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エステルドバロニア  作者: 百黒
4章 港の国
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10 自覚




 カロンが抱きかかえられたままコードホルダーに指示した地点は路地裏の行き止まりだった。

 マップには人を表す点がなく、降り立った自分と彼女と追手二人の四つだけが点灯している。

 衝撃がなく浮遊感と風だけを感じていた跳躍を終えて、地面に着地した町娘が膝を折って軍服の男を優しく降ろす。その光景は傍から見たらどう映るのかと気になったが、考えるよりも早く角を曲がってきた追手が余裕たっぷりに黒曜の刃を挟んだ木剣を担いでいる姿を見て気を引き締める。


「誘い込んだつもりか? 帝国の狗め。あたしたちの国に何をするつもりだ」

「話が飛躍していないか……? 私は帝国の人間ではないし、商人を騙してもいない」

「はっ! 嘘をつくな悪党! 商人は「帝国の服を着た男に恫喝されて高く買い取らされた」と証言しているんだ! お前が何かするために資金を得ようとしていることはお見通しなんだよ!」

「そもそもさ、僕らに信用されると思ってるの?」

「……ふむ、確かにな」


 突き出した剣をブンブンと上下に振りながら怒り狂う姉とは対照的に冷静な弟の言葉に思わず納得してしまうカロン。どう見てもこの国では部外者の自分が何か言ったところで、長く暮らしている住民と比べればどんなに正しかったとしてもその言葉の信用は軽い。

 だからといって私が悪かったですとなるわけがない。カロンとしては今後の交易などを考えてなるべく穏便にしておきたいが、相手はまったくそんなつもりはないようで、今にも襲いかかりそうな気配だけがビリビリと感じられた。


「何度も言うが私は帝国の人間じゃないし、商人に関しては向こうが提示してきた金額を受け取っただけだ。ただそれが問題なら余剰分を返金するのも吝かじゃないが、どうかね?」

「残念だけど、僕らにとって重要なのは商人との話じゃない。帝国からの流れ者が怪しい動きをしていることが問題なんだ。それが例え疑惑だろうと」


 違うと言い張っても二人は決めつけている。カロンに自分が帝国兵じゃないと信じさせられるものはなく、この悪魔の証明をどうやっても説得は難しい。

 もう一度逃げても五日間ひと目に触れず生活するのは不可能だし、なんでこうなるのかと叫びたいくらいだった。

 こめかみを押さえて痛む胃の軋みを我慢して、それでももう一度と口を開きかけた。


「っ、マスター!」


 コードホルダーが叫ぶと同時に視界が紅蓮の光に染まっていた。

 前に立ったコードホルダーが手を振り払って迫る真っ赤な炎を消し飛ばしたが、その熱はカロンの頬を強かに撫でていき、チリッと燻るような熱が余韻として残された。

 犯人は姉の方だった。彼女の褐色の肌を照らす炎は無骨な木剣から放たれており、横薙ぎに振るだけで刀身から炎が溢れ出ていた。


「どうだ? 大人しく従うなら楽に殺してやるぞ? 少しはやるようだが、そんなものでこの――」


 遊び程度ではあるが、それでも本物の炎を払ったコードホルダーに感心していた女だったが、灼熱に触れて焼け爛れてしまったコードホルダーの腕から覗いた鋼と歯車を見た途端に獰猛な笑みへと顔を変えた。


