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48 シナの状勢と日本の対応

シナでは抜きんでた勢力が出る事も無く相変わらず覇権争いが続いている。

抜きんでた勢力がいないと言う事はシナの魔法の状況に変化はないと言う事だ。

真世歴十五年に半島人は拠点を完全に遼寧省の瀋陽に移して好き勝手にやっている。

半島人が拠点を移すにつれて半島には遼寧省からの難民が流れてきて半島人の方が人口が少ない地域もあるが半島人は拠点がシナ中原に近づいた事で舞い上がっていて何も気にしていなかった。

全ては半島人が半島から出て行くように裏で満州政府が動いた結果だ。

旧満州地区の軍閥は真世歴十三年に独立を宣言して満州となり日本は独立を承認していた。

満州が独立した事によってアジアにおけるシナ周囲の囲い込みは取り敢えず終了した。

残るはこの囲い込みの強化とシナ勢力の弱体化である。


満州政府は半島人を半島から誘い出してシナ勢力からの盾として上手く利用していて、半島人の少なくなった半島は労せず併合する計画となっていた。

既に難民に紛れて満州からも大量の移民が半島に入り浸透していて半島人は……舞い上がっていて気付いていないようだな。

半島人の減った半島について半島人はシナの覇権争いに夢中な所為か大事とは考えていないのだろう。

遼寧省で住民から収奪した方が良い思いを出来るらしく半島に戻ろうとする者もおらず、仮に半島の状況を憂う者がいても無視されるか最悪は非国民扱いで殺される。

今の半島人の間では半島に戻る事はシナの覇権争いからの離脱を意味し、シナの覇権争いを優先する大勢に迎合しないと命が危ういのだ。

そんな状況なので半島が満州に併合されるのは時間の問題と日本政府は判断していた。


日本政府は取り敢えず済州島だけは半島人に残す事で満州政府とは調整済みだ。

半島人の日本への密入国者を大連か済州島に強制送還している現状では済州島は世界で唯一半島人の半島人による半島人の為の支配が確立している地域である。

これが無くなるのは半島人の送還先が減る事を意味しており大連の現状を知る日本人にとっては大問題なのだ。

シナの半島人の勢力圏では日増しに半島人への反発が高まっているにも拘らず半島人は慰撫工作をするわけでもなく上から下まで支配者として威張り散らすだけである。

その結果として難民が発生して満州に流れ込むのを満州政府は人口の減った半島に誘導していた。

満州は半島支配と併行して遼東半島の奪還も当然のことながら計画している筈だから半島人による大連の支配がいつ引っ繰り返ってもおかしくはない。

そうなったら日本から大連に半島人を送還する事は出来なくなる。

だから済州島が半島人の支配下にあるかどうかは日本人にとっては大問題なのだ。








半島人と北京軍閥の膠着状態が長引くにつれて舞い上がっていた半島人も流石に不味いと感じ始めたのか「シナ人は半島から出ていけ」と声を挙げ始めた。


半島軍の侵攻の勢いが止まって北京軍閥との膠着状態が始まり遼寧省の瀋陽に拠点を移した頃は「シナの覇権に向かって突き進んでいる証拠だ」とか「シナ人の下層民が増えても問題ない」とか半島人のメディアも流していた。

日本では半島で人が入れ替わる様に半島人の人口が減っていくさまをみて「戦争をしなくても満州の勝ちだ」と満州による半島併合について満州政府と打ち合わせをしていた。

日本政府は半島人の難民だけは勘弁とばかり満州の動きに合わせて色々な工作を進めた。

半島人が舞い上がっている間に自分の意思で遼寧省に向かう様に半島人が遼寧省で幅を利かしている様子を日本のメディアで流して煽ったりした。

日本人は遼寧省での横暴な半島人の様子を見て眉をひそめていたのだが半島人はそれを見て俺もああなりたいと感じるらしく口では日本のメディアを罵りながらも遼寧省への移民が増えたのだ。

