男子ズのバレンタイントーク
※元Web拍手
※会話文のみ
※微妙にネタバレがあるため、本編の3章まで読了推奨
※男子3人が本編の絡みを受けバレンタイントークをするようです。
葵「女子校に敵う訳ないだろ……」
京也「ベリーも言ってたけど、女子校だとバレンタインはもはやお菓子を食べあう一大イベントで、本来の意味を度外視して盛り上がるらしいな。学校にもよるだろうけど」
裕希「本来の意味じゃなくてもチョコが食えるなら羨ましい」
葵「そこかよお前」
京也「で、結局今年のバレンタインは何個だったんだ?」
葵「聞くんですか」
京也「いや、話の流れでなんとなく。ちょっと気になるしね。ゼロとかで話すの嫌なんだったら別に聞きはしないけどさ」
裕希「ゼロじゃないけど」
葵「数云々じゃなくってその中身が嫌なんだけどな」
◇京也の場合
京也「僕は3個だよ」
葵「なんだよしっかりもらってんじゃねーか」
裕希「そんぐらい貰えれば十分じゃん。いいなー共学」
京也「っていっても、そのうち1個は生徒会でケーキ切り分けてみんなで食べただけだから、数に入るか怪しいけどね」
裕希「それでも食べられるならいいじゃんか。で、内訳はどーなってんの?」
京也「それを含めて義理チョコが2つと、実験チョコが1つ」
裕希「待って内訳がおかしい」
葵「なんだその実験チョコって」
京也「みんなもよく知るベリーさんからのチョコですよ……」
葵「実験……?」
京也「言ったろ、女子校だとバレンタインはイベント化してるって。毎年毎年、まず僕の反応を見てから友達なり先生に持っていくんだよ。
けど種類の違うチョコをいくつも持ってきて当日の前に試食させる形だし、包装もしてないから、厳密には世間で言うバレンタインと違う気もするけどね」
裕希「でもいいじゃん、毎年律儀にくれるんだから」
京也「たまに得体の知れない物体が入ってたり死ぬほどの激甘だとしても、か……?」
葵「得体の知れない……」
京也「別にベリーは料理ベタじゃない。けど普通のチョコだけ飽き足らず、ネタになりそうなチョコをわざわざ開発して持ってくるんだよあいつは。
で、僕がその実験台にされるわけだ……」
裕希「なるほど実験チョコ……」
◇葵の場合
葵「俺はゼロのが遥かにマシだった1.5個だ」
京也「ゼロのがマシって……」
裕希「その0.5部分は一体何なのさ」
葵「担任がクラス全員にチロルチョコを配った」
京也「何そのしょっぱい思い出」
葵「しかもいくつかチロルが余ってたから何人かはもう1つってことで、じゃんけんしたら勝ってしまい2個も貰った」
裕希「そこは勝たないで」
葵「あともう1個のは……なんていうか黒歴史の産物、というか……」
京也「黒歴史?」
葵「……あんま言いたくねぇんだけどさ。文化祭で、うちの高校は恒例でミスコンをやるんだよ」
京也「ああ知ってるよ有名だもんな。澪継高校は男子校なのに女装してミスコンをやるっていう」
裕希(目を反らす)
葵「細かい経緯は省くけど、ユウに巻き込まれてソレに俺も無理矢理出場させられたんだよ……」
京也「……わぁ」(←かける言葉が見つからない)
葵「で、多分その時ソレを見てたんだろう女子高生三人から『葵ちゃんこれからも頑張ってください☆』ってファンレターと共に手渡された」
京也「それはなんと言うか本当にお気の毒様でした」
葵「あんな切ないバレンタインは初めてだった」
京也「だろうな……」
裕希「どんまいアオ、そんな日もあるよ」
葵「お前なぁ……」
◇裕希の場合
裕希「今年は1個だけだったよ。幸い俺のクラスはチロルチョコ配布はなかったからさー」
葵「幸い……。けど1個だとしても普通に貰ったならいいじゃねーか」
裕希「それが野郎からのチョコだったとしてもアオはそう言うのかな」
葵「すみませんでした」
京也「その時お前に何があったんだ」
裕希「アオと同じ理由だよ……」
葵「いやいやいや同じじゃないだろ相手は男だろおかしいだろ」
裕希「ミスコン絡みの冗談だから同じだよ。俺も出ただろ……。
帰ろうとしたら下駄箱にチョコが入ってたんだよ。アレは明らかな嫌がらせだと思ったから職員室に直行しようとしたら、影から反応見てた友達が慌てて出てきてさ。まあそいつらには後でラーメン奢らせたからいいけど」
京也「冗談でホント良かったな」
葵「まったくだ」
裕希「念の為言っとくけど、毎年こんなんじゃないからな」
京也「大丈夫。分かってる」
葵「まったくだ全てはあのミスコンの所為だからな」
京也「大丈夫。分かってる」
◇『今年』は?
