プロローグ
第二次世界大戦。いわずと知れた英米率いる連合国と日独伊三国の枢軸国の対立によって行われた世界規模の戦争だ。
軍人はもちろんのこと、民間人や中立国の犠牲者数を合わせると5000万~8000万人といわれている。
当時の世界の人口の2,5%以上が被害者となった。これらには飢饉や病気の被害者数も含められてる。
とはいえ、そのほとんどは戦死として処理される。その原因は同じ人間の手で遂げられたものだ。
各国の軍隊に所属していた英雄が戦果をあげたことに比例している。
陸軍なら船坂 弘、チャールズ・ケリーなど、空軍なら坂井 三郎やエーリヒ・ハルトマンなどと云うように世界に名を知らしめた屈強な軍人達がいる。
彼らは国のためと命を賭けることでその名誉を得た。形ある物を遺すために戦場へと駆り出されたのだ。
しかし、何も遺せず、遺すことさえも許されず戦果を挙げた者達がいた。
名前を"名も無き軍隊" (ノーネーム・アーミー)・といった。
深刻な戦争で人員不足の連合国は一般人以外に徴兵し、結成された非公式軍だ。
彼らは元犯罪者、売女、浮浪児など、表に公表されない者達だ。みんな殺しや金に飢え、この軍隊へ入隊してきたのだ。
だが、個人の戦闘は一騎当千そのもの。昔、生活するために窃盗や殺人を繰り返したおかげでその能力が活かされてる。
ある者は修羅と化し、ある者は影となり、ある者は壁となった。
かの有名な軍人達が表の舞台で踊るのなら、彼らは裏の舞台で踊る、そういう集団だ。
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しかし、世界大戦、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争と戦ってきた彼らだが、いずれ自分達に牙を向けるのでは?と危惧した各国の首相達によって解散され、今はそれぞれの道へ行く。
"名も無き軍隊"の解散から5年。
その内の一人だった青年は今は秘境の町にいた。