表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『天女の優香さま♡今日もオッパイ、つけてあげる♡』  作者: 一条陽菜子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/75

第六十話:にじむインクと、ふくらむ余白♡

『天女の優香さま』

第六十話:にじむインクと、ふくらむ余白♡


──♡──


僕は今日、天女に会った。


その日の優香さんは、墨黒のハイネックブラウスに、タイトなグレーパンツ。

静かにペンを走らせる姿は、書庫の中の一筆画みたいに凛としていた。

けれどインク壺に指先を浸す仕草だけが、どこか艶やかに揺れていた。


──♡──


桐谷 きりたに・りょう、28歳。万年筆専門店の店員。

文字を書くことが好きで、休憩中にも手帳に日記を綴ってしまうほど。

だけど最近──どこか、自分の文字に“余白”がないことが気になっていた。

うまく書こうとするほど、なぜか「心」が乗らなくなる。


──♡──


「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」


「っ……!? は、はいっ……? え、えっと……な、なんでそんな……」


「ふふ♡ さっき、私の胸元をチラ見しながらインク拭ってたでしょう?」


「ち、違……いや、あの、たまたま……ほら、シャツが……滲んでて……」


「質問♡ にじませて書くのと、カッチリ描線を残すの。どっちが好き?」


「……にじませるほう、です……やわらかくて、色っぽくて……」


──♡──


「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」


──バシュウウッ!!


インクが染みるように、胸元のラインがじんわりと浮かびあがる。

ぬれた紙に広がる色のように──輪郭はあいまいで、でも確かなふくらみだった。


「うそ……この感触……はっきりしてるのに、どこか、夢みたいで……」


「Dカップ♡ “書かれる女”になるのに、ちょうどいいサイズよ♡」


──♡──


「今日のブラジャーはこれね!♡」


グレーの薄布に、インクのような墨色レースが縫い込まれたランジェリーブラ。

カップ中央には、一滴のガラスビーズが“最後の句読点”みたいに光っている。

「これは“筆跡ランジェリー”♡ 形じゃなく、余韻で残る胸元に仕立ててあるの♡」


「……たしかに……言葉より、こっちの方が……ずっと、伝わる気がします……」


「ふふ♡ “読まれる女”になる準備、できたわね♡」


──♡──


(優香のオッパイ豆知識♡)

「Dカップは“にじませるサイズ”♡ 明確じゃないからこそ、男の視線は追いかけてくるの♡」


──♡──


(数日後。)


ペンを持つ手が、胸元にそっと触れてから動き出すことが増えた。

「このインク、似合ってますね」と常連さんに褒められ、思わず頬が熱くなる。

ふくらみに沿って文字を書くように、手元が自然と丁寧になるのがわかる。

余白も、にじみも、曖昧さも──今はぜんぶ、自分の一部だと思える。

だから今日も、胸に触れてから万年筆を握る。そこから言葉がにじみ始める。


──♡──


完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