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17 魔法の軍事的な応用について 

俺は国内外のメディアが日本が危ないと危機を煽っている間も天谷師匠の下に通って修行をしていた。

飛ぶ魔法の研究もしていたがどちらも自衛官の監視の下だ。

天谷師匠の下には堂々と自衛官と警察官が通うようになっていて、同時に護衛任務も行っている。

天谷師匠は整形質魔法の施術は行っているが教導に関しては弟子の医療関係者等に任せることになった。

だから今では弟子として通っているのは武技を修行している人が殆どで俺達みたいに何でもやる人は少ない。

天谷師匠の弟子になったばかりの自衛官達とは初めに手合わせをしたんだがあっさりと勝てた。

対戦相手の自衛官達はあまり驚いていなかったが俺は内心凄く驚いていた。

普段は同時期に修行を始めた沃土達とか師匠としか手合わせしていないから強くなった実感が余り無かったからだ。

「師匠、なんか俺、凄く強くなってませんか?今迄実感が無かったけど」


「2年以上修行してきたんだからそれは強くなっているよ。でも1年後には彼らには勝てなくなっているはずだ。格闘経験の長さが違うからね。整形質魔法で体を造り込んで武技を習い始めたらすぐに君に追いつくから。毎日、自衛官として訓練もしているしね」


「それはそうでしょうね。彼らが知らない技術を俺が使っているだけの事ですから彼らが同じ技術を持てば俺には勝てないでしょう。それにしても自衛官の方たちは俺に負けても驚いていませんでしたね」


「彼らは私が1年間仕込んだ自衛官の弟子達がどれだけ強くなったか知っているからね。君は2年以上修行している訳だし強くて当たり前だと思っているんだ」


「そうか、でも修行前の俺なら何をしても勝てなかったですよね」


「まぁ、それはそうだね」


「それに飛ぶ魔法が完成したら逃げちゃえばいいんですから勝てなくても負けることはないです」


「だったら1年後には逃げれるように魔法を完成させないといけないね」


とゆうわけで俺は飛ぶ魔法を完成させなければいけない。

今の所は屋内だけでしか飛ぶ事は出来ないがこれは秘密を保持するためと監視しやすくするためだ。

プロテクトスーツの段階ではプロテクトスーツの3点を意識することで体の回転を調整した。

最低3点押さえればあらゆる方向の回転に対して対処できるはずだからな。

これを基本に後は個人で遣り易いようにすれば良いと言った感じだ。

実際、初めに教えたダンサー達は踊りに合わせて動きやすいように遣っていた。

俺が回転を抑えようと工夫してきたのに彼女達はどうしたらもっと回転し易くなるかとかを検討していた。

俺も回転を抑えようと意識しすぎると動きがスムーズでないことに気付いて彼女達にいろいろ教えてもらった。

体の使い方については俺より良く知っているからな。

体の使い方と言えば武技の鍛錬もかなり役に立っている。

人は体を押されたりするとバランスを保つためか反射的に元に戻る様に動こうとする。

転びそうになると転ばない様に動く。

武技で習ったのはそれらに逆らわずに利用する技術だ。

受け身も転ぶ力を利用するために上手く転ぶ方法を身に着けるように行う。

転んだ時にけがをし難いとかは副次的なもので主目的は転ぶ力を利用する技術を身に着けることだ。

転ぶ力即ち重力を利用する技術を身に着ける為に受け身を鍛錬する。

相手の力を利用する方法はいろいろあるけど一番単純なのはカウンターだ。

相手が突進してきたら槍の石突を地面に当てて穂先を相手の来るところに置けば、槍が相手と地面に挟まれて相手は勝手に穂先に刺さる、相手と地面の間に槍を置くだけだから槍を支える力があれば出来る。

