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元女帝の従軍期  作者: ダス・ライヒ
入隊後
7/8

初戦

今年最後の投稿と、思われる・・・

 マリが軽歩兵連隊に配属され、初の演習から二日後、連隊に出動命令が掛かった。

 それは付近の市街地に立て篭もる降伏を拒んだ推定千人の百合帝国残党軍を排除せよとの事だ。他にも降伏を拒んだ戦車小隊や駆逐戦車小隊、突撃砲小隊、高射砲小隊、Ⅳ号戦車H型が一両、他多数があると伝えられている。

 出動命令が掛かったため、マリは装備を調え、トラックに乗り込む列へ加わり、市街地へと移動した。

 現地へ到着すれば、ユニバーサルキャリアの上に立っている元百合帝国の領主の上級貴族が市街地に立て篭もる残党軍に向けて降伏勧告を行っている。


(わたくし)は当領主のイーリス・フォン・ダールマンですわ。義勇兵達よ、直ちに武器を捨て降伏なさい。扱いは保証いたしますわ』


 拡声器を使って降伏勧告を行う領主であったが、返答は7.92×57㎜モーゼル弾であった。頬を弾丸が掠めた為、領主は悲鳴を上げ、ハーフトラックの中へ避難した。その後に立て篭もる側から拡声器を使っての返答が来る。


「ヒッ!」


『我々が忠誠を誓うのは神聖百合帝国軍だけだ! 腰抜けの貴族なんかには従わない! 我々は最期の血の一滴まで戦う!!』


 指揮官の男がそう返せば、降伏使者を乗せたユニバーサルキャリアは後退した。

 この知らせは連隊本部に即刻報告させられる。


「連隊長、義勇軍残党は降伏を拒否し、使者を撃ちました」


 通信士からの知らせに、高級品が漂う野戦服を身に付けた金髪の女性連隊長は、紅茶を飲みながら口を離した後、命令を出す。


「では、町に砲撃いたしなさい。めぼしい物は全て航空支援で叩いてしまいなさい。それからは歩兵部隊と戦車部隊による強行突入よ」


「はっ、直ちに掛かります。空軍に航空支援を要請。ならび、砲兵中隊に市街地に向けて砲撃を開始させなさい」


 隣に立つ副官は連隊長が発した通りの指示を復唱し、命令を実行させた。

 命令から数秒で市街地へ向けて砲撃が始まり、市街地を徹底的に砲撃して対空砲等を吹き飛ばそうとする。砲撃が終われば、近くの野戦空港から発進したホーカーハリケーン戦闘爆撃機型が三機ほど市街地に来襲し、砲撃で生き残っている野砲や対戦車砲、戦闘車両を見える限り破壊する。

 ビッカーズウォーウィック偵察機が戦闘爆撃機の戦果を確認するため、市街地の上空を旋回し始める。


『戦果、戦車四、駆逐戦車二、突撃砲三、装甲車六撃破確認! 引き続き監視を続行する!』


 偵察機から報告が来た後、地上偵察実施の為、ダイムラーを先頭にした機甲部隊の突入が行われる。二日前の戦車部隊の車種が違うが、重装甲を持つチャーチルが居るから越したことはない。それにハーフトラックに乗った機械化歩兵も一個小隊しか居ないが、気にしている訳には行かない。

 戦車部隊が先行する中、一番前にいたアメリカのM3A5リー中戦車が市街地へ入れば、何処からかの攻撃を受け、撃破された。直ぐさま戦車の車体の上にいる随伴歩兵は降りて、敵歩兵の索敵を始める。


「総員下車!」


 マリが乗るトラックでも、分隊長が下車を命じ、彼女もそれに応じて小銃を持ってトラックの荷台から降りる。道路に足を付けたマリは、他の将兵達と共にリーエンフィールドNo4を持って敵の索敵に当たる。まだ銃声は聞こえていない。

