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52 日本の難民問題

満州の瀋陽奪還戦後、シナの軍閥は満州のシナへの侵攻を恐れていた。

満州側にはその気がなくてもシナの軍閥は満州に侵攻する気なので対抗上そうなる。

このためシナでは内戦が一時的に収まって軍閥同士の離合集散が活発となった。

朝鮮族が満州に一方的に負けたのを知ったシナの軍閥の再編が始まったのだ。

この様に軍閥同士の離合集散の為に内戦が一時的に収まることはシナではよく有って大体は戦争準備のためだったので今回も同じだろう。


今迄と違ったのはそれまでは従順であった少数民族までもがシナからの独立を画策し始めたことだ。

以前から周辺国からの工作は有ったのだがシナに対する恐怖か憧れか中々シナから離れなかったのが満州と朝鮮族の在り様を見て考えが変わったらしい。

まあ、よく今迄考えを変えなかったものだと捉える向きもあるけど西洋の植民地支配と同じで長い間支配されると当たり前になって離反も思いつかなくなる事も人にはあるのだ。

シナの支配はそれよりも長かった訳だからそれだけ時間が掛かったと言うことだろう。


シナの呪縛はそれ程強い、朝鮮族はとうとう抜け出す事は叶わなかった。

いや逆に朝鮮族は抜け出す気も無く自ら深みに嵌っていった。

今では高麗半島も国も失ってシナの朝鮮族だ。

一時は遼寧省を占領してホルホルしていたのになぁ。

あぁ、そう言えば済州島と小さな島々は残っていたな。

今では国名を千年以上前の耽羅に戻して朝鮮族とは決別してしまったけどさ。




軍閥再編後のシナでは共同して満州に当たるのかと思いきや、やはり軍閥同士の内戦が再開されて北京軍閥も満州からの侵攻を恐れながらも内戦に突入した。

なにせ緩衝地帯のつもりだった朝鮮族の領域は全然当てにならない事が先回の戦闘で暴露されていたから恐れるのは当然の事だな。

それで暫くは朝鮮族を満州側の前線に追いやって戦線を保持していた。

北京軍閥は満州が圧倒的な軍事力を保持しながら侵攻しないのをみて何らかの制約が有って攻め込むことが出来ないものと判断しそれが何かを探っていた。

実のところは満州政府が朝鮮族をこれ以上抱え込むことを嫌がっていて何か良い方法がないか検討するうちに機を逸していただけであった。

満州政府内部では緩衝地帯なんて設けずに勢いに乗って遼寧省を一気に奪還すべきであったとする声が上がっていた。

後悔先に立たずってやつだ。


日本人の多くは満州が遼寧省を一気に奪還した場合には朝鮮族の難民が増えていたと考えていたため現状はベターなものと判断していた。

その頃にはまだ海軍もあって海路で逃げ出そうとした朝鮮族もいた。

そして高麗半島に向かった艦は満州軍に沈められた。

大半は北京側に逃げて北京軍閥の傘下に入ったんだけど満州が遼寧省を一気に奪還していたら逃げる所がなくて高麗半島に向かった可能性が高く、そうなると日本までくる可能性は充分にあった。

幸いな事にそうはならなかったけどそうなったら艦を沈める手間は掛かるし国内では馬鹿が騒ぐしで面倒であった事は間違いない。

それが今ではシナの朝鮮族なんだからシナの軍閥に上手く押し付ける事が出来た訳だ。

それで日本はさらにその流れを推し進めようと工作をしていた。

「満州は半島の制圧に手間取っていてシナ側にこれ以上注力する余力はない」とか「満州の精鋭部隊にいつまでも朝鮮族の相手なんかをさせておくわけにはいかない」とか「ロシアとの国境の防備の方が重要で精鋭部隊を優先して配備している」とかの情報を北京軍閥に流していた。

