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39 世界情勢 真世歴11年

真世歴11年に北京を拠点とする軍閥が旧満州地区の遼寧省に侵攻を開始した。

周りを敵に囲まれているため当然の事だが全力を挙げてとはいかないで余剰戦力を使ってだ。

以前からテロリストを送ったりして嫌がらせしていたのだが、中華の統一を掲げている手前軍閥内の対抗勢力や下からの突き上げがあり、侵攻した実績が無いと軍閥の長としても示しが付かないのだ。

そこで探りを入れる必要もあって小競り合いを画策したのだが、最初の戦闘に勝ってしまい勢いが付いたかそのまま戦線を拡大してしまい、本格的な武力侵攻に成った形だ。

当初はそこまで戦線を拡大する予定ではなかったので物資の補給等が追いつく訳が無い。

当然のことながらある段階で勢いが衰えて普通であれば押し返されるか戦線が膠着する事になる。

ここで北京の軍閥には予定のない第三勢力が現れた。

旧満州地区が北京の軍閥に獲られたらシナの覇権を掴めなくなると焦った半島人も侵攻を開始したのだ。

「半島人が何を言ってもどうせいつもの様に口だけだ」とシナの勢力に半島人を相手にするものはおらず侮っていて気にもしていなかったのだ。

この結果、半島国が遼東半島を攻略した頃に北京の軍閥と対峙する状況となり、半島国は勢いに乗りそのまま遼寧省を侵攻して北京に迫る勢いで進撃した。

半島国がここまで出来たのは日本が何もしなかった事と旧満州地区の軍閥が北京の軍閥に半島人を打つけて両軍の疲弊を図ったからだ。

半島人はシナの覇権を掴めば如何とでもなると考えたのか全軍で侵攻を開始して半島には海軍と空軍が少し残っただけで陸軍は殆ど侵攻した。

日本が半島を侵略する事なんて考えていないかもしくはシナの覇権を掴めれば半島なんてどうでも良いと考えたのかもしれない。

いずれにせよ現時点で半島を侵略したい勢力はなく半島は満州地区の勢力に北側の東半分を占領された以外は半島の南側政府が掌握して半島の統一が成った形だ。

遼寧省と引き換えに成った形だから半島人は誇らしげに半島統一と勝利を宣言している。

実際は半島を全て攻略すると漏れなく半島人が付いてくるから日本はもちろん旧満州地区の勢力も嫌だったのだ。

北京の軍閥の侵攻を抑える役目を続行中の半島軍に戻ってきて欲しくは無いしね。

北京の軍閥に海軍が健在なら海から攻められる可能性もあるが渤海と黄海の海軍を掌握していたのは別の軍閥で北京の軍閥とは協力関係にはあるが遼寧省への侵攻からは外されていた。

元々はここまで侵攻が拡大する予定では無く、海軍の出番はない筈で問題はなかったのだ。

北京の軍閥は武力としては半島人を蹴散らすぐらいは保持しているが周りの状況がそれを許さない。

半島人相手に武力をこれ以上消耗したら弱体化してどこかの軍閥に飲み込まれる可能性があるのだ。


結局は半島人のシナへの侵攻を切欠にしてシナ大陸の軍事的な均衡が崩れる事になり小競り合いがあるものの微妙に均衡していた最近のシナ大陸の内戦状況が一気に悪化した。

旧満州地区はシナの諸勢力との間に半島人が入る形になりシナの内戦状況が悪化するのと反比例する様に内部の情勢が安定して独立を画策する様になる。

半島人は日本支配下で満州に移民した様に遼東半島に勝手に移民する下層民が増加している様だ。

日本人には半島人の難民が押し寄せる状況が遠ざかったので嬉しい状況だ。

どちらかと言うとシナ大陸の内戦による難民の方を心配する状況になってきた。

この為に周辺国との連携を強めてきたのだから何とか対処して乗り切らなくては行けない。








アメリカやオーストラリア等の農産物輸出国も食肉目的の牧畜は衰退してミルクとその加工品に注力する様になっていた。

食肉用の牧畜は食肉培養に必要な品種の遺伝子プールが保たれる程度で充分となって日本では商業的には採算が合わないので公的機関が関与する事になった。

畜産農家に任せると高く売れる事を優先しがちで肉の質は良くなるが遺伝子的には均質になり近親交配となり遺伝病や奇形のリスクも高まり種としては脆弱となり遺伝子プールは保てない。