 聞こえるのは戦車の走行音か自らの居場所を晒すような怒号だけだ。


「出入り口クリア!」


 市街地の出入り口にある建物を調べた小銃手がそう言った途端、ノコギリのような銃声が鳴り響いた。数人が撃たれて倒れる中、直ぐさまマリ達は遮蔽物となる場所へ身を隠す。マリは不死身なので、隠れずに敵を撃てば良いのだが、彼女は今着ている野戦服に穴が空くのを嫌だという理由で遮蔽物へ身を隠した。


「二時方向にMG42!」


 一人の兵士が身を隠しながら恐ろしい連射速度を誇る機関銃MG42の存在を叫んで知らせれば、周囲からドイツ語が何処から戸もなく聞こえ、家々の窓からkar98k小銃やMP40短機関銃の銃口が出て、道路にいるワルキューレの歩兵部隊に向けて撃ち始める。


「敵歩兵多数! 数は不明!!」


 銃声が鳴り響く中、ステンMk5短機関銃を持つ将校が叫び、身体を出している迷彩服の兵士を撃つ。

 四方八方から来る敵の銃撃を避けつつ、マリは二階の窓から撃ってくる規格帽を被った迷彩服の兵士を照準に捉えれば引き金を引き、その兵士の胸に当てる。撃たれた兵士は小銃を堕とし、胸を押さえつつ床に倒れた。

 先行した戦車が歩兵部隊が攻撃を受けたことに気付き、戻ろうとするが、使い捨ての対戦車火器であるパンツァーファウストを側面から受け、撃破される。この時にマリは、他の戦友達と共に敵が機関銃陣地にしているレストランへと入り、制圧に乗り出す。


「敵が来たぞ! 排除しろ!!」


 マリ達の侵入に気付いた敵兵達はGew43半自動小銃やStg44突撃銃を持ち出し、侵入してきた彼女等の迎撃に当たる。いきなりマリ達を見るや、叫んで手に持った銃を撃ってきた。前に出たドラムマガジンのM1928A1トンプソン短機関銃を持つ女性兵士が蜂の巣にされ、無惨な死体を晒す。


撃て(ファイアー)!」


 銃声に混じってドイツ語で叫ぶ声が聞こえ、銃弾の雨が飛んでくる。撃ち返すも敵は激しい弾幕で返し、また一人の味方を撃ち殺す。マリは魔法で防御壁を作り、銃弾を防ぎながらドラムマガジンの短機関銃を回収した。


「魔法だぞ!」


「手榴弾を投げろ!!」


 その声がすれば、手榴弾が二つほど飛んでくる。直ぐに何処かへ蹴飛ばし、爆風を避ける。機関銃を手に入れたマリは小銃を背中へ掛け、トンプソン機関銃を敵へ向けて撃ちまくった。

 声が聞こえなくなるまで撃ちまくった後、元の持ち主から予備弾倉を全て回収して機関銃の銃声が聞こえてくる二階へと上がった。やはり二階にも敵はおり、テーブルを盾にしながら銃弾を浴びせてきた。今度は手榴弾を投げ込んで恐慌的に制圧する。


手榴弾(グラナーテ)!!」


 安全ピンが抜かれたミルズ型手榴弾を見た兵士が叫んだ後、その兵士は飛んできた破片に突き刺さり、死亡した。他の兵士はブレン軽機関銃による銃弾で制圧され、物言わぬ死体となる。機関銃を撃っていた敵機関銃手が気付いて、MG42の銃口を向けたが、マリが持つM1928A1の連射で蜂の巣にされ、窓から落ちて死んだ。

 先程機関銃が撃たれていた窓から、伍長が下にいる友軍に機関銃を制圧したと告げる。


「機関銃制圧!」


 この報告の後、マリ達は次なる敵陣地を制圧すべく、移動した。まだまだ銃声は聞こえ、下からは怒号と断末魔が飛び交っている。そんな中をマリ達は突っ切り、出て来る敵を他の味方部隊と協力して排除しながら進む。

 広場へと到着すると、パンツァーファウストでやられる味方の戦車が見えた。破壊された戦車を盾に、友軍の歩兵部隊が敵と交戦している。直ぐに味方と合流し、遮蔽物に隠れて無線兵の隣に居る赤いベレー帽を被った将校に分隊長が戦況を問う。


