話さないと言っていたから直接話をしたかったら弟子入りが必要だ」


「ふ~ん、一寸面倒だな。弟子入りには何か条件とかあるの?」


「嘘を付いてなくて弟子入りする動機があれば良いみたい」


「じゃあ良い機会だから会いに行くか。弟子入りするかどうかは会ってから決めるわ」


沃土はその日のうちに天谷師匠に弟子入りして魔法についていろいろ聞いていた。

俺は傍で聞いていただけなのだが色々新しい話が聞けた。


師匠は神様のことを魔素生命と呼んでいて、その正体は意識のある自立した魔法回路なんだそうな。

そして魔素生命はある程度高等な生物種には基本的に1柱いて、その種の個体の体験情報を個体が死ぬまで蓄積し続ける。

魔法の一種だから人は新しい魔素生命を創って集団を群れとして纏める為に使うことができるそうだ。

話を聞いて神様と呼ぶ中に人が作った魔素生命もいて繋がっているのに気付いた、人・犬・猫等の神様には気付いていたけどたくさんいるから俺は人以外の神様とかはあまり気にしていなかった。


俺達が体を造るために受けている血筋を整える魔法は科学的に言うと遺伝子情報内の顕在化する情報と潜在化する情報を選別して固定化する魔法なんだと、だから遺伝子にない能力は発現しない。

この魔法の具体的な方法については「魔法を最後まで受けて体験した方が習得が速いので教えるのは後で」と言っていた。

武術で使う魔法については、体を造って技を教える段階で順次教えるそうだ。

あと武術を修練する過程で魔法を使って気の鍛錬を行い生命エネルギーを強化するので意力が上がり魔法が使い易くなるらしい。


俺はボールに2人で乗って飛ぼうと魔法を使ったときに同乗者が飛ぶことを嫌がっていたら魔法を行使し難く感じていたのでこの感覚が正しいか聞いてみた。

「魔法は魔法回路で擬似物力を造って世界に押し付けて世界を騙す行為なので騙すことを嫌がる存在が近くに居れば世界を騙しにくくなるのは当然」との答えだ

だからファンタジー小説にある攻撃魔法のファイアボールとかは人にはまず利かないそうだ。

師匠が言うには

「世界を騙すのは魔法を行使する対象への認識が深いほど遣り易い、即ち対象が遠いほど認識があいまいになり世界を騙すのが難しくなる」

「そして対象に人が含まれる場合は相手の方が対象に近いのだから魔法を破壊することも容易で世界を騙すのは更に難しい」

「また、生命は個々に生命エネルギー場を持っていて、その生命エネルギー場は生命の周りを取り囲むように魔素の流れを整えていて生体魔法回路を形成して保持するのでそこに他者の造る魔法回路は形成し難い」

「生体魔法回路を形成している生命は生きているただそれだけで魔法で騙し難い、意識を持った生命の成体は故意に魔法回路を破壊することも可能なので更に騙し難い」

「魔法のファイアボールは擬似物力であり偽物の火なので対象が騙せなければ効果はない」

「因みに弟子入りの意思を聞き了承があるだけで魔法を使う事への承認となり、血筋を整える魔法を掛け易くなる。相手の承認で騙し易くなる訳だ」

「仮に小説にあるファイアボールに近いことをやるとしたらまず可燃物を用意して魔法で着火した後に操作して相手にぶつければ同様の効果が期待できる。でもファイアボールが相手にぶつかる前に相手の魔法で操作されるだろうな」

「そもそも世界を騙すためには世界の法則に沿った擬似物力でなければ騙すことはできない。要はあまり荒唐無稽なことを考えても世界は騙せない。でも荒唐無稽に思えても世界の法則に沿っていれば世界を騙せる可能性はある」

「世界の法則に沿っていても個人で魔法回路に出来ないものは無理だ。魔法回路にさえできれば魔法として発動する。ただし、魔法が成功するかどうかは分からない」

とのことだ。

天谷師匠がこれらの知識をどうやって得たかと言うと行方不明の間に彼の師匠にあたる人から魔法や武技を教えてもらう過程で得た知識だそうだ。

でもねそれは変なんだ天谷師匠が行方不明の間は沃土が以前言っていた様にあの日の前だから地球上のどこにも魔法を使える所なんてなかったはずなんだ。

天谷師匠が嘘をついていないのは確かなので俺は『変だけど嘘はついていないから事実なんだろうし魔法は本物だしまあいいか』といったところだけど沃土は色々突っ込んでいた。

天谷師匠は「その話はもう少し信頼関係ができてから」と言って話を打ち切った。


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