血統書付きのペットの一部で骨の奇形が発現し易いのと同じような状況に成るのだ。

整形質魔法で発現自体は抑えれるにしても潜在しているだけなので根本解決にはならないし潜在的にも無いに越したことはない。

遺伝子に多様性を持たせて維持するために家生種の動物はある程度の個体数を維持していた。

品種の固定とは逆に雑種も繁殖させて遺伝子に多様性を持たせて保つようにもしていた。

栽培植物も同じ様にしているがこれは以前から種苗会社も行ってきた事だ。

国は偏りがない様に全ての動植物について登録制にして保存バンクに保存する様になった。

以前から学術的なものは有ったが遺伝子の多様性を保つため規模を大きくしたのだ。

アメリカやオーストラリア等は土地が有るから家畜は放牧して頭数の調整を行うだけで済んでいる様だが日本では過疎地を利用して小規模に進めているだけだ。


牧畜は食肉培養技術の進歩によって以前の様に量を確保する必要は無くなったので質重視に成っていた。

食肉のための牧場は小規模で充分に成り、大規模なものはミルクや羊毛の為となっている。

食肉の日本国内の需要は充分賄えるようになり、シナや他の不安定な地域への供給は食肉輸出国が行っているため食料の量自体は世界で足りている筈だ。

培養技術の進歩で穀物や野菜もミルクやウールも工業的に生産可能に成ってはいるが商業的には採算が合いそうにないので研究しているだけの状態であった。

日本の消費者の皆さんは出来るだけ自然に近い物が欲しいようで国内では売れそうにないし、輸出となると農業国の反発が大きい。

世界的な飢饉でもない限り生産開始とはなりそうにない。








アメリカは大きな勢力4つと後は無数の少数勢力と言った形で内部が割れているのをアメリカ軍が何とか国の分裂を阻止している状態だ。

元々人々の人種的・民族的・文化的多様性の摩擦を活力として栄えてきた国で結果として多種多様な人々を1つの国に纏めている古代ローマ帝国のような構成の国になっていた。

シナとの違いは州の権限が強い事と一つでなくてはならないとする志向がシナ程は強くない事だ。

シナでは長い年月をかけて元々言葉も違う民族であった者達を漢族として纏めてしまっていた。


アメリカはローマ帝国がいくつもの国に分裂した様に分裂の危機にある。

勢力としてはアラスカ・西海岸・南・北に大きく分かれてその中に中小の民族・宗教等で纏まったコロニーが点在する形だ。

そしてこれらをアメリカ軍が一つの国として繋げている状態だ。

以前であればこうなる前に政治的に国外に敵を作って国を纏めていた状況だがあの日以降の混乱には使えなかった。


混乱初期の国々は自国の崩壊を防ぐことに汲々して他国を構う余裕のある国は無く、国外に敵とする明確な存在は無かった。

そして少し落ち着き始めた頃には崩壊を免れた国々はまだ国内を纏めることに汲々して対外的には混乱が持ち込まれない様に国々で連携を強める事しかしなかった。

この時点では既に難民を受け入れろとか言った声は少数で国の崩壊を防ぐことが優先した。

難民受け入れとかは世界の多数の国が平和で余裕が有っての話で既に余裕のある国は無かった。

難民受け入れは国の混乱要因となり許容できなかったのだ。

難民受け入れで難民問題が解決に向かうならまだしも国が崩壊したら難民が増えて問題が拡大してしまうので止める必要があった。


混乱前のアメリカは移民の国なのもあって密入国が相次いでいた。

そして混乱初期にはメキシコから難民が押し寄せていて対応に汲々していた。

メキシコを非難しても崩壊の危機にあり下手に対応すると国が崩壊して却って難民が増える。

世界中の難民は自国内の混乱で発生していて根本の原因は国外からの侵略やテロ組織ではない。

明確に敵とする存在が無いのだ。

こんな状況下で下手に正義を振りかざすと「だったら貴国が難民を引き受けて下さい」と言った話になって益にはならない。

難民問題はアメリカ国内でも南と北で切実さが違って意見が纏まらず揉めている内に国が分裂しそうになって今に至るのだ。

アメリカ軍の世界中からの撤収はこの難民問題の拡大を防ぐためにも必要だった。

地元警察や州軍では既に対処不能の状況にあったからだ。

放置して置いたら南から押し寄せる難民の波に飲み込まれてしまう。

混乱初期の日本政府は難民は受け入れない事を馬鹿正直に表明して最初は非難されたが、時期にどこの国も同じ対応をするようになって有耶無耶となっていた。


アメリカは正義を振りかざして国を纏めることも出来ず、アメリカ軍は国を守る事で手一杯となりそれが今でも続いていた。

対外的に軍事行動をしたのはシナ大陸における核問題の時だけでそれ以後は何もしていない。

定期的に太平洋諸国の旧アメリカ軍基地にアメリカ海軍が寄港するのは威信を示す意味もあるが対シナ用の兵器を得意先に売り込むためでもある。

輸送船の護衛艦として紛争地域周辺の国々を回っているのだ。

日本はこれが続く限りはアメリカはまだ大丈夫であろうと判断している。








