表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の冒険者、最強を目指す。 〜影の魔人と契約した僕は、最速で世界を駆け上がる〜  作者: ねひつじ
三章 魏刹編・前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/186

【第40話】冒険者、そして碧の少女。(2)


 「……何だって?」

「え? えっと、ユナさんって方で……あっ、凄腕の冒険者なんですよ!」


 聞き間違いでは無さそうだな。つまり、レンの言うユナさんってのはあの人のことなのか?

 “ユナさん”と呼ばれている凄腕冒険者が他にいなければの話だけど。


「もしかして、その人ってだぼっとした上着を着てたりする?」

「はい、着てます!」

「一人称がボクだったり?」

「そうです!」

「赤髪……?」

「そうですそうです! ご存知なんですか!?」


 はい、確定。


「うん……知ってる、かな」

「どこにいるかとかも分かりますか?」

「居場所は分からないけど、近々会う約束してるんだ」

「そうなんですか!? もしかしてハルお兄さんってすごい人……?」

「偶然知り合っただけだよ」


 ユナさんと知り合ったのは、偶然時臣さんと出会ったからで、偶然あの事件が起きていなければそれっきりだったかもしれない。


「……偶然、ですか」

「うん?」

「い、いえ……」

「遠慮しなくてもいいのに」


 僕がそう言うと、少ししてから口を開いた。


「……おかしな話に聞こえるかもしれませんが、わたし、人生に偶然なんてないと思ってるんです。どんな出来事にも必ず因果関係があって、意味があるんじゃないかなって……」


 そう言うと、軽く微笑む。


「へえ……面白いね、それ。僕とレンが出会ったのも必然で、意味があるってことだ」

「そ、そういうことになりますね……!」


 なかなか面白い考え方をする子だな。僕がこの子くらいの時は、もっと年相応のことを考えていたのに。


 まあ、その頃の記憶はないんだけど。


(笑っていいのか分からぬ微妙なラインの冗談はやめろ……)

 記憶喪失ジョークだよ。

(重いわ!)


「それじゃ、“運命”っていうのは偶然と必然、どっちに近いと思う?」


 少し考えた後、レンは再び口を開く。


「えっと……やっぱり必然、ですかね? 運命の出会いとかも、それこそ“特別な出会い”ですし。いつもと違うということは、何かしら理由があるわけで────」


「あはは、じゃあこれも運命の出会いって奴かもしれないね。結構変わった出会いだし」

「えぇっ!? えっと、あの……もしかしてわたしのこと口説いてますか……?」

「え、いやそういうわけじゃ……」


 ほんの雑談のつもりだったんだけど。


(……)

 ……本当だって。


 しばらく気まずい空気が流れる。


 幸いなことに、もうすぐ目的地であるファレリアに到着する。恐らく、これこそ必然なのだろう。

 この空気を見兼ねた世界が気を遣ってくれたのだと、僕は密かに思った。



 僕たちは馬車を降りて、真っ直ぐ冒険者協会へ向かう。


「レンはテオルスに来たことあるの?」

「はい、任務と依頼で何度か……ですが、この街(ファレリア)に来たのはこれが初めてです」

「ああ、そういえば冒険者だったね。何が得意なの?」

「職業は格闘家なんです。ですから、基本的には前衛ですね」


 か、格闘家? てっきり後方支援系なのかと……まさか、こんな可愛らしい容姿でバリバリの武闘派だとは思わなかった。


「三ヶ月くらい前ですかね? 森の調査をしてほしいとの任務がありまして……わたし一人で向かったんです」

「じゃあ、この辺は初めてじゃないのにあんなとこで彷徨って眠ってたんだ」

「そ、それは、あまりに必死だったので……」


 ん、待てよ──三ヶ月前に、森だって? あまりにも身に覚えがありすぎる。あれって、魏刹でも調査任務が出るくらいの大事件だったのか。

 いや、新しい魔王が生まれただなんて、普通に考えたら国を挙げての大混乱だな。


 「そういえば、ユナさんと約束をされてると仰ってましたけど……」

「ああ、うん。魏刹に行く予定だったんだ、一週間後だけどね」

「一週間後……ですか」


「……もしかして、一刻を争う緊急事態だったり?」


 そう尋ねると、レンはゆっくりと頷いた。


 さて、どうしたものか。急ぎの用だとは分かっていたけど、予想以上にギリギリらしい。約束の日まで悠長に待っている時間はないということだ。


(お主が手伝えば良いではないか)