日本は北京軍閥が南から攻められている事は掴んでいたから侵攻する様子の無い満州との戦線に兵力を必要以上に張り付けるのは無駄と判断するよう仕向けたのだ。

上手く行けば手駒の朝鮮族を南の戦線に回すだろうと。


こんな時期に満州側は見るからに兵力を減らして前線から後退させた。

満州側の最終的な狙いは遼寧省の残りの領域の奪還だ。

考えている奪還までの筋道は二通りあって、一つはこちらが手薄だとみて北京軍閥側が攻めて来たら一気に遼寧省の残りの領域を奪還する。

もう一つはこちらが手薄になったのに合わせて北京軍閥側が前線に張り付く兵を減らしたら時期を図って遼寧省の残りの領域を奪還する。

満州側としてはどちらでも良いのだけど普通は二正面作戦はとらないから余らせた兵を現在戦闘中の地域に回す方を選ぶ。

何もせずに現状維持を選ぶ可能性も有ったけどそうならない様に兵力を減らして見せた訳だな。

あまりにもあからさまなので日本政府は上手く行くのか訝しんでいたのだが……

で北京軍閥はどうしたかと言うと対満州向けの朝鮮族の兵を減らして余った朝鮮族の兵を南の戦線に回し始めた。

そして減らしたままでは不安だったのか朝鮮族の兵を補填するために徴集を始めた。


ここまでは良かった。

シナの朝鮮族が北京軍閥に完全に組み入れられてシナの内戦に巻き込まれる流れだ。

上手くするとシナの朝鮮族はシナの奥地に引きずり込まれて二度と戻っては来ない。

でも現実にはそんな事は無くてシナの朝鮮族は逃げ出す者が相次いでそれらは難民となった。

シナの朝鮮族の中には満州やモンゴルに事大して国を再興しようと考える者が数多くいて派閥が乱立していたのだがその連中が北京軍閥の徴集を嫌がって逃げ出したのだ。

しかもその多くは高麗半島に向かってだ。

逃げ出しても受け入れ先なんて有りはしないのに……

海路だと面倒な事に日本まで流れ着いたりするのだ。

そして満州とモンゴルと日本はその朝鮮族難民の処理に追われる事になった。


結局、満州は朝鮮族難民の対応に手間取って遼寧省の奪還の話は先送りとなってしまった。

遼寧省の奪還を優先して朝鮮族難民を放置したら国内で突き上げられるのは目に見えている。

元々は難民は出るにしても遼寧省の奪還戦が始まってからの筈で朝鮮族は北京側に逃げ出す筈だった。

北京軍閥傘下だから北京側が味方だし略奪や虐殺に対する満州側の報復を恐れている筈だからなおさらだ。

それが戦闘も始まらないのにしかも朝鮮族に報復を叫ぶ満州側に逃げ出すとは想定外もいいところだ。

逃げてきた朝鮮族難民は報復されながらも高麗半島に向かった。


モンゴルはシナの朝鮮族が事大しても無視していたのだが難民の流入については満州との約定通りに対処していた。

朝鮮族は自身の事をモンゴル人だとか満州人だとか明らかな嘘を言い張って居座ろうとするので面倒だから遼寧省の元々の住民であった難民として満州に引き渡していた。

モンゴルは満州との約定で遼寧省の元々の住民の難民は満州に引き渡すとしていたので朝鮮族との申告がなければなんら問題はない。

モンゴル国内に逃げ込もうとする者は漏れなくその場で処理された。

朝鮮族と申告した難民は運が良ければ引き返す事が許されて運が悪ければ逃げようとして処理された。


日本はシナの朝鮮族の難民船が国土に流れ着かない様に日本の領海に入ったら順次沈めていた。

運が良ければ日本まで流れ着いて上陸出来るが上陸してもシナへ送還するだけだな。

上陸した朝鮮族が例によって色々やらかして初めは有った国内の同情の声も消えてしまった。


それにしてもよく報復を恐れずに満州側に逃げ出すよなと誰しも不思議に思っていたのだが朝鮮族の言動を捉えるとこんな感じだ。

どうやら朝鮮族にとって遼寧省で自らが行った略奪や虐殺等は既に過去の事になっている。

そしてその後に受けた迫害や国を失った事で自らを被害者だと思っている。

