第七十三話:ハードカバーより、重みを抱くライン♡
『天女の優香さま』
第七十三話:ハードカバーより、重みを抱くライン♡
──♡──
僕は今日、天女に会った。
その日の優香さんは、モスグリーンのカーディガンに、ベージュのプリーツスカート。
書棚に並ぶ本を抱える横顔は、知識の森を静かに揺らす女神のようだった。
分厚い背表紙の列のあいだから覗く胸元は、まるで活字が形を失って柔らかな輪郭になったようで、視線を外せなかった。
ページの匂いと胸元の温度が重なり合い、本の重みさえ甘い抱擁に感じられた。
──♡──
真田 悠介、24歳。小さな書店で働くアルバイト店員。
古書の背表紙を並べ替えたり、新刊を陳列したりする日々を過ごしている。
“文字で人を救う力”を信じて、本に囲まれて生きたいと願っている。
けれど最近は、文字よりももっと生きた“行間”に目を奪われるようになった。
──♡──
「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」
「え……し、書棚の前でそんな……?」
「本を抱える胸元ってね♡ 重みと一緒に丸みが映えるのよ」
「そ、そんなこと……」
「質問♡ 新しい紙の香りと、古書のインクの匂い。どっちが好き?」
「……古書の匂い……かな……」
──♡──
「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」
──バシュウウウッ!!
カーディガンの下、シャツの胸元がふくらみ、抱えたハードカバーが柔らかく沈んだ。
本の角が丸みを受け止め、まるで知識ごと胸に抱かれているようだった。
分厚い活字の並びよりも、胸の丸みの方が深く、自分を説得しているように思えた。
「……書棚の整理が……楽に……?」
「Cカップね♡ 胸の丸みは、知識の重ささえ軽やかに変えるの」
──♡──
「今日のブラジャーはこれね!♡」
生成り色のコットンに、繊細なレースを沿わせたフルカップ。
ナチュラルに整えながらも、形をしっかりと支えるデザイン。
「これは“知的に見せる形”♡ 胸のラインが、知識以上の温度を伝えるのよ」
「……ページをめくる手が……柔らかく……」
「ふふ♡ それが“女の読書”ってものよ」
──♡──
(優香のオッパイ豆知識♡)
「Cカップは“知識を抱くサイズ”♡ 本よりも胸の丸みが、人を安心させるの♡」
──♡──
(数日後。)
本を抱えるたび、胸の丸みが自然に背筋を伸ばした。
レジで本を渡す指先に、女らしい余韻が漂っていた。
「接客の雰囲気がやさしくなったね」と常連に声をかけられた。
鏡越しに見えた自分の立ち姿が、本よりもしなやかな曲線を描いていた。
“書店員”であるはずの自分が、知識以上に濃厚な“女の物語”に染められていく心地よさを、胸の奥で甘く噛みしめていた。
──♡──
完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”




