表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の冒険者、最強を目指す。 〜影の魔人と契約した僕は、最速で世界を駆け上がる〜  作者: ねひつじ
三章 魏刹編・前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/186

【第47話】冒険者、そして冒険者たち。


 「はい、大量の冒険者が神洛山の麓に集まっています! 恐らく、例の討伐作戦が開始されましたっ!!」


 ざわざわと、動揺が広がっているのが見て取れた。


「予定通り、でしょ?」


 元々、レンから話は聞いていたんだ。今来たからといって、別に不都合はない。


「そうね。どうせ、今日か明日には来るって話だったし。予定通り、ワタシとハルで百人ずつで行くわよ」

「はあ、なかなか骨が折れそうだ」

「古龍と戦うよかマシでしょ?」

「違いない」


 僕とミラは伝令係の人に付いて行き、その場を離れた。



「ガルグとその娘よ。実のところ、貴様らがどうなろうと妾の知ったことではないが……」


()()()()の期待を裏切るでないぞ──」


──シュンッ……


「……お父さん、私も行かなくちゃ」


『ああ、俺も漸く覚悟が出来た──』


 俺も、そろそろ変わらなければいけない。


『──継承の儀を始めるぞ、蓮花』


 シャトラ、お前は変わらないな。その異常と言ってもいいほどの、“主”に対する忠誠心は。

 お前はどこまでも主の影であろうとする。主がそれを望んでいようが、いまいがお構いなしだ。


 あの青年に誰を重ねている? 災厄(ファリエス)の魔女(・レヴィアタン)か?


 それとも……いや、いずれにせよ、だ。


 俺が変わるように、時代も変わっていく。

 世代交代だ、シャトラ。俺やお前の時代は、既に終わったんだ。


『……まったく、影の魔人とはよく言ったもんだ』

「お父さん、何か言った?」

『いや、何でもない』


 あの二人の出会いが“運命の出会い”でないというのならば、俺はこの世界に運命の出会いなど存在しないと、断言出来る。



▲ ▽ ▲



 「どうする? いっそ二手に分かれた方がよさそうだけど」

「ワタシはそれでも構わないわよ。もしワタシの方に天黎が現れたら、派手に魔法をぶっ放すから早く来なさいよ」

「了解」


 ラティもそれで大丈夫? 天黎との戦闘、任せることになりそうだけど。


 ラティ?


「あっ、さっきの場所にラティ置いて来ちゃった」

「ちょっと、何してんのよ」

「まあ、ラティなら僕のいる場所ぐらい分かるだろうし大丈夫か」

「貴方たちのことはよく知らないけれど、契約してるんならもっと大切にしなさいよ……」

「普段、滅多に影の外に出ないから完全に忘れてたんだよ」


 それから、すぐに僕たちは二手に分かれた。



 相手は僕たちの存在を知らない、これは大きなアドバンテージになる。うまく行けば、僕が認知される前にかなりの人数を持っていけるかもしれない。


 勿論、みねうち。戦闘はやむを得ないが、命を奪うまでは出来ない。怪鳥と戦った時のように、作戦が終わるまで動けなくすれば十分だ。


ドオオオオオオンッ……!


「……」


 なんだ今の爆発音。まさかミラ、早速天黎と──いや、流石にそれはないか。


 ……ってことは、片っ端から冒険者に喧嘩売ってるのか? 普通にヤバすぎだろ……いや、ミラにとって、あれが一番効率の良いやり方なのかもな。



 僕たちが登ってくる時に通った道を、複数の冒険者が歩いて来ているのに気付く。

 数は十五──先頭の剣士、あれは間違いなくA級冒険者だな。その後ろにいる魔法使いと弓士も恐らく腕が立つだろう。


 だけど、僕相手に“先手を取られる”というのは、数の差を覆し兼ねないディスアドバンテージだ。


「僕も、僕のやり方で行かせてもらおうかな」


──サァァァァ……


 空は既に、灰一色。


潜影(センエイ)