だからか満州側に事大して北京軍閥側から受けた被害を言い立てれば被害者として受け入れられると都合よく考えた。

あなた達の敵から酷い目に遭った私達は同じ奴を敵とするあなた達の味方ですよと言った感じか。

当然のことながらこんな考えは満州人には通じないから報復されるのだがその報復で益々自らを被害者だと思い込み言い立てる様になって……

最終的には日本人が支援しないからこんな目に遭ったんだとの結論を得た様だな。




日本はシナの朝鮮族難民の処理として難民船を沈めている訳だけど何処の国も不法侵入を試みた難民の処理については同じ様なもので陸路であれば射殺している。

以前であれば人道問題として国際問題化したけど今では何処の国も似た様な難民問題を抱えているため互いに見て見ぬふりをしている。

口を出してきそうなオーストラリアやニュージーランドも自国でシナ人や朝鮮族のコロニーが問題になっていて何も言ってこなかった。

文句をつけてくるのはいつも難民を出している側のシナ人とその縁戚の華僑である。

「だったら難民を出さないようにしろよ」と日本人は思うのだが……

シナ人はそもそも難民を出す事自体は悪い事とは思っていなくて侵略の先兵にしているのだ。

難民が居ついた先を保護を理由に侵略したいのでその前に潰されては困るのだ。


シナ人は戦乱の度に難民を出して自らの領域を拡げてきた。

シナ人にとってはシナ人の住めるところは全てシナ人のものである。

個人のシナ人がどんなに善良に見えても関係ない。

その周りに善悪関係なくシナ人が押し寄せて来る。

「シナ人には善い人もいるよ」それはみんな知っている。

でも善いシナ人の周りにはその他大勢のシナ人がいるのだ。

シナ人の難民は入国させてはいけない、親切にすると国が危ない。

軒先を貸すといつの間にか母屋まで侵入して乗っ取られるのだ。


日本の沖縄には以前からシナから難民が流れてきていたのだが朝鮮族の難民が発生した時期に明らかに増加していた。

手薄になると踏んで偽装難民を増やしたのであろうが確かに自衛隊には余裕が無くなっていてこの時期は碌に調べもせずに着実に沈める事を優先していた。

以前であれば臨検して情報を探る余裕も有ったのだが流れてくる大量の船にその様な余裕は無くなっていて発見次第沈めるを続けた。

その為、この時期に難民を捕まえた自衛官は一人もいない。

生き残ったシナ人も殆どいなくてこの時期に満州に引き渡されたシナ人の数は非常に少ない。

偽装難民を流していたシナの軍閥が日本に向けて「虐殺だ」との非難声明を出していたが反応したのは一部のメディアだけだった。


「シナ人が難民の虐殺に非難声明を出していますが?」


「虐殺ですか?沖縄に流れてくるシナの難民は偽装難民であることが発覚しております。ゲリラ兵なので何が有ったにせよ虐殺にはなりません」


「偽装難民だという証拠は?」


「海上を飛んでいる者が多数確認されています」


「船が沈めば飛んで逃げる者がいてもおかしくはない。偽装難民との証拠にはならないと思いますが?」


「日本では魔法で飛ぶ事が当たり前になっていますがシナでは専門の軍事訓練を受けた者以外は魔法で飛ぶ事は出来ません。飛んでいたのが軍人即ち偽装難民である証拠です」


「本物の難民もいたと思いますが?」


「シナの難民は受け入れてくれる台湾か満州に向かうので通常は大陸の沿岸を進みます。日本が難民を受け入れない事は世界中に知れ渡っていますからね。沖縄に大量に現れる事はありません」


「満州に向かう途中で流された可能性が有ります」


「台風の季節でもないのにですか?それにもし満州に向かう途中で流されたのであれば沖縄に来るより遥かに多数の船がシナ大陸沿岸にあって満州に向かっている筈です。しかしその様な船は確認されていません。明らかに故意に沖縄に来ているのです」


