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第39話 初詣、新たな一年の始まり

 と言う事で、初詣当日。新年明けましておめでとうございます。新たな年が始まり迎えた1月1日。

 今朝速攻で新年の挨拶を通話でしてから、(りん)ちゃんと待ち合わせの時間と場所を決めた。

 そして待ち合わせ場所に来た凛ちゃんの装いは、振袖でした。素直に可愛いです。……余計な事を考えるのは辞めよう。


「おはよう(りょう)ちゃん!」


「おはよう! その、似合っているよ凛ちゃん」


 あんまりこんな事を人前で言うのは恥ずかしいけど、今はまだ人通りもそれほど無い。そもそも待ち合わせ場所は、ただの住宅街の一角だ。

 正月の朝から、ウロウロしている人はあまり居ない。それに、大事な事はちゃんと口にすると決めたから。恥ずかしくても、ちゃんと褒めよう。


「あっ、ありがとう。変じゃない?」


「大丈夫だよ。ちゃんとその、可愛いから」


「「…………」」


 ああもう! だからこう言うの苦手なんだよな。褒め言葉をポンと平気で出せるイケメン達とは違うんだよ俺は。

 頭良いよねとかそれぐらいなら俺でも普通に言えるけど、綺麗だとか可愛いになるとハードルが高い。

 可愛いの一言を言うだけでこれなんだから。ここでしっかり押していける奴がモテるんだろうな。俺はこうして照れ合っているのが、せいぜいなんだよ。


「その、行こっか凛ちゃん」


「……うん」


 気温が低いから、繋いだ手から感じる温かさはいつも以上に高く感じる。そう言う事にしておいて欲しい。そこについて掘り下げる必要は無いだろう。

 あまり人通りがない道を、2人で歩いて行く。俺達の住む地域には、それなりに大きな神社がある。

 徒歩で簡単に行けてしまう距離だから、初詣に選ぶ場所としてはベストである。わざわざ遠くの神社に行く必要はない。


「着られて良かったね、振袖」


「意外と入ったよ」


「俺みたいな急成長してないもんね」


 あくまで体格の話。男女で体格が変わるタイミングは違う。女子の方が先に成長し、男子の方が後から成長する。

 つまり女子は、中学で極端に背が伸びる事はあまりない。女子が中学以降で成長するのは、別の所だしね。そこにはわざわざ触れないけど。


「振袖姿、見られて良かったよ」


「そんなに嬉しいものかな?」


「え、超嬉しいけど」


 好きな人の色んな姿を見てみたいと思うのは、男なら当然の感情なんじゃないかな。

 もしかしたら、女性だってそうかも知れない。スーツフェチの人とかも居るから。皆がそうかは分からないけど。


「そんなものなんだ」


「少なくとも俺はそうだよ」


 そんな会話をしながら、たまにしか車とも人ともすれ違う事なく歩みを進める。この殆ど人が居ない独特な空気感は、1月1日にしか味わえない。

 2日からは、何だかんだで人の往来が増えて行く。スーパー等の初売りが始まる時期だから。この辺りには1日から初売りをしている様な店舗は少ない。

 最近では、従業員を休ませる為に2日から営業の店舗が増えている。1日ぐらいゆっくり過ごそう。そんな認識が広がっているからだろう。俺もそれで良いと思う。

 人が少ないから、聞こえて来るのは鳥の鳴き声と、凛ちゃんの履く下駄の音のみ。それが何だか心地良くて、無言でも気にならない。


「静かで良いね」


「そうだね凛ちゃん。たまには良いねこんな雰囲気も」


「うん」


 そんな風に静かで穏やかな時間を2人で楽しむ。昔何かで見たけど、無言でも気にならない相手が一番良い相手らしい。

 会話していないと落ち着かない様な関係性だと、あまり相性が良い関係ではない、だったかな。そう言う意味では、俺達は無言だからと焦る事はない。

 ただ、そこに居てくれるだけでも十分だから。お互いがそこに居ると分かって居れば良いから。


 これはある意味、一度拗れたからこそ到達した領域なのかも知れない。言葉すら交わさなかったからこそ、それでも想い合って居たと理解出来た。

 大事な事は言葉にしないといけない。だけど、言葉にしなくても繋がっている。今は物理的に手を繋いでいるし、先日買ったペアアクセもある。

 だから離れていても、繋がりを実感する事が出来る。正直あの期間はかなりキツかったけど、だからこそ手に入った関係性でもある。

 あの失った時間が、逆に経験をくれた。全てが無駄では無かったなと、今はそう思う。


「着いたね涼ちゃん」


「あ~流石にここは人が居るか」


「皆考える事は同じだね」


 朝だから少ないかと思ったけれど、そんな事は無かった。まあまあな人々が初詣に来ていた。

 神社に近付くにつれて、人とすれ違う回数が増えていたのにも納得だ。ただ、参拝が困難なレベルかと言えばそんな事はない。

 せいぜい、ちょっと混んでいると言う程度だ。特にこれと言って問題はない。ゆっくりと回れる余裕はある。おみくじだって、すぐ買えるだろう。


「とりあえずお参りしようか」


「うん」


 順路に従って前へと進んで行き、最前列まで来たら賽銭箱の前へ。凛ちゃんと共に5円玉を投げて二拍手一拝。

 正式にはもっと色々細かい作法があるらしいけど、ちゃんと全部やっている人を見た事がない。そもそも、その全部を知らないのだけれど。


「涼ちゃんは何をお願いしたの?」


「定番の質問だなぁ。言っても照れない?」


「……やっぱ良い」


 そんなに照れるなら聞かなければ良いのに。もちろん願ったよ。今年1年、凛ちゃんと幸せな日々が送れますようにって。

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