そして入れ替わる様に遼寧省からの難民が半島に浸透していくのが続いた。


真世歴十八年にはソウルと平壌は辛うじて半島人が多い状態だけれど他の地域では完全に劣勢となった。

半島に残された役人達は見栄を張り威張るだけの無能者が多く労せず満州からの賄賂漬けとなった。

そして賄賂を増やすために争う様に難民を受け入れてあっと言う間に半島は難民で溢れかえった。

満州の難民に対する援助物資も賄賂漬けの半島の役人は見て見ぬふりで賄賂が増えて喜んでいたのだ。

何かあっても自分だけは逃げれると楽観視していて親族を瀋陽に住まわせて逃亡先を確保していた。

これは瀋陽の役人にも賄賂が流れて逃亡先を確保していると言うことだ。

危機感を持った瀋陽の一部の半島人は「シナ人は半島から出て行け」と声を挙げ始めた訳だが、半島の半島人は両班のごとく振舞うためにも下層民たる難民がいないと賄賂も入らず困る状況なので声を挙げるだけであった。

満州の経済支配が進んでいたので満州なしでは半島人の両班のごとく振舞う生活も成り立たなくなっていた。

既に瀋陽でいくら声を挙げても半島には届かなくなっていた。

遼寧省からの難民には多数の工作員が紛れ込んでいてシナで半島人が優勢の間は皆おとなしくしていた。

満州人は静かに半島に浸透し続けたのだ。




そして真世歴二十二年の半島は満州の経済支配が着実に進んで既に満州に属しているも同然の状態だ。

満州は半島人を使い潰すつもりなので遼寧省の奪還は後回しにして逃げ道を塞ぐ形で半島の併合を先に進める予定でいた。

半島人の軍が動いて半島で難民の迫害でも始まったら保護を名目に動こうとしていたのだが「シナ人は出て行け」は声ばかりで状況は動かなかった。

半島人の軍が満州に侵攻してきたら動こうと幾度か挑発をしてみたものの状況は動かなかった。

そうこうするうちに年月が過ぎて現在では半島の殆どは実質的に満州の支配下にある。

半島に残った半島人は賄賂で陥落して満州の威光に歯向かう事は無いし必要なのは併合の名目だけだ。

名目に拘っていたのは半島併合時に各国の承認が取り易いとの理由だけで実質的に支配下にある現状では意味が無くなりつつある。

実行する気になればいくらでも手はある。

半島政府はシナの覇権を掴むため遼寧省に拠点を移しているから既にシナの軍閥と見做してよい。

だから半島の住民にシナからの独立を宣言させて独立してから時期を見て併合条約を結べば併合できる。

併合せずに独立したままでも実質的に満州の支配下に有るので問題はない。

どちらにせよ既に半島人は半島にいないも同然なので文句を言うのは域外の半島人ぐらいだろう。

独立を宣言する事で戦争が始まっても難民の保護を名目に介入すれば最初のシナリオ通りだ。


半島は既に半島人のものではない。

シナの半島人はシナの朝鮮族になりつつある。

半島人の半島人による半島人の為の支配が確立しているのは済州島のみである。

経済的には満州に組み込まれていて何も出来ないけどね。

ただ済州島も元々は別の国で半島からの差別が酷かったようで島外から来た住民を排斥する動きがある。

既に揉め始めているみたいでどうなるか分からない。

日本政府は済州島の状況次第で難民が発生する事を想定して対策する事になった。








半島の状勢が動きそうで動かない状況が続く中で日本社会に魔法は浸透して行き、日本は国力を着々と増していた。

アジアのシナの周辺国も日本に追従する形で国力を増していた。

日本以外の国々にも植物の魔法を利用する技術は少しづつ浸透している様だが民生技術としては普及していないので日本と比べる事は出来ない。

どうも植物の生体魔法回路への魔法の組込みで躓いていて、日本で専用に栽培している植物の子孫しか上手く扱えていない様だ。


植物は植物が使う魔法でないと組み込んでも魔法が発動しない。

植物は植物が使う魔法を組込んでも調整を上手く行わないと魔法が発動しない。

