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16 中国で自爆核テロ発生 魔法で核爆発 

信仰的原理主義者のテロリストが中国の原子力発電所で魔法による核爆発の自爆テロに成功した。

恐れていたことが起きたのだ!

世界中の国が非常事態宣言を出して日本政府は国内の核関連の施設や研究室に自衛隊を派遣して常時3人以上を配置し続けていたのだが再封鎖した。

空港、港、国境の警備は更に厳重になりどんなに微量でも核物質を許可なく所持するものはテロリストと判断され日本においても即時射殺可となった。


俺は年が明けてから大学構内が少し物々しくなってきたなと思っていた。

アメリカの研究者が死んだときには研究棟の一部が一時的に閉鎖されただけなのに今回は構内中で警官や自衛官の制服姿が見られる。

門以外からは出入りが出来なくなっているし、学生証のICもチェックしているから学生証が無いと出入りも出来ない。

権藤先生に昼のミーティングの時に聞いてみた。

「なんか以前の非常事態宣言の時より物々しくありませんか?門でのチェックなんて聞けば嘘かどうか分かるんだからあそこまでする必要はないと思うけど。核物質はもう構内にはありませんよね。危険だからと政府の勧めに応じて提出したし何か他にありましたか?」


「あぁ、魔法だよ。うちの大学絡みで色々出ているだろう。飛ぶ魔法に始まり、魔法による核物質の無害化、整形質魔法、肉の培養全てうちの大学が絡んでいる。ほとんどが天谷師匠絡みなんだけど機密事項だから構内を警備している訳さ」


「でも大学に来る途中でも結構いましたよ。最初は非常事態だからかなと思ってましたけど。去年に比べて多すぎますよね?」


「君はもう少し自覚した方が良いよ。さっき言った魔法の関係者はみんな護衛対象なんだから。もちろん君も含めてだよ」


「天谷師匠夫妻や勇一と隆弘はともかく俺は飛ぶ魔法だけですよ。ボールに乗って飛ぶのはもう当たり前になっているし大袈裟ではないですか」


「まぁ、こういうことは外からどう見えるかだからね。君はボール関係でお金も結構手にしているでしょ。これは調べればわかる。肉の培養も君の父親が中心人物の一人だ。勇一君は君との話が切欠で魔法による核物質の無害化の研究を始めたことを公言している。外から見たら君が中心にいるようにも見える」


「ボールを除くと全部天谷師匠か沃土絡みですよ。天谷師匠は機密だから置いといても沃土も似たような状況なんですか?」


「沃土君は君ほど名前が表に出てこないんだよ。目立っていないんだ。護衛対象としては同レベルだとは思うけど」


「そうなの沃土」


「あぁ、俺の周りも制服姿の人がうろついている。伯父さんは会社に行ってないだろう?」


「そういえば、なんか自宅待機だとか言ってた。それも魔法絡みの話なの?」


「隣国の関係者が何をしてくるか分からないから注意しているわけさ。日本は友好関係にある国には魔法に関する情報を少しづつ流している。変な実験を始めて死んだアメリカの研究者みたいなのが出ても困るからさ。そうですよね、権藤先生」


「ああ、機密事項なんだけどね。あまり秘密を独占すると殺せば情報を採れると考える馬鹿が出て来るから。それに天谷師匠みたいな人が日本だけにいるとは思えないから彼らを保護する必要がある。外国政府も自国に一人でもいればこちらには手を出しにくい。下手に殺すと情報が公開されて自国の優位性が失われるからね。それに宗教が絡むと危ないだろう?アメリカでもヨーロッパでも原理主義者がいろいろやっているし。だから秘密裡に政府の上層は動いている。いずれ秘密が漏れるにせよ、隣国には一番最後で良い」


「そうか、俺が殺されたりすると天谷師匠の事も公になってもっと大変になるわけですね。2年後とかならともかく今は不味いわけですね」


「まぁ、それも有るかな。天谷師匠の弟子の自衛官が沖縄にもいるから有事で彼らが死ねば公開される情報だけど少なくとも有事の前に公開はしたくないからね」


「でも天谷師匠はともかくシイャン師匠は神様と繋がっていなかったみたいですよ。だから……え~と、これは秘密の話でした。忘れて下さい」


「あぁ、それは秘密の話だから聞かなかったことにするよ」


「え~と、もしかして権藤先生も知っていますか?」


「何の話かな?君は何か話したのかな?」


「いえ何も話していません」


「その答え方は駄目だ。第三者が聞いて嘘だと分かるだろう?何も答えずに済ませるか。嘘にならない様に惚けなくちゃ」


「何の話ですか?」


「まぁ、そーゆう事だね」




魔法による核爆発の自爆テロから暫くたった1月初旬に海外メディアから「次は日本だ!」との声が上がってきて騒ぎになり始めた。

情報の発信源は隣の半島国なんだけどあっという間に世界中のメディアが騒ぐようになった。

海外では原発事故を例に出して「日本は核物質の管理が甘い、テロの標的に成り易い」とか隣国との関係を持ち出して「隣はテロリストを英雄と讃える国だ!いつテロリストが送り込まれてもおかしくない」とか騒ぎ始め、多くの在日外国人が日本国外へ脱出し始めた。