「……もう言い逃れはできないなぁ。帝国のクソらしい鉄屑の人形か。薄気味悪いお前にお似合いじゃねえか」

「自動人形……? でも、あんな精巧なのが完成していたなんて聞いたことは……」

「さあ観念しろ。綺麗サッパリ燃やし尽くしてやるよ!」


 優位な立場を崩さない姉と、何か気にかかる弟。痛覚を持たないコードホルダーは駄目になった義手を気にせずカロンの守護に専念し、カロンは――



「そうか。つまり、貴様たちは私の敵だということだな」


 その言葉を聞いただけで、女の足は無意識に半歩下がっていた。

 うだつの上がらなそうな顔で、吹けば飛びそうな希薄な性格の貧弱な男だと認識していた。軍人らしからぬからこそ潜入させられていると。

 少女に守られる情けない男のはずなのに、なぜこれほど寒気がするのか女には分からない。握りしめた木剣から放たれる霊炎の暖かさも感じられなくなっている。


「我らに牙を剥いた。我らに剣を抜いた。この私の愛する部下に……傷を負わせたな?」


 カロンの精神が一気に負へと傾いていく。

 焼け焦げた匂い。揺らぐ陽炎。嘲笑う追手。今まで綺麗事で抑えていた感情が油田のように湧き上がってくる。

 脳裏を走ったノイズが敵に向ける同情心を掠め取り、王国の件もあって溜まり溜まったフラストレーションも共に吹き出していけば、思考は一つに定められた。

 俯いていた顔を上げれば、もうそこに気弱さはなく、愚かな下等生物を睥睨する魔物の王の双眸が敵を射抜く。

 ただの眼光でしかないのに、なぜか姉弟に寒気を感じさせた。


「姉さん。あいつやばいんじゃ」

「ビビるなラシェラ! どうせ戦えるのはあの人形だけだ! あれさえ壊せば簡単に殺せる!」

「でも、雰囲気が違う。なにかするかも……ここは兵士を待ってから」

「うるさい! 帝国兵を前にして逃げてたまるか! 絶対に殺すんだ! お前も母様に誓っただろう!」

「けどこいつなにかあるよ! 普通じゃない!」

「帝国のヤツが普通だったことなんてない ……! やるんだよ! あたしたちかここでこいつらを――」

「……コードホルダー、命令だ」

「はい」


 底冷えするような王の声に、機械駆動の配下は一言一句聞き逃すまいと耳をそばだてた。



「遊んでやれ。この私に歯向かう愚行への許しを、死によって解放してほしいと無様に乞いたくなる程度にな」

「イエス、マイマスター」



 敵を前にして口論を始める姉弟を、巨大な何かが落ちてきて視線を遮った。

 反応できたのは轟音と噴煙が起きてからだ。咄嗟と呼ぶにはあまりにも遅い退避。そしてその物体を確認する。

 それは巨大な鉄板だった。いや、妖しい輝きを放つ磨き上げられたミスリルの刃だ。分厚く、幅広く、長大な、柄のない刃。背の高い女の倍はある、人間には扱えないソレは叩き斬った地面からゆっくりと浮かび上がり、左の建物の壁を乱暴に切り裂きながら主のもとへと帰っていく。

 行く先を視線で追えば、そこにいたのは町娘ではなく、露出の激しい黒い装甲を身に付けて鋭角な手足を動かす美しい人形だった。

 背中には接続された巨大な機械と、左右に浮遊する異常なサイズの刀身。

 バイザーの奥でオッドアイが標的を捉えて駆動し、細い爪先で立つ機巧の怪物は静かに佇む。膨大な魔力を炉核にくべて、バックパックユニット“リベリオン”のスラスターから放熱された。


「王命です。大人しくしていれば余計な傷を負わせず効率的に絶望を与えてあげます。残念ですが、私にとって重要なのは貴方たちの死ではなく、どれだけ手早く殺されたがってくれるかですので」


 スラスターが重々しい音をたてて上下に開き、外気から取り込んだ魔力を正面に向けた砲口に収束させていく。

 数が少ない機巧種にだけ許された特殊兵装。その中でもオールラウンドに機能する課金チート武器が主の命令に喜んで唸り声を上げた。


「姉さん!」


 町娘の豹変に泣きそうな声を出す弟に、姉は何も答えない。

明らかに人智を超えた存在を前に、大切な弟の声も届かない程激しく思考を巡らせていた。


(逃げるのは無理だ。でも絶対に勝てない。兵たちが来ても全滅する。こんなものに暴れられたら国が消し飛ぶ。でも、でも、帝国に頭を下げる真似だけはできない……!)