自身を槍に見立てるとボクシングのカウンターになる。

実戦で使うのは難しいけどそれを成す技術を身に着けるため武技がある。

地球の力・相手の力・自身の力等のあらゆる力を利用して相手を倒すために修練するのだ。

俺も2年以上鍛錬してきたのでこれも魔法で飛ぶための役に立つはずだ。

それで生身で飛ぼうと色々遣っているのだが単純にプロテクトスーツで飛ぶ様に飛べる訳ではない。

プロテクトスーツは人間の体を保護するために人間の体よりは丈夫に造ってある。

だからプロテクトスーツを扱う様に人体を扱うと人体は壊れる。

魔法もそのまま人体に使うと不味いので調整しなくてはいけない。

一点に負荷が掛かるような方法だとまず間違いなく怪我をする。

ボールやプロテクトスーツは製品の強度を部分的に上げればそれで済みだが人体にはそんなことは出来ない。

遣るとしたら身体の数か所に部分的に専用のプロテクトパーツを装着するぐらいだな。

プロテクトパーツのアイデアはプロテクトスーツでワイヤーアクションの様に飛び始めた頃に俺と岸さんで検討し始めたもので1年ぐらい前に製品化されている。

プロテクトパーツ開発の頃は核物質の無害化が優先で俺は初期のアイデアしか出せなかった。

プロテクトスーツで魔法を使って飛べればプロテクトパーツでも魔法を使って飛べる設計で上級者向けの設定で体の自由度を上げている。

だが実用上はこれで問題ないかもしれないが俺はあくまで生身で飛ぶために鍛錬を重ねてきたのだ。

生体魔法回路への魔法の組み込みもマスターして目途が立ったところだここで諦めるわけにはいかない。


プロテクトパーツはプロテクトスーツでは一体型で体を保護していたのを幾つかに分けて頭部とか首は装着者が必要に応じて決めることになっている。

製品化自体はプロテクトスーツのノウハウが利用できたため短期間で終了している。

高さを管理して床に防護用の専用マットを設置すれば安全面は問題ないことは確認済みだ。

実験で面積とか高さを規定した状態で15人同時に落ちても問題ないことは確認されている。

これは故意でなければ起きそうにない状況なので安全と判断されている。

マットは刃物が通らない様に特殊な繊維で作られているからまず問題は起きない。

屋外での使用は自己責任とゆうことで仕様書には強度とか色々書いてある。


俺はプロテクトパーツ装着時の飛ぶ魔法についてダンサー達の話を聞きたくて岸さんに許可を貰って会いに行った。

その時に製品のプロテクトパーツを色々試してみたけど装着時に身体の自由度が増しているので格段に動き易い。

これはダンサー達の意見も同じで俺はカンフー映画ごっこをして遊んだりした。

ダンサー達も舞台で魔法を使って飛んだりしているようだが防護用のマットを設置するわけにはいかないので高く飛ぶ場合には専用のプロテクトパーツと命綱をつけているそうだ。

本人達は動きが規制されるので命綱が邪魔みたいだが事故が起きたら大変だから仕方がない。

俺は飛ぶ魔法について舞台でどんなふうに使っているのか色々聞いたんだけどダンサー達はそんなことよりも自衛官の護衛の方が気になるみたいだった。

「ねぇ、どうして自衛官が監視についてるのよ。何かやった?」


「なんか魔法絡みでテロリストに狙われ易いと思われているみたいで監視兼護衛に張り付いているんですよ」


「でも魔法って飛ぶ魔法でしょう?もう当たり前の魔法じゃない。テーマパークにも施設があるし」


「なんか飛ぶ魔法を造る過程で色々な人に会っているからその中に不味い情報もあるみたいでさ。昔だったら殺すか拉致して監禁すれば済む話みたいだけど。今は死ぬと情報が公開されちゃうから監視が付くんだよ。君達も俺に詳しい話を聞くと監視が付くようになるよ」


「またまた、冗談……ではないか。嘘は付いてないわね」


「だから自衛官は無視して、話すなら飛ぶ魔法の件だけでお願い。どうしても気になるようなら岸さんとだけ話すようにしてこの件は俺には話し掛けない方が良い。岸さんにも監視は付いているけどね」