「こちら第3中隊です! 戦況はどのような状況で?!」


「状況? もうバラバラよ! 各部隊混乱状態でまともな統制なんて取れてないし、何処に敵がいるかどうかも分かんないわ!」


 将校は銃声に負けないくらいの声量で答え、無線兵が背負う携帯式無線機から受話器を取り、自分が属する大隊本部への連絡をつけようとする。その時、銃撃戦の真っ直中に取り残された兵士の助けを呼ぶ声が耳に入ってきた。


「助けて!」


 助けを呼ぶ兵士は脚を撃たれており、這いずりながらこちらへ来ようとしている。それを見たマリと同じ分隊所属のオーウェン・マシンカービンと言う上部に弾倉を付けた短機関銃を持つ兵士が、彼女を助けようと、敵の銃火が激しいと思われる箇所へ今持っている銃を乱射し、敵の銃声が止めば、直ぐさま、助けを求める兵士の元へ向かう。

 しかし、これが狙撃手がよく使う罠であり、それに気付いたマリが止めようと叫ぶ。


「馬鹿! 戻りなさい!!」


 助けに向かう戦友を止めようとするマリであったが、彼女は聞かず、脚を負傷した友軍の兵士を担ごうとする。手を伸ばそうとした途端、何処かに潜む狙撃兵に頭を撃たれ、地面に倒れた。


狙撃兵(スナイパー)!」


 一人の兵士が叫べば、将校が狙撃兵を仕留めるようこの場にいる誰かに指示を出す。


「誰か狙撃兵を倒しなさい!」


 そう指示を出す将校だが、何処からともなく出て来る迷彩服を着た敵兵達の応戦に必死で誰も指示を実行しようともしない。誰も志願しないため、マリが手を挙げて志願した。


「あんたね。さぁ、掩護してあげるから早く狙撃兵を倒してきなさい! 総員支援射撃!!」


 将校がそれを言えば、小銃手や短機関銃兵、機関銃手に援護射撃をするよう告げ、即刻狙撃兵が居る場所や敵が撃ってくる箇所へ一斉に撃ち始める。軽駆逐戦車ヘッツァーが出て来たが、PIAT(ピアット)と呼ばれるバネで対戦車用弾頭を撃ち出す携帯式対戦車火器で撃破される。生産性を重視した所為で装甲が脆くなった所為か、正面に諸に受けて撃破されてしまったようだ。

 マリは全力疾走で黒煙を上げるヘッツァーを横切り、MG34機関銃の弾幕を避けながら狙撃兵が居る塔へ向かう。


「死ね! 皿頭めっ!!」


 迷彩カバーを付けたヘルメットと迷彩服を着た敵兵二名が手に持つkar98kを撃ってきたが、マリはエンフィールドNo2MkⅠと言うイギリスの回転式拳銃を素早く抜き、安全装置を外して二人の頭を早撃ちで撃ち抜き、脅威を排除した。

 それからは次から次へと敵兵が少数で出て来たが、比較的二名か三名程度なので、手持ちの武器で楽に排除できた。十人ほど撃ち殺すか刺し殺すかした所で、目的地の塔へ辿り着く。屋内では振り回し辛いリーエンフィールドNo2から屋内向きのM1928A1トミーガンに取り替え、塔の中へ入る。やはり、塔にも何名か敵が潜んでおり、手に持つ小銃や短機関銃を撃ってくる。


「敵が来たぞ!」


 その叫びの後に、会談の上からも銃撃が来て、銃弾がマリの頬を掠める。掠めた箇所から血が噴き出すが、物の数秒で傷口が逆再生の如く塞がる。壁に身を隠しつつ、ドラムマガジンのマシンガンを乱射した。

 一人の悲鳴が聞こえた後、けたたましく響き渡る銃声の中から床に敵兵の装備が当たった音が耳に入る。隠れている間にミルズ手榴弾の安全ピンを抜いて敵兵が居る場所へと投げ、殺傷した後、階段から来る敵に銃撃しつつ上階へと階段へ取り憑くことに成功する。


