第2話 能力
もう空は真っ暗の闇だ。月は満月か、それに近い形であり、辺りは意外と明るかった。まあ、少しはファイアーモンキーのおかげもあるのだろうが・・・。
「さて、俺とけんかするやつはどいつだったけな?」
ロイが挑発口調で言った。ファイアーモンキーに聞こえたのだろうか、いきなりファイアーモンキーは特大の火球を作った。様子見にしては十分すぎる大きさだ。
それを見て、辺りは騒がしくなる。やめろとロイに忠告するものもいれば怖気づいて逃げ出すものもいる。村を守る兵士がこのざまだ。ロイは少し笑ってしまった。と、ほぼ同時に特大火球が飛んでくる。人々は一目散に逃げ散った。村よりも自分だ。
これではお話にならない。
しかし、相変わらずロイは普通に立っていた。剣を出して戦うどころかよけもしない。が、兵士たち一同は逃げることに一生懸命になっており、もちろんロイをかばうものは皆無だった。
ロイの足元に火球が当たって、弾け飛び、大爆発を起こした。とたんに逃げていた者たちも振り返る。そして、すぐにまた背を向けて逃げ出した。
「どうした?こんなものか?」
ロイが嘲笑うようにして言った。爆発の中でロイは生きていたのだ。しかも傷なども一切なしで。兵士たちの額から汗がすーと流れおちた。爆発ではなく、ロイにだ。強固な城門すら破壊するファイアーモンキーの火球を体で止めた。しかも無傷で、である。
ファイアーモンキーの顔にしっかりと焦りがにじみ出た。
ロイに対する思いが変わったのかもしれない。次々と火球を体の周りに発生させ、次は連続で当てる体制をとった。目も先ほどとは違い本気である。ギャーギャーの鳴き声を合図に一斉に火球がロイに殺到し、先ほどよりも大きな爆発を生み出した。
が、結果は同じだった。
ロイはまたもや笑いながら立っていたのである。こんなものよける価値もない!とでも言ったように。ファイアーモンキーはくるりと方向転換、無論、逃げるためである。野生の勘が絶対に敵わないと判断したのである。まぁ、正解である。
が、それをロイが許さなかった。
「んー?別にお前に恨みはないけどな・・・。まぁ、これからまた襲われたらかなわんし、お前は死んどいた方がいいんじゃね?」
と言い捨てた。そして、そのあとに闇色魔法、召喚、古代獣ガルドンと呟いた。そうすると、地面から青い文字が浮かび上がる。そこから光が発生し、その光に思わずみんなが目を伏せる。
そして、その光が消えたころにはそこにある魔獣が立っていた。
古代獣 ガルドン
である。四本の脚と、二本の腕、口には鋭い牙が並び、体は分厚い鱗で覆われている。顔の横には六本の触角がある魔獣の中でも最強クラスの魔獣である。
「なっ!」
そこにいたもののすべてが顔が歪んだ。なぜなら、ガルドンは書物でしか出てこない伝説の魔獣と知られていたからである。
「はじめてつかうなぁ、使えるかどうか。」
とロイが言う。その後、
「さて、続きをやろうか、ファイアーモンキー君。」
と不敵な笑いを作りながら付け足す。
ファイアーモンキーはさらに焦った。そして、誰がやるかっ!と言わんばかりに再び逃亡を図った。がファイアーモンキーもそこまでだった。ガルドンの腕につかまれ、挙句の果てには食べられた。ガルドンの腹の中でファイアーモンキーの悲鳴は消えた。
「あぁ、疲れた・・・。」
と言ってロイは振り返る。見ているものは完全に固まっている。
「おーい、どうしたー?これから飯だぞー!!」
と言っても恐怖のあまり動けなかったのである。
# # #
ロイは城の中へと案内された。サンム村村長のミトによって。
「いや、それにしても広すぎるだろっ!」
とロイが半怒りの声をあげた。
「ここは、もともと世界貴族の別荘なの。これでも小さい方よ・・・。」
世界貴族という言葉にロイは顔を歪めた。
昔から世界貴族は大っ嫌いである。真の実力はないくせに。、無駄に権力だけはある。そして、散々言い散らかして人を家畜のように扱う。
思い出すだけでへどが出そうだ。
が、ロイはあくまでも平然を装った。
「なるほどね、で、誰の?」
「五大貴族の、大臣に当たる人よ。」
「へぇ、大臣か。まぁ、男爵よりはましだろうな。」
「もちろんよ。」
ミトは少し昔を思い出す。
「彼は旅好きだった。ここは、お気に入りの中の一つだったのよ。」
寂しそうな顔をしたのは気のせいだろうか。これは深く追求する必要があるなとロイは思った。そしてお前と大臣はどのような関係に?と聞こうとしたがもう扉の前まで来ていた。ちっ、今回は聞けなかったかとロイは少し舌打ちしたが、まぁ、次の機会があるだろうとも思った。
扉の前にいた執事の様な黒服の人がこちらですと扉を開けた。ロイは中に入って行く。
「じゃあ、今日はここでゆっくりと過ごしてね。なにか注文があればこの人たちに言えば可能な範囲ならなんでもするから。」
「オッケー、オッケー。じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ。」
とここで会話は途切れてしまった。
が、こんなところで部屋が手に入ったのはラッキーである。ロイは何も言わずにすぐに真っ暗な夢の中へと入って行った。
第3話に続く
後書き
えー、今回の後書きはわたくし、サンム村村長のミトと兵士のアイルでお送りいたします!
ミト えー、今回の話はロイの能力についてということでしたがあまりうまく表現できてなかったですね。自分を作る作者がこんなことでいいのかと我ながら恥ずかしく思っております。(以後、ミ)
作者 怒り!!(以後、作)
アイル まぁ、まぁ、落ち付いてください。僕達が分かりやすく説明しておきますから。(笑)(以後、ア)
ミ じゃあ、解説していきましょうか・・・。
ア そうですね。
ミ まずロイの能力ですが、今回は出てきませんでしたが火と言うことです。そうですよね、作者さん。
作 ・・・。
ア すねてるし・・・。(笑)
ミ まぁ、その原理なんですが魔しょう・・・。
ア はいはいはい、次行きましょうか!
ミ なんで邪魔するの!!
ア それはこれから読者に楽しみにしてもらうところであり、台本に書いてなかったでしょ!しっかりして下さいよ!
ミ ・・・。すみません。
作 怒られたっ!(馬鹿にするように)
ミ くぅ!!いつか絶対仕返ししてやるっ!!
作 ずいぶんと長くなってしまったな。次回予告、アイル、頼んだ!
ア はい、では次回予告のコーナーにいきましょうか!
次回予告
次回、ロイに恋が芽生える!?
そして、新たな色騎士登場!
次回も見逃せない!
作 はい、オッケーです。お疲れさまでした。
ア、ミ お疲れさまでした!
その頃、ロイ
ロ はっくしょん!誰か、俺のうわさ話でもしてるのか?っていうか、なんか俺の付き添いの子、かわいい。また明日、声かけてみよっと!
次回もお楽しみに!