そしてこれが一番重要な事だが術者が植物と繋がれるぐらいの信頼関係が築けていないと魔法の組込みは不可能だ。

これに気付いたのは日本でペットを使い魔とする事が研究者の中に浸透していたからで使い魔がいなければ植物と繋がろうなんて考える奴はまずいない。

海外での植物の生体魔法回路への魔法の組込はまずこの辺りで躓いているんだろう。

原因が分からず魔法が組込めたり組み込めなかったりでは安定した品質は保てないよな。

少なくとも大量生産には対応できないだろう。


日本で専用に栽培している植物は魔法を組込み済みだから子孫にその魔法は受け継がれる。

調整だけであれば整形質魔法が使えれば余程植物が嫌いな人でなければまず可能だ。

で遣れることは日本の製品の複製品か類似品を造ることぐらいとなる。

調整員の魔法使いの数さえ揃えばこれでも大量生産に対応できる。

ただ民生品となると調整員の魔法使いの人件費が高つくためアフターサービス網の構築が難しく普及し難い。

結局は魔法使いの質と量が足りていないから普及が妨げられていることになるのかな。




日本においては魔法そのものの開発はここ数年は停滞気味でこれと言った画期的な発明とか発見はない。

だが魔法の応用研究は各分野に亘って進展しているので魔法技術は年々進歩している。


以前の検証で亜空間系統の魔法で魔法回路ごとに別の亜空間を設定する人と同じ亜空間を使う人がいる事が分かっていた。

それで使用上の問題は無さそうなので各々の特性は調査することにして設定は術者の好き好きで決めればよい事になっていた。

最近になって調査が進展してちょっとした特性の違いが判明した。

以前から分かっていたのは同じ亜空間を設定するとゲートに用いる転移先の指標をアイテムボックスで収納しても転移に使えることだ。

そして調査で分かったのは同じ亜空間を設定するとアイテムボックスで収納した指標がデータボックスに収納した記録と繋がりを持つことだ。

たいした問題ではないのかもしれないけど転移する時に亜空間が同じであればデータボックスの記録を探れば転移先の指標に繋がる。

そして亜空間が別々だと転移する時にデータボックスの記憶を探ってからゲートにある転移先の指標を探らないといけない。

要は亜空間を別々にしていると転移の際に二度手間となる事が判明した。

この結果を受けて、ほんの僅かな時間ではあるけど転移の際に余分な時間が掛かると言うことで自衛隊では同じ亜空間を使う事を指導する様になった。

ただ収納している指標を普通に覚えていれば問題ない話だし指標が多すぎて覚えきれなくてデータボックスを使っても余分にかかる時間なんて知れている。

それで日常的に使うのに支障がある訳では無いから問題視する人は少ない。

研究者の中には亜空間を別々に設定する事にも利点がある筈と考える人もいて研究は続いている。

私もそう考える研究者の一人で殆どの人が亜空間系統の魔法で魔法回路ごとに別の亜空間を設定するのは何か理由があるのではと考えている。

教える時に別々の魔法として教えるから単純に教え方の問題でそうなっている可能性もあるけど何か別の理由があってその方が魔法回路を創り易いのかもしれない。

実際に私は生体魔法回路に組み込んでいる亜空間系統の魔法を一つの魔法回路に纏めてしまったが他の人には使い辛いみたいで完全に少数派だ。

私と同じ様に同じ亜空間で亜空間系統の魔法を使う人でも魔法回路は別の方が使い易いみたいだ。

論文を発表して生体魔法回路への負荷が減ることは多くの人が知っているのだけど試す人はいないな。

だから理由が有ると考えているのだけど………

まぁ、一部の研究者以外にとってはどうでも良い話か。


魔法開発が停滞気味なためか今迄に開発された魔法について科学技術的に同じ事が出来ないかの研究が注目され始めている。

機械に魔法を使わせる為の理論の研究と亜空間等を科学技術的に可能とする為の理論の研究だ。