衛生兵(サニテーター)・・・!」


 近くで飛んだ破片が胸や腹に刺さった兵士が、階段の上に向けて衛生兵を呼んでいるが、銃声に掻き消されて聞こえていない。マリはトミーガンの再装填を終えれば拳銃を出し、呻き声を上げる敵兵にトドメを刺す。トドメを刺した後、銃口から硝煙を上げるエンフィールドNo2を仕舞い、短機関銃を構えながら階段を上がった。

 引き金には指を掛けず、銃身のフォアグリップを左手に握り、一段一段に脚を掛けながら上がっていく。上から聞こえてくるのは銃声は狙撃銃か機関銃で、声すら聞こえてこない。最上階まで上がると、狙撃銃を握る狙撃兵と双眼鏡を持って観測する観測手、機関銃兵に背中に小銃を掛けて弾帯を持つ兵士を合わせた四人が居た。

 直ぐにトミーガンを乱射し、塔にいる自分以外の全員を撃ち殺す。全員が倒れたのを確認すると、死体を蹴って、死んでいるかどうかを確認する。最後に規格帽を被った倒れた狙撃兵を蹴れば、自分の足を掴まれる。


「キャッ!」


 足を掴まれてバランスを崩したマリは床に倒れ、覆い被さってナイフを突き立ててくる狙撃兵に抵抗する。狙撃兵のナイフを持つ手を両手で抑え、足で蹴って退かそうとするが、相手は背中に銃弾を受けたにも関わらず、渾身の力を入れて刺そうとしてくる。

 どう対処するか抑えて考える中、皿形のヘルメットを被っている事を思い出し、規格帽を被った白人の男に向けて頭突きを食らわせた。


「あっ、あぁぁぁ!!」


 目元に強烈な打撲を受けた狙撃兵は叫び声を上げ、余りの痛さに目を押さえながらのたうち回り、マリから離れた。彼女は背中に掛けた小銃を手に取り、のたうち回る狙撃兵に向けて撃った。狙撃兵の排除に成功したマリは狙撃兵が被っていた規格帽を取り、それを塔の最上階から振って「制圧した」と下にいる友軍部隊に報告した。

 数秒足らずで階段から塔を出たマリは所属する部隊と合流して制圧戦に復帰する。

 緒戦ではかなりの損害を与えられ、混乱状態に陥ったが、増援等もあってなんとか持ち直し、敵の本隊が立て篭もる庁舎まで接近する所まで辿り着く。

 マリ達も後続の戦車部隊と共に庁舎まで向かう。戦車はM5スチュアート軽戦車であり、全部で五両が道路に沿って庁舎まで向かっている。歩兵は左右に展開して歩き、マリもその中にいた。

 他の歩兵と同様、小銃に銃剣を付け、前進している。軽戦車の上には何名かの随伴歩兵が乗り込んでいる。庁舎の前まで接近すると、砲声が鳴り響き、先頭のM5が大破した。

 車体の上に乗っていた将兵達が爆発の余波で原形を留めないほどの肉塊となり、飛んできた肉片が近くに居る兵士に辺り、負傷させる。負傷した兵士には赤十字を付けた衛生兵達が寄り添い、負傷兵を安全な場所まで運んで応急処置を開始する。その間にも庁舎からの砲撃が来る。


「散会しろ!」


 先頭の車両が吹き飛んだのを確認した将校が指示を出せば、将兵達が散会し始める。マリも散会しようとしたが、近くにあった戦車が屋根の上から忍び寄ってきたパンツァーファウストを持ったグレーの野戦服を着た兵士に破壊された。爆風の風圧がマリと近くにいる若い兵士の身体を襲い、商店まで吹き飛ばす。

