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重い想い

作者: 329LI5.3

関西弁です。分かりづらい言葉とかありましたらスミマセン。

重い。


重い。




「じゃぁまた明日!バイバイ!」

黒髪が夕日に当たって輝く。


「おぅ!」


ふらふらと手を振り、俺は彼女を見送った。


空はもう、綺麗にオレンジ色に染められていた。



「あれが新しい彼女?」


ふと、声がした。

声の主は、俺の元カノ、

日暮 依子。


「…なんやねん。文句でもあるんけ?」

俺は少し不機嫌そうに言った。

なんで、声なんか掛けるんだよ。

そんな気持ちを込めて。


それなのに

「別に?」

だなんて、全然効いてない。


「可愛らしい子ォやん。なんなん?趣味変わったん?」

ケラケラ笑いながら、依子は言う。

だって依子は金髪で、スカートも短い。

今時の女子高生だ。

それと正反対に、今の彼女は、黒髪で長めのスカートで、お嬢様みたいだ。


「いいやろ、そんなん。

チャラ子より、お嬢様のがいいしな。」

はっと鼻で笑う。

依子はそうやな、と笑った。


「お嬢様はいいけどさ、あんたが釣り合うんか?」

また笑いながら依子は俺を見た。


「俺はどうせ不良ですよー。」

少し睨んでその場に座った。

依子は、俺の隣に座った。

少し距離を空けて。


「はやいなぁ、彼女作るの。さすがやわ。」

前髪をいじりながら、そのまま目だけをこちらに向けた。

「まぁな。」

俺は目を逸らした。

「…」

「…あ、何?ヤキモチですか?」

意地悪に笑ってみせた。

「…は?…あぁ、ヤキモチねぇ…。今正味やかんかったわ、ごめん。」

真剣な顔して依子は頬杖をついた。

「ぁはっ…なんやねん、それ。」

俺は苦笑して後ろに手をついて、夕日を見た。


「だってさ、別に恋愛感情なんて無かったもん。」

笑いながら言う。

そうやろ?と、こちらをすっと見つめ、同意を求めてきた。


…確かにそうかもしれない。

恋愛に興味があって、付き合ってみただけで。

別に好きじゃなかったのかも。


俺は急に心が淋しくなった。

依子は相変わらず無表情に髪をいじっている。


「淋しいなぁ、俺ら。」


下を向き、膝に顔を埋めて、横目で依子を見た。



俺は驚いた。


「…ょ、依子?」


「…ぁ?何よ。」

「な…んで…泣いてるん?」


泣いてた。

依子が。

無表情のまま、目から涙をぼろぼろ落として。


「さぁ。なんでやろうね。」

そのまま目を細めて笑うから、目に溜まった涙が全部零れた。


「なんか…今までの事、ヤキモチもやかれへん今のままやったら…全部忘れそうやと思って。」

依子がまた笑う。

「…。ヤキモチもやけんくせによう泣くわ。」

「え?」

依子が目を丸くした。

「後悔してるんやろ、それ。」

俺はまた上を向いて笑う。


「そうかもせぇへんな。」

ニコリと依子が笑った。

「これちょうだい」

そう言って、俺の左手から、リストバンドをするりと取り上げた。

「は…?!」

「これあげるし!な?」

言いながら自分の髪止めを外して、俺の前髪に止めた。

鉄製の髪止めは前髪には重たい。

「重いんですけど…」

「気にしたら負けやで!」

依子はそう言ってリストバンドを左手に付けた。


「なんでそんなもん欲しいん?」

俺は重たい髪止めを手で押さえながら言った。

「思い出欲しかってん。」


「なんで?」


「忘れへんために。」

依子は少し真剣な声で言った。

「第二ボタンは彼女さんのために残しとかんなあかんしね。」

クスクス笑って依子は立ち上がった。


「…そっか。」


依子は歩きだした。

「んじゃ」

少しづつ歩みを速めて、そして走り去った。


「重い」


彼女が消えた瞬間、

半ばぶら下がっていた髪止めがするりと


落ちた。


彼女の何かしらの重い想いが、消えたのかもしれない。




END

初投稿です。 内容が伝わりにくくてスミマセンです;;

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして,言葉の訛りが2人の切なさを強調していて,しみじみしました。 「重い想い」という言葉は私も初稿で使いましたが,形のない“想い”が重いという矛盾の中に感情というものの複雑さ,不可解…
2006/07/28 03:04 めろんしゃーべっと
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