 ん? 現在進行形で手伝ってるじゃないか。


(そうではない。赤髪の娘が解決する予定のものを、お主が解決してしまえば良いではないかと言っておる)

 ……なるほど、その手があったか。


「レン、君がユナさん探している理由は、彼女くらいの腕利きの冒険者じゃないと解決が難しいからだよね?」

「えっ? そ、そうですね……魏刹では今、かなり大規模なパーティが組まれていて────」


「────それさ、僕に任せてよ」


 流れたのは数秒の沈黙。



「……ええぇっ!?」



■ ▽ ●



 「ヘレンさん、ただいま帰りました」

「あっ、ハル君おかえり!」


 やっぱり、なんだかんだこの場所が一番落ち着く。


 「知ってること、全部話してもらうからね! 聖エレストル、今大陸中ですごい話題になってるんだから」


 どうやら、聖エレストルでの出来事は大ニュースになっているらしい。噂の広まる速度があまりに早すぎる気もするけど。


 当然だが、僕が魔族になったということを、ヘレンさんはまだ知らない。


(何故、今更角を隠す? 先程まではまるで気にしていなかったではないか)

 ……何となく、ヘレンさんにバレるのはちょっとね。

(基準がよく分からぬな)


「はい、分かってます。分かってますけど、それはまた今度ということで……」

「……どういう意味? まさかとは思うけどまた────」


 それを言い切るより前に、僕のそばに佇んでいるレンに気付く。


 流石ヘレンさん、そのまさかです。


「ハル君、キミねえ……次から次へと、少しは落ち着いたらどうなの?」

「すみません。僕、冒険者なので」

「……そうだね。君に大人しくしててって言う方が野暮ってものか」


 言って、肩を竦めるヘレンさん。


「それで、今度は一体何に首を突っ込もうとしてるの?」

「えっと……それはまだ分かりません」

「……」

「……」


「……すみません、わたしがどうしてもって頼んだんです。どうしても助けが必要で……」


 その言葉を聞くと、ヘレンさんは苦笑を浮かべた。


「それならこの人に頼んで正解だね。ハル君は困ってる人を見かけたら、助けずにはいられない人だから」

「ふふ、たしかにそんな感じしますね」


 嬉しいことに、どうやら僕は良い人に見えるらしい。これも日頃の行いのおかげだろう。


(……)


「あれ、そういえば二人はどこで知り合ったの?」

「それはたしか……わたしが寝てるとこを拾われて──」

「──待って、端折(はしょ)りすぎてる。それじゃまるで誘拐だ」


 誤解されるような言い方はやめてくれ。


「この子は、ここに帰ってくる途中で倒れてるとこを拾ったんです」


(……あまり変わっておらぬぞ、それ)

 あれ?


「ハル君──もしかして、そういう趣味なの?」

「待ってください、本当に違うんです。倒れてたとこを保護したんですよ」


 事の経緯をもう少し詳細に話し(都合の悪い部分は省略)、誤解を解いた。



「そうだ、ヘレンさん。一つ言伝を頼んでもいいですか?」

「うん、もちろんいいけど」

「ありがとうございます。大体一週間後、ここにユナさんが来ると思うので……」

「ユナさん──え、ユナさんってあの?」

「はい、そのユナさんです」

「いつの間にそんな仲になってたのね……私は何を伝えれば良いの?」


「“楽しみすぎて先に魏刹へ向かいました。待ってます”、と伝えてください」


 ははは、ユナさんの反応が目に浮かぶ。


(おい、日頃の行いとやらはどうした)

 普段は良いことばっかしてるし、たまにはいいでしょ。まだ怒られないよ。

(善行悪行はそんなプラマイの話ではないと思うが……)


「それじゃ、行ってきます」

「気を付けてね、無茶はしないように!」

「はい、出来るだけ」

「そこは嘘でも『無茶はしません』って言うの!」


「無茶はしません、嘘になるかもしれないですけど」

「……」


 祝、四十話です!ここまで読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます!

 これからも引き続き頑張りたいと思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