 ガラスを突き破って店の中まで吹き飛ばされたマリは起き上がり、小銃を向けて周囲を警戒する。途中で倒れている若い兵士も起こし、背中を守るように告げる。


「あんた、背中守って」


「え? あっ、はい・・・」


 マリに起こされた若い童顔の兵士は、それに応じてリーエンフィールドNo4を向けながら警戒に当たる。店の外へ出ようとしたが、両側面に増加装甲を付けたⅢ号突撃砲G型が二両ほど随伴歩兵を連れて店の前にある道路を横切った為、危険と判断して店の中に戻り、身を隠した。突撃砲の後ろからついてくる随伴歩兵は、店にいるマリ達には気付かず、後退するマリが属している軽歩兵部隊の追撃に当たる。

 奥に何か潜んでいるのでは可能性を入れ、マリは店の奥へ入っていった。彼女の後ろからは若い兵士が銃を構えながらついてくる。

 奥まで進んでいくと、マリが気付かぬ間に童顔の女兵士が部屋の出入り口に差し掛かったところで迷彩服を着た少女に連れて行かれた。口を抑えられ、喉元をナイフで掻き斬られる。マリは居なくなったことに気付かぬまま進むと、後ろを振り返り、居ないことに気付いて声を出し、銃を構える。


「ねぇ、何処に行ったの?」


 暗い部屋の中でそう言うが、誰も出て来ない。各所の部屋には迷彩服を着た少年兵と少女兵が三名と制帽を被った将校が一人ほど潜んでいるが、マリは気付くことはない。返事が来ないため、怪しい場所にライフルを数発撃ち込む。

 弾を全て撃ちきると、悲鳴が聞こえて倒れた音が聞こえてくる。確認するために音が聞こえた方へ向かうと、痺れを切らした一人の少年兵が飛び掛かってきた。


「うわぁぁぁぁ!!」


 kar98kに付けた銃剣でマリを刺そうとするが、トミーガンのストックで顔を強打され、床へ豪快に倒れ込み、首を強く踏みつけられて首の骨を折られ、吐血して白目を剥いて死ぬ。敵の死体を確認したマリは、自分を襲ってきた正体がまだ十八にも満たない少年であることに驚く。


「子供・・・? 少年兵まで投入してるとなると・・・」


 事情を知っていたマリはそれを口にした途端、少女兵が持つ小銃のストックに殴り付けられ、壁に身体をぶつける。その衝撃でヘルメットが脱げ、地面に落ちれば、少女兵士が小銃を喉元に押し付けて殺そうとしてくる。


「死ねぇぇぇ!!」


「クッ、あぁ・・・!」


 その叫びと共に喉元に押し付ける小銃の力が強まり、呼吸が困難になっていく。少女の顔はとても整っていて、大きなエメラルドグリーンの瞳が輝き、年は先の少年兵と同じ十七かそこらだろう。だが、今はそんな状況では無い。

 この少女を引き離すか殺さねば、自分が死ぬ。死ぬことはないが、死んでいる最中に何かされるのはご免だ。

 そう思ったマリは、小銃を抑えている手を一つ離し、少女の顔を掴んだ。爪を立てて少女の顔に傷を付けるが、それでも少女は小銃に力を緩めない。視界がぼやける中、マリは顔を殴り付けて引き離そうとする。


「きゃん!」


 強く殴り付ければ小銃を落とし、顔を押さえて離れた。好かさず少女は腰に差し込んであるワルサーP38自動拳銃を引き抜き、マリを撃ち殺そうとするが、彼女も好かさず少女に接近して少女の唇を奪った。


「っ!?」


 何が起きたのか分からない少女は、目を見開いて混乱する。そんな頭が混乱した少女兵士に、マリは背中にナイフを強い力で突き刺し、少女兵士を即死させた。一瞬で魂を天に召された少女兵士の死体は、マリが唇から自分の唇を離して離れれば床に仰向けになって倒れた。

 物言わぬ死体となった少女兵士を見て袖で自分の口を拭い、見開いた少女の目を閉じさせた。

 戦闘に戻ろうと、店を出ようとしたが、最後に残っていた将校に首根っこを掴まれ、顔を殴られ、床に倒れる。反撃に出ようとするマリであったが、Stg44の銃口が自分の胸に突き付けられていることに気付き、武器を離して両手を挙げる。マリの顔を見た身長が180㎝はある二十後半の将校は、何かを思い出したかのようにそれを口を開く。


