第六十二話:レンズ越し、ふくらむ視界♡
『天女の優香さま』
第六十二話:レンズ越し、ふくらむ視界♡
──♡──
僕は今日、天女に会った。
その日の優香さんは、ボルドーのタートルニットに、縁の細いシルバーの眼鏡をかけていた。
斜めから差す光を受けて、レンズの奥の瞳がふっと揺れた瞬間──世界の輪郭が変わった気がした。
眼鏡のブリッジを指で直すしぐさひとつが、なぜだか、息が詰まるほど艶やかに思えた。
──♡──
七瀬 透、26歳。眼鏡技師見習い。
レンズの厚み、視野の広さ、顔立ちに合ったフレーム──細部の調整は得意だけど、
ふとした拍子に「似合ってますね」と言われるたび、うまく返せず黙ってしまう。
“見ること”には慣れているのに、“見られること”には、まだ戸惑いが残っていた。
──♡──
「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」
「っ……は? え、あ、えっ……!? い、いま何を……?」
「ふふ♡ レンズ越しに、私の胸元ばかり見てたわよ?」
「ち、違……その、レンズのゆがみが……! 光の加減で……!」
「質問♡ フォーカスでくっきり見るのと、にじませて眺めるの。どっちが好き?」
「……にじむほう、です……やわらかくて……まぶしくて……」
──♡──
「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」
──バシュウウッ!!
胸元から、レンズ越しにふわりと浮かぶ丸み。
焦点が合うほどに、その輪郭はむしろ曖昧に、やさしく揺れて映った。
「うそ……ほんとに……見えてるのに、どこか夢みたいで……」
「Cカップ♡ 視界を曇らせるくらいが、いちばん女らしいの♡」
──♡──
「今日のブラジャーはこれね!♡」
シルキーなミルクグレーに、フロントホックが光るフルカップブラ。
カップ全体に、レンズを思わせる丸いモチーフのレースがふわっと浮かぶ。
「“見られる仕立て”ブラ♡ 服の下でも、ちゃんと印象に残るように計算してあるの♡」
「……ほんとだ……光の角度で、輪郭が……」
「ふふ♡ あなたの胸も、もう“視界に入り込む女の子”ね♡」
──♡──
(優香のオッパイ豆知識♡)
「Cカップは“視線のトラップ”♡ 見ようとするほど、ふくらみが記憶に残っちゃうの♡」
──♡──
(数日後。)
眼鏡のフィッティング中、ふいにお客様が鏡越しにこう言った。
「すごくやさしい雰囲気ですね。なんだか……見惚れちゃいました」
そのとき、自分の胸元がふわっと揺れたのを、鏡の中で見た気がする。
“見られる視線”に戸惑わなくなった。むしろ、少しだけ楽しみにすらなっている。
今日もまた、視界の中心にふくらみをのせて、笑顔でレンズを渡した。
──♡──
完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”