これらの理論が構築できれば魔法を鍛錬しなくても同レベルの事が容易に可能となるかもしれない。

それに魔素に頼らずに同じことが出来れば魔法ではないから規模の制限も働かないだろう。

完全ではなくても物語の中にある魔法の杖等の魔法使いを補助する道具が出来るだけでも充分だ。

現に転移陣は大量に作成されて日本中で利用されている。

多くの研究者が関心を持ち注目するのは当たり前と言えば当たり前だな。

ただ注目されている研究ではあるけれどまだこれと言った成果は挙がっていない。








ロシアの状勢がどうかと言うと東アジアでは存在感が希薄になっている。

満州の独立によりシナから難民が押し寄せる脅威が減ったためロシアはヨーロッパ側に注力する様になっていた。

満州も正規軍の残っているロシアと事を構える余裕は無いのでまず大丈夫だ。

ヨーロッパ側と言ってもイスラム圏の───スタンと称する辺りが不安定でシナや中近東の状況次第で悪化する可能性が大きいからだ。

日本はシナから独立した旧ウイグル自治区の辺りにはあまり関与しないでいた。

シナを挟んで反対側だしイスラム圏でトルコと同族の様だしヨーロッパの隣だし隣国のロシア・トルコ・ヨーロッパ諸国辺りが主導して安定化した方が良いと判断していた。

日本の安定化の守備範囲はモンゴルからシナ周辺を時計回りにインド・ブータン・チベット辺りまでで限界でこれ以上は手に余る状況だ。


これが何とかなっているのは太平洋とオセアニアの政情が比較的安定しているからでこの地域が不安定だったらシナの封じ込めもここまで上手くは行かなかった。

アメリカやオセアニアでの華僑とか半島人の工作がお粗末だった御蔭だ。

彼等は例によって百年近く前の戦争の話を持ち出して日本を糾弾している。

南シナ海に自衛隊を派遣した時も台湾の独立を承認した時もチベットの独立を承認した時もモンゴルの併合を承認した時もウイグルの独立を承認した時も満州の独立を承認した時も何かあるたびに毎度だ。

「日本軍国主義の復活が──」とか「日本の大陸侵略の兆しが──」とか。

毎度同じ事をして既に世界中でその手が通じなくなっていたにも関わらず同じ事をしている。

各地に同調者がいるのは確かだからしつこくしていれば何れは潮目が変わると判断しているのかもしれない。

シナの内戦状態が世界の一番の不安定要因でどの国も巻き込まれない範囲でその戦争需要を利用して利益を上げている。

同調者と言ってもその類の人達で巻き込まれない様に嘘にならない範囲で口先を合わせているだけだ。

大事なお客様だからな。

実際にはどこの国でも彼等の国内でのその行動が国内状勢の不安定要因になっていて排除対象になりかけているのに彼等は同じ事をしている。

きっとその行いの結果として自らが明らかな排除対象になっても彼等は同じ事をしているだろう。

そして「日本が──」とか「日本の──」とか言って日本を糾弾するのだ。

しつこくする他に手は無いのか?








アメリカでは宗教的な理由で魔法を忌避する人達がいるからか魔法と同じ事を魔素を使わずに科学技術的に可能とする研究に日本よりも力を注いでいる。

キリスト教圏のカナダやヨーロッパ諸国の一部にも同じ傾向が有る様だ。

かと言って今の所は日本より研究が進んでいる訳でもない。

でもこの研究の成果が挙がれば軍事能力が一気に上がるのは間違いない。

ただその成果が製品になってシナなんかに流れたりすると………あまり考えたくはないシナリオだ。

それが科学技術的な成果でシナが技術的に複製可能だとしたら………悪夢のようなシナリオだ。

その場合でも日本政府は日本を守るだけであれば可能な想定ではいるが世界中の国々が巻き込まれたら無事で済むとも思えない。

今の所そんな兆しは全くないけど状勢はどう動くのかな?

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