第六十一話:胸に注いで、香り立つ♡
『天女の優香さま』
第六十一話:胸に注いで、香り立つ♡
──♡──
僕は今日、天女に会った。
その日の優香さんは、薄紅の着物に、絹の羽織を軽く重ねていた。
急須から湯を注ぐ仕草が、まるで時間ごと柔らかく淹れているようで。
湯気の中で揺れるその姿は──春先の香りそのものだった。
──♡──
谷崎 悠人、29歳。和カフェの副店長。
季節ごとの茶葉や器の選定に心を込める一方、自分の“接客スタイル”には自信が持てずにいる。
茶葉の香り、器の音、蒸らす温度──細部にはこだわるくせに、自分の所作だけが“味気ない”気がしていた。
お客さんを和ませる“余白”のようなものが、自分には足りないと思っていた。
──♡──
「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」
「っ……は、はい!? な、なに言って……?」
「うふふ♡ さっきから、お湯を注ぐたび、私の胸元をチラ見してたわね?」
「ち、違いますよ! その……湯気が、こう、ふわっと流れてて……」
「質問♡ ふわっと香る“蒸らし”と、とろっと濃い“抽出”。どっちが好き?」
「……ふわっと、のほうが……じんわり沁みてきて……」
──♡──
「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」
──バシュウウッ!!
湯気が包むように、胸元に柔らかなふくらみが現れていく。
肌の奥からじんわり“温まるように”──香りごと、形が立ち上がってきた。
「うそ……あったかい……ふくらみが、まるで、お茶みたいに……沁みてくる……」
「Cカップ♡ お茶の香りがいちばん残る、ふわりサイズよ♡」
──♡──
「今日のブラジャーはこれね!♡」
薄茶色のシフォン地に、抹茶色の刺繍が入った和風ランジェリーブラ。
カップの縁には、湯気のように揺れるレース飾りが添えられている。
「“淹れたてブラ”よ♡ ふわっと香りが立つ仕立てなの♡」
「こんな、やさしくて……香るようなブラがあるなんて……」
「ふふ♡ “あたためられる身体”って、女の子の特権なのよ♡」
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(優香のオッパイ豆知識♡)
「Cカップは“香りを含ませる器”♡ あたためるほど、女らしさが滲み出すの♡」
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(数日後。)
茶葉の蒸らし時間に、思わず自分の胸を軽くなでてしまった。
器を両手で包むと、胸元にも自然と丸みが寄り添ってくる。
お客さんに「今日の香り、やさしいですね」と言われたとき──なぜか、嬉しかった。
“淹れる”という動作が、どこか“女のふるまい”と似ていることに気づいた。
だから今日も、やわらかな湯気と一緒に、この胸で、お茶を仕立てている。
──♡──
完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”