「それでも中には本物の難民がいるかもしれません」


「それで?」


「もしそうならシナの非難声明通り虐殺では有りませんか?」


「どの様な状況を想定していますか?まず動力を破損して漂流していれば現状でも救助していますよ?遭難に当たりますからね。ですが許可なく領海内に入れば唯の領海侵犯なので沈めても問題はありません。それに今の話は全て仮定の話ですよね。本物の難民がいたという証拠でも見つかりましたか?」


「いえ、シナの非難声明だけです」


「こちらではその難民とやらが飛んでいたり、船団を組んで夜陰に乗じて領海侵犯を試みたりするのを全て録画しているんですよ?武器も発見しています。そのまま放置したら沖縄の住民が何をされるか分からないんです。仮定の話で非難されても困るんですよ」


「非難では有りません。事実確認をしたいだけです」


「確認できているのはシナの偽装難民が船団を組んで領海侵犯してきた事とそれに対して日本側は法に基づいて適切に処理している事ですね。少なくとも私が嘘を吐いていない事は分かるでしょう?」


「ええ、嘘は吐いていませんね。では虐殺は無かったと言うことですか?」


「私の知る限りは法に基づいて適切に処理されております。そしてここにいるあなた方も虐殺の証拠はお持ちでない。シナからも非難声明は有りますが、虐殺の証拠は提示されていません。それにシナの場合は私の様に会見も開いていないので言動が本当かどうかも示されていません。どちらを信じますか?」


「あなたが嘘を吐いていないのは分かりました。では仮に民間人が乗船していたとしたらどう責任を取りますか?」


「責任を取るのは偽装船に民間人を乗船させたシナ側でしょう?日本側ではない。これは戦争で言えば最前線に民間人を送り込むようなものだ。それで民間人が死んだら相手の責任にしますか?現状で民間人を故意に危険に晒しているのはシナ側で日本側ではない。責任を追及する相手を間違えてはいませんか?それに我々が守る義務が有るのは日本人のあなた方でシナ人ではない」


「それではシナの民間人は守る必要がないと言うんですか」


「違います。シナの民間人がいるかもしれないと言う仮定の理由でシナの軍人の沖縄への侵入を許して住民を危険に晒す様な事はしないと言っているんです。仮定のシナの民間人より実在している日本の民間人を優先するのは当然ですよね。それに民間人が乗っていても領海侵犯であることに違いはありませんから沈めても問題は有りません」


「領海侵犯した偽装難民船に何があろうとも全ての責任は送り込んでいるシナ側に有る」と日本政府は非難声明を出した。

シナの偽装難民は無くなる事は無いだろう。

偽装難民を送り出しているシナの軍閥は満州軍と直接対峙していないので自衛隊の魔法がどの程度のものか日本に探りを入れているのだ。





日本の領海を侵犯した難民船を沈めるのは自衛隊の任務となっている。

沿岸警備隊や海上警察の任務は犯罪者は捕まえるのが基本で領海侵犯を理由に船を沈める権限はない。

だから日本に流れてきたシナの朝鮮族の難民船を沈めているのも自衛隊である。


人を殺す事は人の群れの禁忌に当たり抑制が働くのだけれど日本人は国も群れと捉えていてその群れを纏める為に日本の魔素生命も制定しているので日本の群れを守る為とするとこの抑制は働かない。

殺人を禁忌とする抑制はあくまでも群れを守る為に有るので殺人の禁忌よりも群れを守る事が優先する。

それで人の群れの禁忌に触れると思われる船を沈める様な事も可能になる。


それで自衛隊は己の群れを守る為に任務として魔法を使って目立たない様に船を沈めているのだ。

魔法はシェルターを使うと誰にも気付かれずに燃料を爆破したりエンジンを破壊したりが自由に出来る。

シェルターを使っている間は術者は異空間にいるため通常空間にいる者にとっては3D映像の様な感じになる。

幽霊の様に見えても触れないのだ。

調整次第では薄くなって殆ど見えなくなるから気付かれずに破壊工作をする事も容易だ。

船を丸ごと隠したりも可能なので隠密行動には役に立つ。

相手に気付かれずに船を沈めれるため逃げ出せる者は少なくなり日本に漂着する者も少なくなる。


こうして自衛隊は日本を日々外敵の侵入から守っている。

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