ダンサー達は関わらない方が良いと判断したみたいで用がある時以外は俺に話しかけなくなった。

この件は自衛官を通して権藤先生にも伝わったみたいでいろいろ言われた。

「前にも言ったけど君はもう少し自覚した方が良い。前は言い方が悪かったのかもしれないけど君は重要人物の1人なんだよ」


「いやでも、飛ぶ魔法を考えただけですよ。もうみんな使えるし当たり前の魔法ですよ?」


「君はその魔法を造る過程で色々遣っているだろう?例えばデータボックスを使いながらボールで飛んだり、これなんか自衛隊で必須になっているんだよ。魔法を左右の脳で別々に使う訓練として採用されたんだ。神尾メソッドなんて名前まで付いている。政府は成体になったら必須として学校教育に組み込むことに決めている」


「それは天谷師匠にもいい方法だと言われました。でも周りのみんなも簡単に出来るようになったし大したことではないと未だに思ってます。名前が付いているとか学校教育に組み込む話は初めて聞きましたけど」


「簡単に出来るようになったことが大したことなんだよ。後は生体魔法回路に魔法を組み込む順番だけど4つまでは君が遣った順番が自衛隊の標準になっている。リミッターを外す魔法は年齢制限があるから一般化する場合は3つになるのかな。これも政府は学校教育に組み込む予定だ」


「それは天谷師匠に相談してそうしたんだと思いますけど……違ったかな?」


「天谷師匠はデータボックスやアイテムボックスなんかはいつでも組み込めるし先にもっと即物的な魔法を組み込みたかったようだよ。武器の強度を上げるとか。彼はそう習っているからね。でも考えてみたら傍に猛獣が生息している訳でもないからと考え直したみたいだ。ここでは武器を使う事の方が日常的ではないからね」


「俺は飛ぶ魔法の事を優先していたんでデータボックス・アイテムボックスの順に組み込んだんです。後は天谷師匠に相談したら応用が利くよと言われたので気の鍛錬による生命エネルギー強化・リミッター解除の順で組み込んだんです」


「天谷師匠は君達を弟子に取るまで武技を優先して教えるつもりでいたからその順番では考えていなかったようだよ。君を見ていてこの方が応用が利くなと考え始めたんだよ。武技を教える必要のない医療関係者達にはリミッター解除は組み込まなくてもいいよと言っているしね」


「周りが皆同じ順番だから気にしていませんでした。沃土は俺の話を聞いて順番を決めたようだし、天谷師匠も特に何も言わなかったし他は栗原先輩ぐらいしか成体の人はいなかったからなぁ」


「他にも色々あるけどそれは置いといて。君は今、生身で飛ぶ魔法について色々考えているだろう?それで考えているときにブツブツと独り言を言っているんじゃないかい?沃土君に指摘されて街中では遣らない様に注意しているみたいだけど。なんか魔法に応用の利くことをブツブツ言っているみたいなんだよ。殆どは役に立たない事みたいなんだけど。監視していた自衛官がそれに気付いて上に報告が上がったんだよね。それで飛ぶ魔法の訓練をしていた自衛官が試したら飛び易くなったと結果報告がここにも来ているんだ」


以前、沃土に言われたんだが、俺は魔法回路を作成するときや考える時にブツブツ独り言を言いながら時々何かノートに書いて最後に「よし」って言うらしい。


「何を聞いたかは知りませんけど如何に飛び易くするかを考えているからそれはおかしくありません」


「だからそんな重要なことをブツブツ撒き散らす人間を放って置けないだろう?かと言って止めさせる訳にもいかない。君はそれだけの実績を上げている訳だし。だから監視兼護衛が君に張り付いているんだ。とにかくもっと自覚しなさい。魔法に関しては沃土君もだけど君も天谷師匠夫妻の次ぐらいの重要人物なんだよ」


「今はですよね。情報が拡散すれば早ければ来年にでも解放されるのでは?」


「飛ぶ魔法は軍事的に色々応用が利きそうだから当分無理だね。来年なんてことはない」


「えーーーそうなんですか」


「君はとにかくもっと自覚しなさい。これからも当分続きます。私も含めてだから仲間はたくさんいるよ。騒ぎが終わったら親睦会でも開こうか」


俺は権藤先生と沃土が話す横で今聞いた魔法の軍事的な応用について自衛官の身になって少し考えてみた。

飛ぶ魔法を応用すれば足音を立てずに移動することが出来るし、堀や塀等の障害物も気にせずに移動できる。

森の中でも樹上を移動できるから地雷とかの地表の罠も気にする必要はない。

歩兵は地表に縛られなくなる。

うん、飛ぶ魔法は確かに有用だ。

加えてアイテムボックスが有れば1人で1t以上の積載能力があるから荷物の運搬も楽だし、武器の携帯も楽だ。

うん、アイテムボックスもかなり有用だ。

あれ?