世界中の国がまだ動乱に合わせた経済体制でグローバル経済とか自由貿易とかは今は昔と言った感じだ。

世界中で取引が有り交易は盛んではあるが産業は世界中から安い部品を集めて人件費の安い所で組み立てて世界中に売るような形ではなくなっていた。

国内ですら何が有るか分からない国が多い中でそんなことをしていたら製品は完成しない。

自国内で完成品が造れるようにしておかないと国内経済自体が回らなくなってしまう。

だから出来得る限り狭い経済圏で部品の製造から組み立てまで一貫して行うのが最近のはやりだ。

人件費が安い地域と混乱した地域が重なる現状ではそうするしかなかった。

日本企業は生産拠点の再編成をしていて、自国と東南アジアとアメリカに生産を集中していた。

東南アジアはシナからの防衛のための兵器需要が拡大していて、世界各国の兵器産業が東南アジアで補給物資の生産を開始していた。

兵器の整備や補修も盛んになったため整備工場や修理工場も次々と建設された。

東南アジアは世界各国の兵器産業が混在する軍事物資供給の一大拠点となっていた。

シナの内乱に対応した兵器もここで造ってシナに輸出していた。

東南アジア諸国はシナの内乱で利益を上げてそれを使ってシナに対抗する軍備を整えていた。

兵器は合弁企業で生産しているため東南アジア諸国の軍事技術も日に日に向上していた。


半島国も同じ様にして発展できた筈なのになぜかこの機会を捨ててシナの覇権を目指してシナに侵攻してしまった。

軍事産業を育ててシナに軍事物資を売って国を富ますよりシナの覇権を目指す方が魅力的だったのだろう。

日本に対抗するなら軍事産業を育てる方が重要だと思うのだが……

日本にとっては都合の良い事なのでこの決断をした半島の指導者には秘かに感謝しておこう。








日本政府は旧満州地区の独立の機会が訪れたと判断して支援を開始した。

半島人が間に入ったため北京軍閥からの干渉が激減して、日本海に面した地域を確保した事により日本との交易が格段に容易になっていた。


日本は共産党政府のスパイを捉えていたため、1年前に旧満州地区に送っていた。

既に共産党政府は崩壊して拘束の意味は無くなり、情報は充分に引き出したので彼の希望を踏まえて満州の軍閥に身柄を引き渡したのだ。

彼は満州地区の出身で何やら伝手が有る様なので今後の協力を約束させて彼の部下と共に引き渡した。

その時から接触を続けていて交渉を進めていたため、独立支援は速やかに開始された。

港湾の整備に始まって、艦艇の貸与・武器の贈与、定期航路の開設等々どんどん進めた。

元スパイの伝手は結構な大物だったらしく、彼は軍閥の幹部になっていた。

或は元々共産党の中で工作をしていた旧満州地区にあたる瀋陽軍区の幹部だったのかもしれない。

日本側が調べたのは表に出ている経歴だけで黙っていれば分からないからな。

話さないのは嘘を付く事ではないので表向きの経歴に嘘が無ければ嘘を付いた事にはならない。

裏の経歴を誤魔化す方法なんていくらでもあるのだろう。


シナでは人が裏切る事が前提で社会が構成されている。

物を盗まれた方が悪いのと同じく裏切られた方に力がないのが悪いのだ。

日本でもきっと同じ程度人の裏切りは有るのだが原則として裏切りは悪いとする社会と裏切られた方が悪いとする社会では社会を構成する大多数の人の行動原理が違ってくるのだ。

だからシナ人も日本人も相手が最終的にどんな行動をとるのか予測が付かない人が大多数だ。

これはどちらの社会が良いとか悪いとかの問題では無く、社会の在り様が違うのだからどうしようもない事で互いにその事を踏まえて相対するしかない。

だが大多数の人は理解せず、理解する少数の人もその様にはしない。

大多数の人が相手との違いを認めずに行動して相手を見誤り問題は拡大していくのだ。

そして大多数の人は相手の行動が理解できず、最終的に相手が悪いと判断する。


接触は必要最小限に留めて互いに干渉しないのが互いの利益だと思うのだが……

シナ人には無理そうだな、解放とか教化とか言って干渉を止めないだろう。

シナ人は裏切りを許さない、許すのは力のない事の証明だからだ。

許した様に見えるのは先延ばしに過ぎず、力を持ってから報復を実行しようとしているだけだ。

シナ人は違いを許容できない、違いを許容するのは力のない事の証明だからだ。

条約を守らないのも守らずに要求を押し付ける事が力のある事の証明だからだ。

そして権力者が交代すると前任者より力のある事を証明するために要求はエスカレートしてやがて相手に許容限界が訪れて相手との関係が破綻するのだ。

そうやって古代からシナの王朝は力が有る時は自らが残り力が無い時は滅んでを繰り返してきたのだ。

これからもそれを繰り返していくのだろう。


日本はシナに巻き込まれない様に注意して国を守らなくてはいけない。

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