 全て自分の撒いた種だ。たった二人と油断し侮った責任だ。せめて弟だけでも!


「危ない!」


 そう決めて弟を引き寄せようと手を伸ばし、しかし腰に抱きついて押し倒す弟の方が早く女の手は宙を切った。

 仰向けに倒れていく自分の感覚がスローモーションになり、つい今しがた自分の立っていた場所を光の柱がうねりを上げながら貫いた。

 魔術とは違う、強引に魔力を束ねた光は断末魔のような劈く音を立てて直進し、家屋を数十貫いてなお衰えず光り輝いている。

 もし直撃すれば塵も残さず消滅してしまいそうな密度の閃光。それを放ったコードホルダーは、わざとらしく小首を傾げた。


「外しました。ではこれはどうでしょうか」


 弟が動くタイミングを図っていたくせにとぼけた態度だが、歴然とした力の差を思い知らされた二人に噛み付く余裕はなく、立ち上がる力さえ喪失している。

 折り重なる二人をオッドアイは冷たく分析し、手を上げるに合わせて大きな刀身が切っ先を空へと突きつけた。


「化け物……」


 女の吐露をカロンは鼻で笑う。


「その化け物をその気にさせたのはお前たちだろう? どいつもこいつも私の気も知らず好き放題しやがって。馬鹿に侮られるほど腹立たしいものはない。この、この俺を虚仮にした代償は何がなんでも支払ってもらうぞ! 貴様らも、王国も、歯向かうやつは全て殺し尽くしてやる! 力で従えるのが正しい世界だというならそのとおりに――!」


 ザザ、ザザ。


「――……?」


 また強くなるノイズ。視界も思考も白黒に染めてしまうあの感覚に、心が咄嗟に抗った。

 押し寄せた津波が引くように怒り狂っていた心が静けさを取り戻していき、晴れた視界で見た光景はその爪痕。

 歯の根が合わずカチカチと音を鳴らす女。姉にしがみつきながら股を濡らして震える少年。遠くまで穿たれた大きな穴。

 それが自分の引き起こしたことだと冴えた頭で理解しても罪の意識は生まれない。女の気の強そうな顔から滲む絶望に愉悦すら抱いている。

 そんな自分が気味悪くなり、同時に言い知れぬ不安が襲ってきた。


「……これは敵だ」


 だから殺すのか。自分はそんな思考をする人間だったか。

 化け物と呟いた女の目は、誰を見ていた?



「その辺でどうか許してもらえませんか?」


 自分よりも若い男の声だった。

 清流を連想させる透き通った声に、カロンは顔を上げて周囲を見回したが、姿が見えない。


「マスター、上です」

「上?」


 先に気付いていたコードホルターの視線の先を追うと、追手の姉弟と似た装束の上から軽装の鎧を付けた男が身を乗り出して様子を窺っているのが見えた。

 甘く蕩けるテノールボイスで、悠々とした自然体で、刀身を掲げるコードホルダーの姿に恐れる仕草もなく、カロンを見てにこやかに語りかけてくる。


「誰だかは知らんが、殺し合いを仕掛けてきたのは向こうの方だ。いざ死にそうだから許せと言われてもな」

「ええ、勿論貴方の仰るとおりです。もし貴方がたが死に瀕していたとしても私は許しを請うことはいたしません。この国の民だから、いえ、その二人だからなんとしても守ろうとします。私は、この子たちの父ですから」


 男は軽い動きで屋根から飛び降りると、コードホルダーと二人組の間に割って入る位置に着地した。少し気がかりな言い回しに怪訝な顔を作るカロンとは対照的で、何をしても好印象に繋がりそうなほど整った顔立ちとスタイル。コードホルダーと同じレベルで人間離れした造形である。

