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影の冒険者、最強を目指す。 〜影の魔人と契約した僕は、最速で世界を駆け上がる〜  作者: ねひつじ
二章 聖エレストル王国編

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【第24話】冒険者、そして二人のシスター。(1)


 僕は中央広場へ繋がる大通りを歩いていた。


 本来ならば人気のない裏通りを通る予定だったのだが、予想以上の緊急事態だった為、その必要は無くなった。


 先ほどの避難所にも十数名の騎士しか居らず、他の避難所や見回りに出ている騎士のことも考えれば、王都デルクにいる騎士は百前後といったところだろうかか。


 その内の聖騎士となれば更に数は少なくなる──聖エレストル王国は聖騎士がいるように、騎士の質は高いが量は多いとはいえない。


 さて、フェイにはああ言ったものの、具体的に何をするかは決まってないんだよな。

(……)


 一旦中央広場に戻って、時臣さん達の様子を見に行くのもアリだけど……黒幕(ボス)がいそうな教会に直行ってのも悪くない。セインさんと合流出来るかもしれないし。

(……)


 うーん、いつもは隙あらば口を挟んでくるラティがいつになく静かなんだよな。寝てるのかな?

(……)

 ……ラティ?

 

 彼女は僕の影にいながら、僕から直接的なコンタクトを取るのはほぼ不可能だ。そのため、僕の声掛けに反応がない以上、僕にラティの現状を把握することは出来ない。


「久しぶりの一人……なのかな。今まで、プライベートなんてあったもんじゃ無かったしね。ようやく解放されたって感じだなあ」

(……)


「何か甘い物でも買おうかなあ、ケーキとかが良いかな」

(……)


 ……まあ、とりあえず歩くか。教会へ乗り込むにしても、そこそこ距離はあるし。中央広場だって通るし。


 少し様子を見てから動こう、一人だし。



 それから少しして中央広場へ到着すると、そこに誰かがいる様子はなかった──が、その代わりに見覚えのない戦闘の痕跡がいくつかあった。


「どこに行ったんだろう……あの二人に限って負けたなんてことはないだろうけど」


 そうは言っても、流石に少しは心配になる。


 ユナさんの話じゃ、神父はそんな強くないはずなんだけどな──あの魔法を見た後じゃ、とてもじゃないがそうは思えない。


「──あの、大丈夫ですか? 迷っているようでしたら、私が案内しますよ」

「……」


 声の方を向くと、シスターらしき人が立っていた。

 どうやら、僕は逃げ遅れた市民だと思われたみたいだ。


「あー、えっと……教会へ行きたいんですけど、道を忘れてしまって」


 道に迷っているわけじゃないけど、こんな場所に一人でいるのも怪しまれそうだしね。


「教会、ですか。今、教会の中へ入る事は禁止されているんですよね……教会近くの避難所になら案内出来ますよ」

「じゃあ、お願いします」


 なんだ、教会には入れないのか。普通なら避難所の一つになってそうだけど……まあ、黒幕が教会じゃ仕方ないか。折角シスターさんが案内してくれるんだ、どこへでも行くとしよう。


 シスターさんと共にその場を離れようとすると、駆け足で誰かが近付いてくるのが分かった。


「クレイー! ここにいたんだ──って、その人は?」

「あら、エドラナちゃん。どうやら、迷っていたみたいなので……」

「でもクレイ、その人……」


 エドラナと呼ばれたもう一人のシスターは、僕を変わった何かを見るような目で見てくる。


 なんだ、僕ってそんな変わってるのかな。

 変装魔法してるとはいえ……ん?


 変装魔法?


「──はっ!」


「その人、明らかに魔族だよ?」


 僕は慌てて額を触る。

 はたして、そこには角があった。


 僕の変装魔法は、少しずつ解けていたのだ。


 それは恐らく、この結界の影響なのだろう。やはり結界は徐々に効果を増している。結界は次第に僕を、僕たちをしっかりと蝕んでいたのだ。


 それも、僕の代わりに影響を被り続けていたラティが眠ってしまう程に。


 僕は半分人間だから平気だって? そんな馬鹿な話があるか。これほどの結界なら、たとえ半分しか影響を受けずとも、僕なんかが倒れるには十分だというのに。


「好みの顔でしたので、私のお家に連れて帰ろうと思いまして……殺してしまうのは勿体ないでしょう?」

「うわ出た、本当クレイって良い趣味してるよねー」


 ……なんだよ。お前、そんな性格じゃないだろ。なんで言わなかったんだよ。僕には無茶だったんなら最初からそう言ってくれよ。


 どうして自分を犠牲にしてまで僕のわがままに付き合ってるんだよ。


『その方が面白そうじゃからな』


 そんな台詞が脳裏に浮かぶ。


「ほんと、自分が嫌いになりそうだ」


 ありがとう、なんて言わないからな。


 僕は剣を抜く。

 教会のどこまでがグルかは分からないけど、少なくとも目の前の二人は僕の敵だ。


「なんかやる気みたいだよ、どうするの?」

「諦めて付いてきてくれると思ったのですが……丁度良いので、ここで少々躾けてから連れて帰りましょうか」


 目の前のシスター達が敵じゃなければどれだけ良かっただろうか。


「急ぎの用事が出来ちゃって……さっきの話は無かったことにして欲しいな」


 さっさとこのふざけた結界をぶっ壊してやろう。


『折角ここまでやったんじゃ、退屈させてくれるなよ?』


 面白いものを見せてあげる。

 だから今は、特等席でゆっくり休んでて。


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