「お前、何処かで見たことがある・・・絵画に描かれていた高貴な女だ。確か名前は・・・?」


 マリの顔を思い出そうとする将校であったが、数秒間悩んだ末に思い出し、それを口にした。


「思い出した。お前は我らが仕える帝国の皇帝だ。まさかこんな所にいるとはな、中佐に報告せねば」


 そう言ってマリを起こした将校であったが、マリは隙を逃さず、将校の腹を思いっ切り右足膝で殴り付け、将校が持ったStg44を奪い、それを将校へ向けて数発ほど撃った。


「グアァァ・・・! こ、この・・・!」


 数発ほど撃ったが、将校は死なず、血を吐きながらルガーP08自動拳銃を引き抜いて撃とうとしたが、マリは引き金を引いて何十発も浴びせた。やがて将校は床に倒れ、血を流しながら息絶える。将校が死んだのを確認したマリは、死体の持ち物である突撃銃を持ちながら店を出た。

 戦闘は既に終了しており、銃声は全く聞こえず、庁舎の上にはワルキューレの将兵の姿が幾つもあった。下には至る所に包帯を巻いた敵将兵達が列を成し、後頭部に両手を添えさせられて歩かされているのが見える。

 どうやら最後の抵抗虚しく、降伏したようだ。先程の突撃砲同様両側面に増加装甲を付けたⅣ号戦車H型からも、左目に眼帯を付けた戦車長と共に他の乗員達が手を挙げながら出て来る。辺りに両軍の黒煙を上げる車両と周囲に転がる死体が目に入る中、次に庁舎の出入り口に目を向けると、担架の上で横たわる敵指揮官の姿が見えた。

 右手にマウザーC96と呼ばれる古い大型自動拳銃が握られているからして、それで拳銃自殺したのだろう。その手握られた大きな拳銃は、ベレー帽を被った将校が死体の指から外して回収される。上空にはエンジン音を呻らせながら航空機が市街地上空を旋回している。

 戦闘が終わったのを実感したマリは、店に戻って自分の装備を回収した後、自分の部隊が居そうな方向へ向かった。

 こうしてマリに取って初めての戦闘は、六時間余りで終わるのであった。

「神聖百合帝国軍って、女ばっかでしかも美人な男の願望丸出しの軍隊だよね。なんで男とかガキンチョが居んの?設定ミスってんのん?」


そんな理由を読者の方々は思い付いてると思ってる。

WW2のナチスドイツには、国防軍や武装SSには義勇兵や外国人の部隊が居てな・・・

国防軍にはそこら辺のドイツ系と同盟国からの外国人義勇兵が参加してます。

例として上げるなら、第二次世界大戦では日和見主義的だったスペイン、ユダヤ人狩りにノリノリなのに被害者顔するおフランス、ロシア解放軍、アジア系で編成される東方部隊、他連合国がお嫌いな国々の方々。

日本人も参加している?とされましたが、駐在の将兵が国防軍陸軍の将兵と意気投合し、ノリで軍服を着て記念写真を撮ってるだけなので除外。


武装SSにも義勇兵は存在。取り敢えず、戦争が長引いちゃって、エリートが沢山死んだので、そこらの占領地域から徴兵しまくり、外国人部隊になっちまいそうな勢いだったそうで。

例は取り敢えず、調べてください(投げやり

なんたってイスラム教徒やらも参加してましたから。それに日本人も少なく限り。


神聖百合帝国軍も戦場に参加できるメガミ人が戦争で死にまくったりしたので、占領地域から使えそうな男を手当たり次第徴兵し、訓練して反撃に出る敵連合軍にぶつけております。

本編に出たのは、戦災孤児や孤児院から引っ張り出して、子供のときから軍事教練を受けさせてきた軍隊エリートです。

メガミ人より良い働きをするもんだから、勲章とか幾つか貰ってます。

もっと細かい説明をしたいのですが、ここまで。


では、来年も元女帝の従軍期をよろしくお願いします。

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