 よく見れば、着ている装束は姉弟のものと似ているが、手首足首あちらこちらに付けた高価な装飾がかなり目立つ。しかしそれを不思議と嫌味に感じさせず、カロンの淀んだ負の澱の隙間にまで染み込む言葉だった。


「囲まれています」


 姿勢を維持したままコードホルダーが呟くと、男はそれを聞き逃さずすぐに両手を振って大袈裟に違うと表現した。


「大丈夫です。彼らは騒ぎを聞きつけてきただけですから。私がいる以上動くことはありませんよ。私は戦いませんし、この子たちにも何もさせません。ほら、丸腰でしょう?」


 確かに、男は金の飾りばかりで武器の類は一切見えない。視線でコードホルターに確認したが、頷いて肯定されたので本当のようだ。

 身なりの良さに加えて潜伏する者たちへの影響力の高さ。サルタンに貴族制があるかは定かじゃないが、ただそれだけ力のある地位にいるのはよく分かった。

 その上で、カロンはコードホルダーの構えを継続させる。幾分冷えた頭脳はどう事を収めるかにシフトしていた。さっきまでの強引な路線の切り替えと違って自由に思考が回る。


「我々が異邦者なのは周知しているようだな。であれば尚更聞き入れることはできん」

「それは……困りました。理由をお聞きしても?」

「単純に釣り合いが取れない。命の価値は我々の方が軽いが貴様らの命を握っているのはこちらだ。身内びいきで無実の罪を負わされるくらいなら、このままでいた方がマシだ」

「なるほど。では確約いたしましょう。私の……ファザール・ナトラクの名においてお二人を罪に問うことはしないと」

「……ん?」


 どこかで聞いた名前な気がしたカロンだが、どこで聞いたのか思い出せない。


「お父様! 帝国の人間を見過ごすと言うのですか!」


 父の登場に調子を取り戻したのか、女が弟を抱きしめたまま体を起こして男の背に叫んだ。

 ファザールは直情的な彼女にゆっくりと首を横に振ってみせる。


「やめなさい、イリシェナ。確証がないのに決めつけて動いたのはお前たちでしょう?」

「そんなものを待っていたらまたいいようにやられるだけです! だからあの時も」

「やめろ、と言いましたよ」


 笑顔を絶やさぬままトーンの下がった声に叱責されて女は口を噤む。


「どうやらこのままでいるのが一番いいようだな。またその娘に襲われて同じことをする手間も省けそうだ」

「大変申し訳ありません。前年に母を亡くしてから少しばかり余裕をなくしておりまして。全て親である私の不徳の致すところです」


 やり手の営業マンを彷彿とさせる真摯な対応は、容姿と声色と見事にマッチしている。深く頭を下げる父の姿に姉弟がなにか言っているのを見て、ふと自分の父の姿を思い出した。


(あったな、こんなこと)


