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影の冒険者、最強を目指す。 〜影の魔人と契約した僕は、最速で世界を駆け上がる〜  作者: ねひつじ
三章 魏刹編・前

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【第69話】影の冒険者、その由来。


 現在、世間を騒がせている原因不明にドラゴンの群れ。それは東側諸国で大きな問題となっていた。

 国民がドラゴンの群れに襲われる危険性や、冒険者が運悪くそれと遭遇してしまうパターンも少なくないからである。


 しかし、デメリットだけではない。ドラゴンはその種類にもよるが、かなり希少な魔物であり、素材や名誉の為に討伐を試みる冒険者は後を絶たない。


 僕の魔剣然り、武器や防具などの装備の質は、冒険者の戦闘能力に直結するものなので、希少な素材から装備を作ろうと考える冒険者はとても多い。


(宝の持ち腐れじゃろ)


 そして、先ほど救助した冒険者(たち)も例に漏れずそれが目的だったらしく、どこからかドラゴンの目撃情報を入手し、この堅衡(ケンコウ)山に訪れたというのが事の経緯(いきさつ)らしい。



「……自業自得じゃない?」

「い、いや待ってくれ……ドラゴンにやられるならともかく、あんな奴がいるなんて知らなかったんだ。それに、君たちが戦ったあの大男……アイツには仲間がいるんだ」

「仲間?」


「ああ、あの大男の他に三人いたんだ。君たちも聞いただろう、あの大爆発……あれはその仲間によるものなんだ」


 まあ、不運だったとしか言いようがないな。そんな得体の知れない連中に遭遇したのが運の尽きだ。


 そもそも、A級もいないパーティでどうやってドラゴンの相手をするつもりだったんだろう。申し訳ないけど、この人たちがドラゴンを倒せるとは思えないんだよね。


(怪しげな連中からか、はたまたドラゴンからか。どのみち、此奴(こやつ)等を救助することになっておったじゃろうな)


『あの男に仲間がいるなら、なんで助けに来ないんだ?』

「まさか負けてるとは思ってなくて、まだ気付いてないとか?」


 僕だったら、仮に気付いてもこんなのが相手じゃ助けに行く気にならないけど。


『……もしくは捨て駒だったか、だな』


 なるほど、あの男は最初から冒険者(彼ら)に向けたものではなく、ギルに向けられたものだったという可能性……確かにあり得なくはない。


 というか、ただの冒険者である彼らが狙われた理由も未だに分かってないんだよな。

(理由など明白じゃろ。お主と此奴らは、何をしにここに来たんじゃ?)


「……ドラゴンか」

『ああ、その連中とドラゴンの件、何かしら関係があると考えてよさそうだな』


 僕たちと彼らの共通点、それはどちらもドラゴンを追っていたというところ。その目的は異なるが、やろうとしていることは同じ“討伐”だった。


 あの男の仲間の目的が()()だとすれば、恐らく相手は僕たちの存在に気付いていて、まとめて始末しようとしたけれど、力量を見誤ってしまった……大体こんなところか。

(多少の疑問は残るがな)


「この事、国主は知ってるのかな」

『実は俺にこの依頼を出したのは天黎なんだが、俺はドラゴンの件以外には何も聞いてない。敢えて言わなかった可能性もなくはないが、態々(わざわざ)そんなことをする理由が思い付かないし、普通に知らなかったんだろうな』


「あ、あの、皆さん見てくださいっ! あれって……」


 突然、フェイが空を指差す。


 そこには一瞬、三匹のドラゴンがとてつもない速度で飛び去って行くのが見えた。方角的には、太珪と真逆の方向。


(三匹とも違う種類じゃな……)


『逃がすかよ……っ!!』


 ギルは深くしゃがみ込むと、僕と競争したときとは次元の違う強烈な跳躍でその場から姿を消した。

 そして、近くにいた冒険者たちが吹き飛ばされたのは言うまでもないだろう。


「……ありがとうございます、ハルさん。でも、何も縛り付けなくても……」


 僕はフェイが吹き飛ばないように糸でぐるぐる巻きに固定していた。


「ごめん、咄嗟にやったらこうなっちゃった」



◆ ■ ■



 あの後、結局ギルが帰ってくることはなかった、結局追い付くことが出来たのか、どこまで行ったのか、それすら分からない。


「まさか噂の影の冒険者に会えるなんて、俺は運が良いな」


 現在、僕たちは堅衡(ケンコウ)山を下山していた。空を見てみると、太珪に到着する頃には丁度日が落ち切るくらいの時間だった。


 ギルへの心配はもちろんある、だけど彼ならうまくやるだろうという信頼も同じだけあった。だから、大人しく帰りを待つことにしたのだ。


「ハルさんって、そんなに有名人なんですか?」

「まあ、そこそこね」

「太珪じゃ君を知らない冒険者はいないだろうさ。俺からすればまだB級なのが信じられないくらいだ、すぐにでもA級に上がるべきだよ」


「ははっ、まさかあの闇ギルドが一人の冒険者に壊滅まで追い込まれるとは誰も思わなかっただろうな!」


 別の冒険者が僕たちの間に割り込む。


「えっ、ハルさんってそんな危ないことしてるんですか!?」

「結果的にそうなっただけで、明確な敵意があったわけじゃないよ」


 そう、僕はつい先日、太珪を裏で仕切っている二大闇ギルドの片方を壊滅させてしまったらしい。どうして当の本人が曖昧な表現をしているのか、それは闇ギルドの存在を壊滅させた後に気付いたからだ。


 例の指名の依頼──あれ自体は特に変わった内容ではなかったんだけど、依頼中、ずっと近くから怪しい気配がしていた。


 それで、依頼が終わった後にその怪しい気配を追ってみたら闇ギルドとやらの本拠地に辿り着いてしまって、よく分からない人(たち)に襲い掛かられたので返り討ちついでに全滅させたという感じ。


(相手からすれば災害に見舞われたようなものじゃろ、あれは)

 だってめっちゃ強そうな雰囲気出してたし、相手もめっちゃやる気だったから手加減とかいいかなって。

(妾にはただの蹂躙にしか見えなかったがな)


 ちなみに“影の冒険者”というのは、捕まった闇ギルドのメンバーが、僕のことをその名で呼んだことが由来らしい。


「私、鼻が高いです! ハルさんがこんな大物になってるなんて……しかも一週間で、ですよ?」

「その一週間で僕は凄まじい成長を遂げたんだよ」


「にしても、東側で魔族の冒険者を見るなんてな。エレストルがああなった以上、これからは東側にも沢山増えるのかね?」


 と、先ほど割り込んできた冒険者。


「さあね、僕としてはそっちの方がありがたいとは思うけど」

「俺は綺麗な魔族の姉ちゃんならいつでも大歓迎だぜ! 魔族の姉ちゃんが経営する店とかあったら、間違いなく常連になるね!」

「同じく」


 西側には、そんな楽園みたいな場所が既に存在するのだろうか。


「あんなに女の人の知り合いがいるのに、まだ足りないんですか?」

「それとこれは話が別というか……」


 あれ、なんか少し怒ってる……?


(……)


 そんな話をしながら、僕たちは太珪へ帰還した。


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