「それにしても四神、生で見ると迫力が違うな!」

「集中して、リーダー」

「それで言うならやっぱ天黎様だろ!!」

「はあ……まったく、二人はヨシュア様の良さをなんにも知らないんだね」

「レナもこの話に入ってくるのかよ──」


「うわああああああっ!!」


「っ! どうした?!」

「まずい……私たちの後ろに続いてたパーティがやられた」

「何だって? 俺たちからほんの数メートルしか離れてないんだぞ、弓士の俺の索敵にも引っ掛からずにそんな……」

「落ち着くんだ二人とも、相手はただの魔物じゃないらしい。それだけ分かれば十分だ、戦闘態勢!」


「やっぱり、君たちは優秀なパーティだね」

「な、なんだ……うわっ!」


「レナ、ウェグ、見えたか……今の?」

「なにか……黒いのが一瞬で通り過ぎて……」

「また後ろの奴らが持っていかれたっ!!」


『ハイサーチライト!』


 とても強烈な光が辺りを照らす。


「明るっ!」

「ああいう魔物は光に弱いの!」

「なるほど、たしかに昔戦った魔物に似たような奴が……」


「魔物だなんて、ちょっと傷付くな」

「上だっ!」


「これでも、この間までは人間だったんだけどね」

『アローレイン!』


月詠(ツクヨミ)──』


──そして、暗転。


 無駄な思考をしない。それは能力の発動に繋がり、体力を消費してしまうから。


 今はただ、これだけで良い。


『“弾け”』


 僕に向けて放たれた大量の矢は、一瞬の内に勢いをなくし、そのまま下方へ落ちていく。


 僕もそれに合わせて真下に急降下する。


『剣光一閃!!』

『纏影』


 その鋭い一撃を何とか防御しつつ、三人の冒険者の中心に着地する。


「今日は生憎の天気だね」

「くっ、魔族かっ!!」

「正解」


──月が沈む。


『影縛り』


 A級冒険者が相手でも、正面からやり合わなければいくらでもやりようはある。

 まあ今回は、相手の実力がA級になりたて程度だったっていうのもあるんだけど。



「……君は、一体何が目的なんだ?」


 僕はA級であろう剣士の冒険者をぐるぐる巻きにし、質問に答える。


「君たちが依頼でここにいるように、僕も依頼でここにいるんだ」

「依頼……? 古龍討伐作戦を阻止したい勢力がいるというのか? それに、君ほどの実力者を雇ってまで……」

「誰にだって大切な人はいるでしょ? そういうこと。それじゃ」


「ま、待ってくれ!」


 十五人の冒険者はそれぞれ気付かれにくい場所で縛ったし、助けが来るとしてもだいぶ先になるだろう。

 もし最後まで助けが来なくても、全てが終わった後に影縛りを解除すれば問題ない。


 そんな訳で、僕は彼らを放置してその場を後にした。


【──ステータス加速上昇:筋力・防御力・敏捷性・魔力・体力】



「さて、ミラは大丈夫かな──」


 木々の間を通り抜け、素早く移動していると、突然、視界の端に赤く燃え盛る閃光。


「何だ今の……っ!」


 その赤い閃光は、気付けば眼前にまで迫っていた。


 そして、その閃光は一瞬にして人の形へと姿を変え──、


「やあ、魔族君」


 反応が遅れた僕は、その謎の人物が放ったであろう炎魔法をモロに食らう。


「熱っ!」

「あれ、灰にするつもりだったんだけどな」


 咄嗟に纏影で炎上箇所をカバーし、最初の一撃以外のダメージを防御することに成功する。


「僕、肌弱いんだから勘弁してよ」

「あっはっは! 良いね、君」

「何も良くない……それで、貴方は?」


 その男は、背中から炎の翼を広げており、全身の至る所から炎が溢れていた。


「僕は魏刹国主直属部隊、“四神(ししん)”の一人でね──」



「────名は、朱雀(スザク)だ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