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【第142話】説明会。

 一つ前の話で思い切り誤字をかましました、すみません(修正済み)。

 読まれていて「ん?」となった読者の方々、誠に申し訳ございません。


 「さて、まずはその両世界について軽く話そーかな。皆、よく分かってないだろうし」


 マルタは続ける。


「天界と深淵──それらは、今マルタたちがいる“ここ”とは別の、もう一つ……いや、もう二つの世界のこと」


 そう言って、マルタは指をピースの形にして立てた。


「天界は文字通り、雲の上みたいな明るい世界でね。“天使”や“神”って呼ばれてる種族がたくさんいるんだ。深淵はその逆。“悪魔”や“魔神”がたくさんいて、どこまでも闇が続く世界……大雑把に言えばこんな感じ」


「神、か……」


 僕はその単語を復唱した。


 天使や悪魔、魔神と比べて、“神”というものの存在は、少しばかり現実味に欠けているように思える。

 半分魔神のくせして何言ってんだという感じではあるのだが──。


『──我々が崇拝する“理想の神”は、どこにも存在しないというのに』


 という、以前僕が激戦を繰り広げた人物の発言が脳裏を過る。


「にわかには信じがたいな……」

「……そうだね」


 僕はギルの発言に賛同する。


 てっきり僕は、マルタから“神”とやらについての詳しい説明がもらえると思っていた。



「────神はいるぞ」



 しかしその予想に反して、真っ先に反応したのはラティだった。


「神はいる、間違いなくな。妾が知っとるのは二人だけじゃが……何というかまあ、愉快な連中じゃったわ」


 ラティのその言葉に、クロエさんは苦虫を噛み潰したような顔をする。


「その話はやめろ、思い出すだけで腸が煮えくり返る」

「何があったんですか……」


 神とすら因縁があるとかどうなってんだ、うちのは。


「ただ、奴等は千年前の天淵大戦を期にこちらとの交流をきっぱりと絶っておる。今現在、世界的に彼奴(あやつ)らへの信仰が薄いのはそれが理由じゃな」


「説明ありがとー。ほとんど今話してくれた通りだよ。一つ訂正があるとすれば、神は完全にこっちとの交流を絶ったわけじゃないってとこかな」

「ああ、彼奴を忘れとった……」


 先ほどと同じように指を二つ立てるマルタ。


「神との接点を持つ人物── 一人目は、智慧の国シェンティアの国主にして、智慧の主という別名を持つ“アルキラナ・ルーフォールン”。二人目は、()()()()だよ」


 マルタの言葉で、その場にいる全員に若干の動揺が走るのが見て取れた。


「それって──」


 僕が“今の勇者”について尋ねようとすると、

 マルタはそれを遮るように三つ目の指をピンと立て、再び口を開く。


「で、最後の一人は────、


 ────ノア・リリシュキラ。皆さんご存じ、史上最強の魔法使い兼調停者のあの子だよ」


「「「……えっ!?」」」


 ギル、レン、ユナさんは分かりやすく驚愕の声をあげ──、


「「何……?」」


 ラティとクロエさんは耳を疑うような反応をし──、


「あー、そういうことか……」


 僕は少し前にマルタから聞いた情報と結びつけた。


 ちなみにティファレトさんはというと、相変わらずの無表情。

 一応、ティファレトさんもノアさんを知ってるはずだけど、今の情報は驚愕するに値しなかったらしい。


 普通に、ユナさんが倒れた時の方が驚いてた。


「ま、待ってくださいマルタさん。ノアさんが神様と交流してるってどういうことですか……?」

「ノアちゃん失踪の真相ってもしかして……」


「待て、それより最優先で訊くべきことがある。獣人娘よ──お主は今、“リリシュキラ”と言ったのか?」


 マルタに投下された爆弾情報のせいで、皆が混乱しているこの状況。


 正直、結構面白い。


「まーまー、みんな落ち着いてよー」


 あ、これマルタも分かっててやってるのか。

 いい性格してるな、ホント。


「まず、二人の質問に答えさせてもらうと、“言葉通り”だし、“その通り”だよ。ノアは今天界にいて、その“神”に接触してるんだ。時兄も場所が深淵ってだけで、大体同じ感じかな」

「「ほえー……」」

 

 なんて気の抜けた反応をする二人をよそに、マルタはラティを見る。


「それで、魔人さんの質問についてだけど……言ったよ。ノア・リリシュキラ──これが、ノアの名前」


 ラティは一瞬目を見開くと、「ふう」と息を吐いた。


「……それはつまり──」


「彼奴は、()()()()()()()()()()()()ということか」

「ん、そゆこと」


「……え?」


 とんでもない情報をぬるっと開示する二人に、僕は思わずツッコミを入れそうになる。


「……驚いたな。では、今の勇者とやらはどうなのだ?」

「んーと、たしかそっちは正統な血筋じゃなかったと思うよ。でも、誰も“血統”なんか少しも気にしてないんじゃないかな。実際、ノア自身も始まりの勇者の血が通ってることを知らないしね」


 マルタはクロエさんの問いに答え、続ける。


「結局、“勇者”として覚醒してれば誰でもいいんだよ。血統と強さの相関性について、正確なことはまだ分かんないし」


「うーむ、そういうものなのか……我からすれば、あの勇者の子孫と聞くだけで背筋が凍りそうなのだが」

「あはは、始まりの勇者と戦ったことある魔族はそうかもね」


 とはいえ、その条件に当てはまり且つ今も健在の魔族は、この世に数えるほどしか存在しないだろう。



「なあ、大体は理解出来たんだが……マルタが、それを今俺たちに伝えた理由ってなんだ?」


 その発言に、僕はドキリとする。


 僕は完全に忘れていた。

 マルタという少女の習性を。


 ──これ、面倒事を押し付けられる流れだ。


「あっ! 緊急の用事を思い出した!!」


 僕は勢いよく席を立ち上がる。


「わ、わたしも……」


 レンも何かを察したのか、席を離れようとする。


 自分から聞いた手前、マルタの回答を得るまで離れられなくなってしまったギル。

 僕たちを逃がすために……君のことは絶対に忘れない。


(よし、行け)

 戻るの早っ!


 僕たちは足早にその場を去ろうとする。


 ──のだが、結果的に、僕たちは失敗してしまう。


「うん……ちょっと、ノアがピンチかもしれないんだ。誰か、()()()()()()()天界に行ってくれないかな?」


 という、マルタのその一言によって。


 最近タイトルが投げやり気味になってる気がしますが、いい感じのものを思い付き次第変更しますので気にしないでください。

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