第五十六話:ラストノートは、胸で香らせて♡
『天女の優香さま』
第五十六話:ラストノートは、胸で香らせて♡
──♡──
僕は今日、天女に会った。
その日の優香さんは、淡いラベンダー色のワンピースに、白いハーフジャケットを羽織っていた。
腰で結んだリボンの先が風にゆれて、どこか遠くの国の香水売りのようだった。
指先でガラス瓶を傾ける仕草だけで、周囲の空気まで艶やかに変わっていく。
──♡──
志貴 惟、26歳。調香専門のアシスタント。
師匠のもとで香水開発の手伝いをする日々だけど、まだ“自分の香り”には出会えていない。
繊細な香料を扱うたび、どこか、自分自身が“混ざりきらない”感覚を覚えていた。
もっと、奥まで香るような──そんな“核”が、ずっと足りなかった。
──♡──
「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」
「っ!? えっ……な、なに言ってるんですか……っ」
「ふふ♡ さっきから“谷間”のあたりばかり、ふわっと嗅いでたでしょう?」
「い、いやっ、それは……香料の変化が気になって……!」
「質問♡ 首筋に纏うトップノートと、胸もとで残るラストノート。どっちが好き?」
「……胸もと……です。深く、残るほうが……」
──♡──
「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」
──バシュウウッ!!
胸の中央──香りがいちばん留まる場所に、しっとりと柔らかな起伏が生まれていく。
皮膚の上にやさしく香料が乗るように、自然に、けれど確かに“女のライン”が浮かびあがる。
ふくらみが熱を帯びるたび、そこから甘く深い香りが湧きあがる──まるで“胸そのもの”が、香水瓶になったみたいだった。
「うそ……このふくらみ、香りを吸い込んで……肌ごと記憶してるみたい……!」
「Dカップ♡ 香水の“ラスト”がいちばん映える、官能のサイズよ♡」
──♡──
「今日のブラジャーはこれね!♡」
パープルグレイのサテンカップに、ほんのり香りが仕込まれた“香水仕込みランジェリー”。
中央に小さなアトマイザーが縫い込まれ、動くたび、ふわりとラストノートが広がる。
「“匂いを仕掛けるブラ”よ♡ 胸が揺れるたびに、誰かを惑わすの♡」
「こ、これは……完全に“胸もとで誘惑する”香りですね……」
「ふふ♡ あなた自身が“香水”になっていくのよ♡」
──♡──
(優香のオッパイ豆知識♡)
「Dカップは“香りの記憶域”♡ 首じゃなくて、胸で記憶させるのが、いちばん淫らなの♡」
──♡──
(数日後。)
香りのブレンド中、無意識に胸元へ手が伸びる。そこから“どう香るか”が気になるようになった。
香りの残し方が、“着け方”よりも“肌の形”に左右されることを実感する。
ふいに後輩の女の子が「先輩の香り、今日なんか色っぽいです」って笑った。
その瞬間、自分の胸が──“香りを仕掛けた場所”になった気がした。
香水をつくること。それは、自分を“香る身体”にすることだったのかもしれない。
──♡──
完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”