先進諸国は中国と核物質の処理について揉めていて、年初から先進諸国は中国国内の核物質の順次無害化を宣言して魔法により遠隔地から核物質の無害化を実行し始めていた。

中国共産党政府はこれに対して報復を宣言していたため、中国から日本にテロリストが送り込まれる可能性は0ではなかった。

この為、日本政府はテロの標的に成っている可能性は否定しなかった。

日本政府は核物質の管理については行っていることを伝えて「管理が甘い」との意見には反論しなかった。

日本政府は「判断はご自由にどうぞ」と返したのだ。

アメリカやロシアに比べれば甘いのは確かだったから下手な反論をすると嘘を付いたことになる。

アメリカやロシアは原子力発電所の周囲にエリアを設定して許可なしに入ったら射殺だからな。

日本ではエリアを設定するまでは同じだけど許可なしに入っても誰何して逃げなければ一時的に拘束するだけで射殺はしない。


2月初旬になって「皆様の核物質の管理が甘いとの声が消えないので管理を見直し明日から誰何なしで射殺することにいたしました。明日からはデモ等で原子力発電所に近づく方々は注意して下さい」と日本政府は声明を出して実行した。

政府声明の翌日、声明を甘く捉えていたのか6人がエリア内に侵入してその内2人が射殺されて日本のメディアが政府を非難した。

政府の担当者は「調べましたが2人とも前日まで管理が甘いとデモをしてはエリア内に侵入して、射殺されないことを指摘してから管理の甘さを訴えていた方たちですね。あなた方メディア関係者もそれに同調していました。管理が甘いとのあなた方の報道はいまだに続いています。2人しか射殺しなかったことがそんなに問題ですか?確かにエリア内に入った他の4人は逃亡中ですがただいま捜索しております。それから射殺された2人にお金を渡していたメディアの方も特定できました。ただいま警察がテロリストと特定し逮捕して尋問中です。既に隣国人との繋がりは判明しています」と答えた。

後日、警察発表で本当にテロリストと繋がっていたことが公表された。

逮捕されたメディア関係者には自覚が無かったがテロリストは原子力発電所に侵入するため彼らを利用して探りを入れていた。

射殺された2人は利用されただけで逃亡した4人の内2人はテロリストのメンバーだった。

テロリストは既に出国済みで逮捕できなかったが日本では出国時の検査も以前より厳しくなった。

日本国内でテロリストの存在が確認されて原子力発電所へのテロ未遂が発覚したことで在日外国人の日本国外脱出に拍車がかかった。

そして日本国民は以前の核物質の管理では甘かったことを自覚した。


日本政府は非常事態宣言後、世界的な混乱とテロ防止を理由に出入国管理を厳格にしていて、一般外国人の入国は原則として禁止しており、在日外国人に対する管理も厳格にしていた。

このため、核テロに対する危機感を募らせた在日外国人の国外脱出に管理を嫌った在日外国人の国外への出国も相まって日に日に在日外国人が減っていった。

日本のメディアは海外メディアに便乗して日本の国内外で危機感を煽っていて、テロ未遂発覚後には日本人の国内居住者にも国外脱出を促し始めた。

そうして日本のメディアが日本人に国外脱出を促す頃には、危機感を募らせたか厳格な管理を嫌ったかで9割がたの外国人が自主的に出国してしまった。

俺は日本人にとって日本以上に安全な国はないと思っていたので特に気にもしていなかったがほとんどの日本人も同じ意見だったようでこの時期に出国した日本人はほとんどいない。

日本では原子力発電所の傍から離れようと引っ越した人がいるぐらいで日本政府は原子力発電所の周囲から人が少なくなる方が防護しやすいので元々奨励金を出していた。

日本以外の国も入国条件は厳しくなっていて受け入れてくれるのは自国民とその家族ぐらいだ。


「だいたい何処にどうやって逃げるんだよ!馬鹿マスゴミが!最低でも船はいるぞ!船に乗ったら安全か?日本近海はともかく南シナ海なんか中国人の海賊が跋扈してるぞ!中国人は今でも人を簡単に殺すぞ!」