アイテムボックスと核物質が有れば自爆テロならやりたい放題ではないかな?

現状でもプロテクトパーツを装着して飛ぶ魔法が出来れば色々なところへ1人で侵入可能だ。

核物質は取扱いを間違えると被曝してすぐ死ぬけど先進国なら被曝しない様に装置を造れる。

目的地近くの人気のない所でアイテムボックスから出して魔法で核爆発させればかなりの被害が出るような……

自衛隊なら当然気付いているよな、魔法を研究している先進諸国も当然気付いていると考えた方が良い。

飛ぶ魔法はともかくアイテムボックスは簡単な魔法だ。

道理で先進諸国が中国の核物質を優先的に急いで無害化するわけだ。

未だに同族同士で殺し合っている奴らに持たせておいたら何をされるか分からない。

そういえば半島の核物質も無害化を進めていて、奴らが喚いていたようなニュースがあった。

俺はその場で自分の思いついたことを権藤先生と沃土に話した。

権藤先生は「何の話かな?」と惚け、沃土はニヤッと笑った。

そして監視している自衛官を見たら目を逸らした。

みんなも気付いているけど黙っているのだ。

俺に監視が付くのは当然だ、俺が今死んだら未完成だけど生身で飛ぶ魔法と他の魔法もノウハウまで纏めて拡散することになる。

大学が警官や自衛官だらけなのも権藤先生が言っていた様に魔法とその応用技術を守るためだ。

ダンサー達にも当人が気付いていないだけで監視が付いていることは間違いない。

そういえばこの前ダンサー達に話を聞きに行った時はやたらガタイが良くて姿勢の良い人がたくさんいた。

日本政府が危機感を煽る内外メディアにあまり反論しないのも外国人の出国を促すためかも。

それに考えてみたら核物質は魔法で無害化するより魔法で核爆発させる方が楽なはずなんだ。

如何に核爆発しない様に或は放射線が出ないように魔法で無害化するかに苦労してきたんだから。

今は人を殺すことに抑制が働いて出来ないけど中国側からのテロで核爆発が有れば日本は躊躇せずに報復するだろう。

もしこの前のテロが成功していたら今頃は中国各地で核爆発が起きていたに違いない。

このテロへの報復の話をしてみたら「それ以上は考えても口には出さない方が良い」と監視していた自衛官に言われた。

俺はこの件については中国の核物質が無害化されるまでは封印することにした。

アメリカやロシアなら無能な奴に監視させて核テロを成功させる可能性もある。

大義名分が出来ればアメリカやロシアは当然報復するから原子力発電所を核爆発させるだけではなく、核ミサイルも打ち込む可能性がある。

中国人は核兵器の無効化の魔法は知っていたとしても内戦状態で核ミサイルを無効化する体制は充分には整っていない。

その時の日本の選択肢は中国で爆発する前に核ミサイルを無効化するか爆発後に無害化するかだな。

考え出したら切が無いので俺はこの件については考える事を一旦止めた。



中国は内戦状態にあり、核テロ発生時は各地の軍閥は核兵器については軍が防護していたが原子力発電所については下部組織に防護の命令を下すだけで実質的には職員がいるだけの防護らしい防護は成されていない状態だった。

先進諸国は中国共産党政府を非難し、年明け早々には中国の核物質の順次無害化を宣言して直ちに実行し始めた。

中国共産党政府は「内政干渉であるから直ちに中止せよ」と非難声明を出し抗議したが、「核物質が適正に管理されていれば遠隔地から魔法で核物質を無害化することは困難であるため無害化出来るのは適正に管理されていない証拠である」とし先進諸国は中国共産党政府を非難した。

中国共産党政府は報復を宣言したが内戦状態が酷く未だ実行はされていない……のかな?


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