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影の冒険者、最強を目指す。 〜影の魔人と契約した僕は、最速で世界を駆け上がる〜  作者: ねひつじ
三章 魏刹編・前

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【第56話】冒険者、ダンジョンに入る。(1)


 「とりあえず、ここが良いかな」


 現在、丁度昼頃。僕たちの目の前には地下へ続く階段があり、如何にもなオーラを醸し出していた。


 ダンジョンにも冒険者と同じく階級が存在するのだが、僕はダンジョンに入ったことがないので、それぞれどの程度の難易度なのかは全く知らない。


「ここは超A級ダンジョン、最低でもA級上位の冒険者が四、五人のパーティを組んで攻略するような場所だよ」

「……それ、結構難易度高くないですか?」


「そうかな、二人だったら行けると思うよ? 寧ろ、A級以下のダンジョンだと簡単すぎて無双しちゃうと思うんだよね。超A級ダンジョンはかなり珍しいし、攻略出来る冒険者もあまりいないから、お試しついでに名誉の高難易度ダンジョン攻略しちゃおう!」


 と、僕たちよりも楽しそうなユナさん。


 こういう時って、大体なんか起こるんだよな……レンも同じことを考えてるのか、不安そうな顔してるし。


「ボクもいるしへーきへーき! ほらほら、早く中に入っちゃおう!」


 そう言うと、ユナさんに背中を押される(物理的に)形で、僕とレンはダンジョンの中に入っていった。


「超A級ダンジョンは全部で十層! たまに例外はあるんだけど……まあそういうことだから、アイテムを使うタイミングはよく考えてね!」


 僕はその言葉を聞いて、レンと目を見合わせる。


「僕は再生があるのでアイテムは持ってきてませんよ。魔力は無くなっても特に問題ないですし」

「わたしも龍人化したら再生するので、いつもより荷物は減らして来ました!」

「ええ……? ボクが言うのもなんだけど、さっきまで不安がってた人たちとは思えないよ」



 内装はほとんどが石のレンガで作られており、一定間隔で松明が壁に掛けられていた。流石A級ダンジョンというべきか、迷宮エリアは予想以上に入り組んでいる。


 次の層に行くには各層の最奥にいる中ボスというのを倒す必要があるらしく、この様子じゃそこまで辿り着くのも一苦労しそうだった。


「グルルルッ!」


 と、早速魔物のお出ましか──あれはブラックドッグ、数は三匹。


 僕は素早く剣を抜くと、飛び掛かってきたブラックドッグをすべて斬り伏せた。


「まあ、一層じゃこんなもんか」

「ひゅ〜! やるねー!」

「流石です!」

「ハウンドドッグ倒しただけなんだけど……」


 剣の使い心地も良いし、斬れ味も文句無し。これくらいの魔物なら魔神化するまでもないな。


【──ステータス加速上昇・極小:筋力・敏捷性】


 ……これだけでもステータスが上がるのか? 上昇幅が極小で項目も二つだけとはいえ、重ねていけばとんでもないことになりそうだな……塵も積もれば何とやらだ。


「ほら、次だよ! 頑張って!」


 すると、今度は通路の前後から魔物が現れる。


 前方には一体のゴーレムがかなり広いはずの通路をその巨体で封鎖しており、後方には僕たちの逃げ道を塞ぐようにヘルハウンドが四匹並んでいた。


「……ゴーレムってボスとかじゃないんですか?」

「超A級ダンジョンだからね!」


 説明があまりにも粗雑だが、それが最も分かりやすく正しい説明なのだろう。

 一層からこのレベル、まさに超A級の名を冠するに相応しいと言える。


「レン、後ろは任せるよ」

「はい!」


「少しは耐えてくれると良いんだけど」


 グレリアスに魔力を込める、量はそこそこ。

 それじゃ、時間差の斬撃とやらをやってみようかな。


『──影刃(エイジン)斬り』

龍の息吹(ドラゴ・ブレス)!』


 僕は強く地面を踏み込み、一瞬でゴーレムとの間合いを詰めて鋭い四連撃を繰り出す。

 その時、一撃ごとに自身の魔力が持っていかれるのを感じる。


 ほんの数秒後、突然ゴーレムの身体が四つの斬撃によって後方へ吹き飛び、それによってゴーレムは大きな音を立てて倒れる。

 僕はそのままゴーレムの真上に跳躍し、今度は火属性の魔力を魔剣に込める。


「よっ」


 グレリアスは難なくゴーレムの硬い身体を貫き────、



────ボォォォォンッッ!!


 剣を突き刺した部位を中心に、ゴーレムの身

体中から炎が溢れ出す。



 なるほどこれは──本当に幅広い応用が効きそうだな。単純に威力が倍増するだけじゃなくて、時間差のおかげで相手のペースも崩せるのか。


 細かい調整が出来るようになればかなり面白そうだな……そうだ、必殺技とか作ってみようか。


(ほう、必殺技か。妾に(いく)つか案があるぞ)

 よし、聞こう。


 ゴーレムの消滅を確認すると同時に、背後で繰り広げられていた戦いにも決着が付いたようだ。


「……レンちゃん、グローブ使わなかったね」

「思ったより敵さんが柔らかかったみたいで……」


「うん、やっぱり二人なら攻略出来そうだね! どんどん先に行っちゃおう!」


【──ステータス加速上昇・微小:筋力・敏捷性・魔力】



 それから暫く迷宮を彷徨っては魔物を倒し、十数分経った頃、(ようや)く目的地の中ボス部屋の扉らしき場所に辿り着いた。

 道中、様々(さまざま)な魔物を倒したおかげで、そこそこステータスを伸ばすことが出来た。


 それで気付いたことが一つ、途中からステータスアップ効果が“加速上昇”じゃなくなっていたのだ。


(恐らく、同一の魔物の討伐によるステータスアップは、上昇率が低減するのじゃろうな)

 そんなことあるんだ……ってことは、これからは同じ魔物を倒しても恩恵は少ないってこと?

(そういうことになるな。ま、低減というだけでゼロではないからな。あまり気にする必要はない)



「この先がボスか……」


 僕は準備運動がてら、腕をクロスさせる。


「ボスを倒したら、次の層へ行くための階段が出るんだよ!」

「緊張しますね……」


 僕たちは扉を開け、中に入る。


 ──そこは予想だにしていなかった広さで、上方向の広さに至ってはこの空間が地上に飛び出てないとおかしいくらいだった。


「え、広……」

「うわ、これは()()()だね。拡張魔法が使われてる部屋にいるボスなんて、そんなに多くないし」


 突然地響きのような音が鳴りだしたかと思うと、地面から突然何かが這い出てくる。


 それが完全に立ち上がると、ゴーレムを優に超える大きさの魔物だった。


「おー、やっぱギガンテスだ!」

「……デカすぎじゃない?」

「大きすぎてお顔が全く見えませんね……」


 一層でこれなら、十層とか魔王が出てくるんじゃないのか?


「グアアアアアアアッ!」


 ギガンテスは、その咆哮と共に巨大な拳を振り下ろす。


「ふざけんな、あんなの地面に当たったら全部吹き飛ぶわ」


 足場が悪くなるとかいうレベルじゃない、底が抜ける可能性もあるぞ。

 それはそれで次の層に行けそうだからいいけど。


「ど、どうしましょう?!」

「まあ、止めるしかないよな」


──サァァァァ……


 僕は、本日初の魔神化を解放した。


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