南シナ海の西沙諸島・南沙諸島あたりでは中国人の海賊が跋扈していて問題になっている。

周辺国は中国政府に抗議したが「西沙諸島・南沙諸島周辺は中国領海である」と発表するだけで何もしない。

海賊は西沙諸島・南沙諸島の中国の基地を根城にしていて日本はこれを何とか押さえ込もうと周辺国に援助を開始している。

現状はアメリカ軍の撤収に合わせて自衛隊を派遣し始めたばかりだ。

アメリカは軍の撤収を優先して一部の兵器を除いて基地ごと譲渡している。

日本は中国の混乱に対して中国周辺諸国と連携を進めて対処を開始していて自衛隊の派遣もその一環である。




2月末に肉の配給制が緩和されて培養肉の加工食品が発売開始となった。

日本政府からは年内にも肉の自由販売を再開することの正式な発表があった。

自由販売になるのは培養肉だけどこれは仕方がない、家畜を屠殺するよりはましだ。

まだ加工用を優先しているため培養肉の生肉は販売されていない。

培養肉の生肉は大量生産するとまだ品質が安定せず、品質を安定させようとすると少量しか生産できないため作ってもコストが高くなるからだ。

ネットでは培養肉の事が話題になっていた。

「培養肉ウインナーとか食べてみた?」

「俺はハンバーグは食べた」

「ウインナーは美味しかったけど味がなんか違う」

「豚肉の培養肉はないからそれは仕方がない」

「やっぱり違うのか俺もなんか変だなとは思った」

「ハンバーグは普通だったぞ」

「ハンバーグは豚肉なしでも作っていたからだ」

「豚が食べたいなら山に狩に行けば?」

「食べたいけどそこまでする気はない」

「まあ、殆どの人がそうだろう。でも食べたい」

「俺は牛好きだから別にいい」

「私は鶏しか食べれないから構わない」 

「ハムとかも豚が原料のが殆どだからあまりなかった」

「そうサラミが無かった」

「あの油ギトギトのカルパスとかも無かった」

「ドライソーセージは時間が掛かるからではないか?サラミは豚だから無理だけど」

「生肉はいつかな?焼肉なら牛なんだけど」

「牛丼屋はもうすぐ制限なしになるって出てたぞ」

「今は並を1杯しか食えんからな。培養肉が出る前の在庫処分かな?」

「飲食業も何とか持っとるな。もっと潰れると思っとった」

「会社組織は海外でもしぶとく残っているよ。下手な国よりしっかりしている」

「そういえば騒動の割にはあまり潰れていないような?」

「隣が揉めているから周辺に需要があるんだよ。兵器とかその関連機器」

「日本は結構上手く纏めているよな。あとは海賊ぐらいか」

「でも培養肉ってオーストラリアとかとは揉めてないの」

「いや揉めるも何も向こうでも屠殺出来ないんだから仕方がないのでは?」

「在庫はあるみたいだけど高値を狙って売りそびれた感じ」

「あ~それで揉めているんだ」

「アメリカとは揉めていないだろう?」

「日本が輸入を減らした始めたから値段が下がって庶民は喜んでいるみたいだ」

「それに国内が分裂気味で日本の相手をしている余裕はないだろう」

「オーストラリアと揉めているのは中韓人のこともだ」

「日本から脱出してたくさん向こうに行ったからな」

「向こうに家族がいたから入国できたんだろう?」

「出国の理由はオーストラリアのメディアも騒いでいた核テロのせいだぞ」

「向こうからは日本が押し付けた様に見えるんだよ」

「公式に抗議は出来ないから鯨とか海豚で五月蠅いんだ」

「鯨も海豚も培養すればいいからもうどうでも良いんだけどね」

「魚好きだから海豚があまり増えるのは困る」

「魚が減ったら魚肉も培養すればいいよ」

豚の話が出たから父親に聞いてみたけど培養していないのは安定供給できないからで定期的に何頭か狩猟すれば培養肉の販売も可能なようで検討中だそうだ。

なんか要望が多いみたいだからしばらくしたら店頭に並ぶと思う。

ただ野生化した豚の培養肉だから癖があると思うぞ。

魚はすり身とか練り物加工用は培養を検討中で竹輪・蒲鉾・はんぺんなんかの原料は速ければ1年後に培養肉になるようだ。

そうなると漁師はどうなるんだろう?

天然ものを売りにするか新鮮さを売りにするか後は高級志向にするかぐらいかな?

何れにせよ魚は少し取りすぎたみたいだから暫くは漁場を休めないと不味いだろう。






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