 自分の代わりに頭を下げる父の小さく丸まった背を見て、反抗心を表しながらも申し訳無さを感じたものだ。

 どこまでも冷酷になれそうだった心が、人としての感性に揺らいでようやく普段の調子を取り戻す。大きく息を吸い込んで一気に吐き出して、軽く手を上げた。

 それだけで意を酌んだコードホルダーはバックパックユニットを空間に収納して警戒を怠らぬままカロンの斜め後ろへと控えた。


「分かった。今後の生活に影響を及ぼさないなら矛を収めよう。ただしそれは我々に非がなかったと証明されることが前提だ」

「ありがとうございます。現在その調査を並行して進めていますから、今暫く待っていただけると助かります」


 顔を上げたファザールの顔に安堵の様子はない。そうなることを予測していたのだと気付いたが、今のカロンには触れる気力も残っていなかった。


「それでは、ご案内しますね」

「ん? どこへだ?」

「これだけの騒ぎを起こされたのですから、そのまま街に戻るのはやめた方がいいと思います」


 確かに、逃走する姿を多くの人に見られている。人から人へと伝播すればたちまち有名人だ。酒場での一件もある。カロンの考えていた予定は既に潰えているのである。


「ですから、誤解が解かれるまでの間はこちらでお世話させていただければと。もちろん永住のおつもりがあるのでしたら不都合のないよう全面的に支援します」

「ありがたい話だが、些か過剰ではないか?」

「それだけのことを子がしたのです。親としても王としても、私は正しくありたいだけですから」

「そうか。それならお言葉に甘え……て……」


 これでなんとか元通りになってくれると安堵していたカロンの声が尻すぼみになっていく。

 国でも有力な地位についていそうだなとは思っていた。ステータスを盗み見てまあまあだなと思っていた。だがそこに役職なんて書いていない。ただ相手の名前と能力値だけが表記されているだけだ。

 立ち上がった二人を隣に控えさせて、ファザールは絶句するカロンに「ああ」とわざとらしく声を漏らした。


「申し遅れました。私はファザール・ナトラク。この港湾商業国家サルタンで僭越ながら王の座に就かせていただいています。どうぞよろしくおねがいしますね、エステルドバロニア王?」


 小さな難民の漁村を一大国家にまで成長させた商の天稟を持つ者。その名を聞いたのは教皇エイラとの会話の中だ。

 リフェリス国王とは遙かに桁の違うカリスマ性と才能を備えた男。一番の難敵である“本物”が浮かべる笑顔の裏に何が漂っているか分からず、カロンは平静を装ったまま凍りつくのだった。

 


 カロンとコードホルダーがファザールに促されるままに連れてこられたのは、もちろんサルタンの宮殿だ。

 部屋はやはり土だが、彼らの伝統工芸と思しき複雑な刺繍の施された色とりどりのビロードが至るところに飾られている。


「ますますアラビアンだな。タージマハルっぽい造りだし」

「【ガネーシャ】の眷属がこのような様式の屋敷に暮らしています」

「私の国も大概だったか」


 上質なクッションの上に胡座をかいた姿勢で周囲を興味深く見回しているとファザールが姉弟を連れてやってきた。

 上座の大きな石の玉座に向かうかと思われたが、ファザールはまっすぐカロンの前に来ると何もない床の上に汚れることも気にせず腰を下ろし、連れてきた二人に「ほら」と促す。

 苦い顔をしていた姉のイリシェナは、まだ納得がいかなそうだったが観念したように深く頭を下げた。


「お前は無実だったと確認がとれた。すまなかった」

「イリシェナ。誤って人を殺めようとした者がする謝罪ではありませんよ」

「ですがお父様、こいつがまぎらわ――」

「これ以上私の顔に泥を塗るような真似をするのですか?」

「ぐっ……」


 どこも家庭は大変だ。ただ、家族の問題をこれ以上持ち込まないでほしい。

 こういう厄介な女はミラだけで十分なので、カロンは咳払いで注意を引いてから一番知りたかった話題を切り出した。


「で? 何故ファザール王は私のことを知っているのか。そう易易と暴かれるほどわが国は甘くないと思っていたのだがな」


 睨んでくるイリシェナとまだ謝っていない弟のラシェラを無視したカロンの態度に、ファザールは困ったように笑ってから手を打ち鳴らした。

 合図を受けて、湯気立つ料理と豪勢な果物を盆の上に乗せた女性たちが続々とやってくる。


「それは、食事をしながらお話しましょう」


 一体この若い王は何を知っているのか。差し出されたグラスを受け取りながら笑ったカロンの目にリフェリスでの弱気な姿はなく、この危機によってようやく形になってきた王としての自覚が灯っていた。





 


 

 

書籍がすでに多くの書店様にてご購入いただけるようになっているらしいです。

正式発売はついに明日です!よろしくお願いします!

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[気になる点] 主人公が成長や順応で変化していくのではなく、話の都合で感情変化するのはなんかなぁ
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