第六十三話:ソムリエナイフより、くびれたライン♡
『天女の優香さま』
第六十三話:ソムリエナイフより、くびれたライン♡
──♡──
僕は今日、天女に会った。
その日の優香さんは、黒のタートルニットに、深紅のペンシルスカート。
グラスの並ぶカウンターの向こう側に立つ姿は、まるで“液体の輪郭”そのものだった。
首すじに沿って流れる髪を、ひとさし指で払うその所作は、ワインの香気よりも酔わせるものだった。
──♡──
杉下 悠人、27歳。小さなビストロで働く見習いソムリエ。
料理人の父を持ち、自分はワインの世界に魅せられてこの道へ。
今はサービスの基礎を学びながら、いつか“自分のペアリング”でお客様を笑顔にしたいと願っている。
けれど最近は、「それ以上のなにか」を見つめる時間が増えてきた。
──♡──
「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」
「……え、どうして急に……」
「グラスを拭く指先って、形が出やすいのよ♡ 胸元のラインがね」
「い、いや……僕は別に……」
「質問♡ 抜栓直後の泡と、寝かせた赤の香り。どっちが好き?」
「……赤ワイン、かな……」
──♡──
「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」
──バシュウウッ!!
黒のベストの下、白シャツの胸元がふっくらと波打つ。
ボタンの隙間から、しっとりとしたふくらみが押しあがってきた。
「……あ……え……? 腕が、自然に……グラスが……滑らなくなった……?」
「Cカップね♡ ワイングラスは、女の手のひらでいちばん美しく支えられるの」
──♡──
「今日のブラジャーはこれね!♡」
シャンパンゴールドのサテン地に、透け感のあるレースを重ねたミニマムデザイン。
バストの下部だけを支える、ハーフカップ型のバルコネットスタイル。
「これは“見せない色気”の基本形♡ おもてなしの動作に“くびれ”が宿るのよ」
「……左手の所作が、なんだか……柔らかくなって……」
「ふふ♡ それが“女のデキャンタージュ”ってやつよ」
──♡──
(優香のオッパイ豆知識♡)
「Cカップは“テーブルの空気を変えるサイズ”♡ 姿勢の余白が、接客の魔法なの♡」
──♡──
(数日後。)
制服のシャツに腕を通すたび、ボタンの留め方を一つずつ意識するようになった。
“きれいな手”で注ぐワインを、鏡に映して練習してみた。
店長に「最近、立ち姿がきれいになったな」と言われた。
グラスを拭く布が、肌を包むように感じた瞬間、小さく息を吸った。
“ソムリエ見習い”の肩書きのまま、“女の流れ”に染まっていく自分を、静かに楽しんでいた。
──♡──
完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”




