第四十五話:カーソルより、やわらかなクリック感♡
『天女の優香さま』
第四十五話:カーソルより、やわらかなクリック感♡
──♡──
僕は今日、天女に会った。
その日の優香さんは、クリーム色のブラウスに、ベージュのニットスカート姿。
耳元のワイヤレスイヤホンが、小さな宝石みたいに光っていた。
指先でマウスを動かす仕草すら、なぜか滑らかで優雅だった。
──♡──
雨宮 翔、26歳。都内のコールセンター勤務。
マニュアル通りの声とトーンが身に染みついていて、毎日がコピー&ペーストのよう。
画面を見つめ、カスタマーに謝るだけの繰り返し。
でも最近──ふと、自分の“声”にも、違和感を覚えるようになっていた。
──♡──
「ねえ……女の子のオッパイ、欲しくない?」
「……へっ……今、仕事中なんですけど……」
「ふふ♡ その電話の声、もっと“胸の奥から出せたら”……響くと思うの」
「な、なんですか急に……でも……その……響き方、ですか……?」
「質問♡ ロジカルな解決と、やさしい共感。どっちが心に届く?」
「……後者……だと思います」
──♡──
「正解♡ 女の子のオッパイが欲しくなったのね!♡」
──バシュウウッ!!
胸のあたりから、ふわりとしたぬくもりがじんわり広がってくる。
画面の端に映る自分の姿が、どこかやわらかく見えた。
「……っ、声……ちょっと……変わった?」
「Bカップね♡ コールの向こうに届くのは、“やわらかい波動”なの」
──♡──
「今日のブラジャーはこれね!♡」
パウダーピンクの薄手モールドブラ。通気性の良い立体メッシュ構造。
背中までやさしく包み込む、無縫製の軽いタッチ。
「これは“声の表情を育てるインナー”♡ マイク越しでも、女ってわかるのよ」
「……たしかに、優しい声が出せそうな気がする……」
「ふふ♡ それが“女の声色”なのよ」
──♡──
(優香のオッパイ豆知識♡)
「Bカップは“電話口サイズ”♡ 声にふくらみが出るのよ♡」
──♡──
(数日後。)
応対メモに“お客様の気持ちに寄り添って”と、自分で書き加えていた。
マニュアルよりも、声のトーンで“気づかれる”ことが増えた。
「声、すごく落ち着きますね」と言われて、素直に嬉しかった。
胸元を意識して話すと、感情の伝わり方がまるで違っていた。
──気づけば、電話越しに“女の子として褒められる”ことを、求めてしまっていた。
──♡──
完──“今日もまた、女の子のオッパイにしておしまい♡”