京也「……今年は1個『だけ』」
裕希「ん?」
京也「それ以前のバレンタインはどうだったんだ?」
裕希「……それ言うとさ、キリないじゃん。ここで終わりにしようぜ」
京也「因みに僕は、中3がベリーの1個だけで高1は2個だ」
葵「俺は中3が1個で高1がゼロ。親のは除外してるけどな」
裕希「……何この言わざるを得ないムード」
葵「その通りだよ」
京也「何を躊躇する必要がある、普通に言えばいいだろ」
裕希「別にそんな多くないよ。……中3が5個で高1が3個」
京也「どう思われますか葵さん」
葵「羨ましい限りですね京也さん」
裕希「な、なんだよその反応」
京也「男子校にいた高1でもこの戦歴」
葵「しかもどうやら口ごもったところを見ると本命? 本命なのか?」
裕希「なんでそうなるんだよ!」
京也「ならばさっぱり綺麗にその内訳を示してもらおうか」
葵「洗いざらい白状すればきっと楽になるはずだ」
裕希「なんか二人のテンションがおかしい!」
葵「おかしいのはお前の取得数だ」
京也「事と次第によっては通報することも辞さないけどね……」
裕希「どこに!? 何を!?」
京也「それは勿論、今年君がチョコを貰いたいと思っている誰かのことだと思うけど」
裕希「それはリアルに止めて」
◇次回の展望について
京也「来年は奈由ちゃんからの普通のチョコが欲しい」
葵「普通って……」
京也「実験台にされるんでも何でもいいから普通の味の普通のチョコをいただければ僕はそれで」
葵「お前ベリーの所為で麻痺してないか」
裕希「普通実験台にはしないから大丈夫だろ」
葵「草間はあげる側じゃなく貰う側に徹していそうだけどな」
裕希「言えてる。その代わりあげたらホワイトデーに返してくれそうだけど」
葵「流行の逆チョコか」
京也「それもまたヨシ……!」
裕希「お前はどこを目指そうとしてるの」
京也「まあ奈由ちゃんじゃなくても、誰がくれたって嬉しいんだけどね。義理でも喜んで。
ていうかこういう状況になって折角彼女たちと仲良くなったからには、あの4人みんなから貰うのが理想ですけど。貰いたいですけど」
裕希「4?」
京也「お前琴美ちゃんが僕らなどにくれるとでも思うのか」
裕希「いいえ思いません」
京也「欲しいんだけどな、琴美ちゃんからも」
裕希「物好きだな……」
京也「全国のクールビューティーに謝れ」
裕希「何でそうなるんだよ」
葵「佐竹もだけど、月谷は……」
京也「……こういうイベントには進んで便乗しそうだから数に入れたが、実際問題くれる確立は低いだろうな。特に僕には」
裕希「何その自覚」
京也「貰ったところでつい喧嘩を売ってしまい、チョコを反故にして奈由ちゃんに叱られかねない。チョコに罪はないのに」
葵「そこまで冷静に分析できてるのもどうかと思うけどな」
裕希「ていうかあいつは貰う側」
葵「言うな。悲しみが蘇る」
京也「多分あのメンバーだと、比較的くれる可能性が高いのは春ちゃんか杏季ちゃんかな。杏季ちゃんは今後の慣れ次第って感じだけど。春ちゃんはなんだか家庭的っぽいし料理とか上手そうだから期待できそうだなー。
あー春ちゃんの手作りチョコが食べたいなぁホント欲しいなぁ」
葵「させるか」
京也「どういう意味?」
裕希「どういう意味?」
葵「うるっせぇよてめぇら」
裕希「ここで朗報です。『白原杏季はお菓子作りが上手い』」
葵「朗報はいいとしてどうしてお前がそれを知っているのか」
裕希「まーいーじゃんその辺は」
葵「なんだか怖いんだよお前のその無駄な情報収集スキル」
裕希「だって公式プロフィールにもあるしさ、割と友人筋では有名らしいよ」
京也「公式プロフィール言ったら駄目だ」
裕希「割と慣れてはきたみたいだし、あいつのことだから会う機会さえあれば俺ら全員にくれると思うけど」
京也「素直に嬉しいな、それは非常に楽しみだ」
裕希「嬉しいけどあまり嬉しくない」
京也「ほう……」
裕希「ちょうどお前らがタイミングよく風邪でも引けばいいのに」
葵「なんだよその逆恨みチックな願望」
京也「意地でも引かないぞ僕は」
裕希「あと畠中春は、とある説によると『逆チョコを貰ったことがある』との噂なんですが」
葵「…………」
裕希「なにかコメントは?」
葵「何を言わせたいんだよ」
(後日)
裕希「この前さ、なんか俺への集中砲火で二人のはさらっと流されたけど、アオの中3での1個と京也の高1でのベリー以外の1個って」
葵「そんなことより今はこれからのことを考えるべきだユウ」
京也「過去は振り返らないで未来に目を向けるべきだよリン」
裕希「えー……」
葵&京也「…………」
(フェードアウト……)