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第九十六話 裏設定とか、あったりする…?

少し前話から話が飛んでいて読みにくいかもしれません。

『なんで……なんで気付いてくれないの…』


いつもの笑顔なんて想像もできないくらいに泣き崩れ、せっかくの髪型をぐちゃぐちゃにしてしまっているのは、最近見慣れた茶髪の子。可愛い顔を台無しにして、暗い部屋で一人蹲る姿は痛々しい。


『……なんで……あの人なの…?』


カーテンの隙間から小さく差し込む月明かりに照らされて、可愛らしい桃色の瞳の中に、嫉妬の炎が燃え上がっていた。


───








「んぅぅううう!?!?」


バッと飛び起きれば、視界に映ったのはもう何日も泊まっているホテルの部屋。あ、普通だ…。え、ていうか、何今の夢…。


「今の確実にサーレだったよね…?」


まるで姉様が死ぬ間際の夢と同じ感覚だ。最近はクロスのストーリーも始まって、私自身も忙しい日々を送っていたからなのかあまり夢を見る事がなかったのに、なんで?しかも姉様じゃなくサーレって…。

昨日はリンクに引き抜きの話をして、サーレとはちょっとした世間話をしただけだったはずだ。サーレとリンクと私の三人で話した時も何事もなかったし…え、待って、本当になんの心当たりもないんだけど。あ、いや、色々とストーリー変えようとしてるから心当たりがない事もないけど、ヒロインのリリアが予想ではまだ動いていないからストーリーも動きを見せないだろうって高を括ってはいるな…。


「え、じゃぁ何、リリア動いたの…?」


でも、それだったらクレイグから報告があってもおかしくない。それに、だったらなんでサーレの夢?

しかも姉様の時とは違って、ゲームでは全く流れなかったシーンだ。単なる夢だって言うにはリアルで、何よりこの世界が乙女ゲームの世界だという事を踏まえると、なんだかどうしようもなく不安になってくる。

起きた直後は鮮明だったけれど、少し経てば夢の記憶なんて曖昧になってきてしまう。どうにか手がかりはないかとサーレの夢を頑張って思い出して、ベットから転げ落ちるようにテーブルの上にある紙とペンを取った。


「嫉妬…と、あと「なんで」か…、「あの人」とかも気になるよね…」


普通に考えればリンクが結婚するだろう相手に嫉妬した場面のように思えるけど、それだったらクロスで「私の初恋は終わったのに、なぜ私の幸せを奪った子は笑っているの?」と、ちょっと暗い雰囲気で描かれているはずだ。ちゃんとそのシーンを思い出せるのだから間違いない。だったら「あの人」は他の人か?


…心当たりがありすぎるな…。


サーレが嫉妬してもおかしくない人は、私が思うに一人だけ。夢で見たサーレの風貌からして今より少し大人になってたかな?サーレがあそこまで落ち込むって事は相当な事があったって事だろうし、そうなる前に止めるべきなんだろうけど、下手に刺激するとリンクを引き抜くのが難しくなるかもしれない。


「マジでリンクに何したの、レイラ…」


あの天然入った堅物っ子めぇ…。リンクは随分気にしている様子だったし、それに気づけばサーレが嫉妬するのは不思議な事じゃない。

…………って、いうか、根本的になんで私がこんな夢見てるんだ?

姉様の夢は、姉様が死ぬシーンをゲームの画面とはいえ見てしまっているから時々悪夢として夢に見ているのだと思っていた。だけど、サーレは何か違うような気がする。ゲームのストーリーでも見た事のない場面だし、仲が良くなったとはいえ、まだまだサーレとの縁は浅い。


「……イライラする…」


考えるのは得意じゃないんだ。私は単純明快な事が好きなの!単純過ぎるのもあれだけど!


「あー!!!もう!!考えるのいやだぁ!!」


とりあえずダメな主人かもしれないけど、執事を頼ってみよ…。


───








「考えを放棄するのはいただけないですねぇ」

「わかってますよ…えぇ、もちろん。だけどわかんないもんはわからんのよ…」


朝食も後にしてクレイグを呼びつければ、予想通りというかなんというか、呆れられた。まぁ私ともなると開き直るという技を持っているけどね!!


「で、どう思う?」

「もう少しまとまった内容を教えていただきたいですが…そうですね、少女が好意を寄せている少年は他の女性を好意的に思っていて、その内容を夢に見た、と」

「小説の中の主人公がね」


クレイグ相手に例え話で説明とか難しいし絶対に気づかれているとは思うけど、こういう説明をすれば絶対に深入りして来る事はない。少し期待の混じった視線を送れば、クレイグは「私は」と言葉を紡いだ。


「予知夢などが思いつきますね」

「え、予知夢?」

「はい。魔術の世界にも一時的に予知夢を見る事を可能にする術がありますし、小説の中の話であれば不思議ではないかと」

「あー…はい、そうだよね、物語の世界はなんでもありだもんね」


実際この世界は乙女ゲームの世界だから、その世界の住人であるアステアっていうキャラクターが予知夢を見ない、とは言い切れない。それが私にも作用しているというなら、まぁ、納得はできないけど、説明はついてしまうかもしれないのは事実だ。


………もしかして、クロスクリーンって裏設定とか、あったりする…?

お読みくださりありがとうございました。

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