表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/313

第二十五話 着いて行く事にします!

いい加減にしろ、と本気で言っても今のレイラは聞かなそうなので、とりあえず姉様のところへ直行する事にした。フィーちゃんには「苦労するね〜」と笑いながら言われたので、今度愚痴に付き合ってもらう事にする。


「……とりあえず、姉様に話を通すから」


高くも低くもないテンションで言えば、私の機嫌が良くないと察したらしいレイラは、「は、はい」と少し困ったように頷いた。もっと早く察して欲しかったよ。

リアンはほぼ完治しているとは言え、フィーちゃんに無理させるなって釘を刺されたし、姉様に話をしたらさっさと用意した部屋に帰らせなきゃな。

あー、もう最悪だ、せっかく姉様に会えるのにこんな気分なんて。

一つ溜息を吐き出せば、予想以上にレイラの肩が跳ねる。私はとって食うつもりなんてないけど、姉様に迷惑かけるかもしれないって事が嫌なんだろうね。


「…レイラ、一つだけ言わせてもらっても良い?」

「あ、は、はい!」

「子供を甘く見てると痛い目を見るって覚えておきなさい。あと、とりあえず皇女の立場についてもう一回勉強し直して」


瞬時に顔面蒼白になったレイラを見て、あからさまに言い過ぎたかとも思ったが、このくらいハッキリ言っておいた方が後々を考えれば丁度良いだろう。

姉様の近衛騎士だからと無碍に扱ってこなかったのがこんなところで仇になるなんて、さっさと気づいていれば良かった。甘やかしすぎは良くないって事だよね。

レイラとは姉様とお茶をする時に挨拶をする程度で、そこまで親しいわけではない。だけど、姉様を守ってくれているんだからと、姉様に贈り物をする時は一応レイラの分も用意していたりした。だからなのかもしれないが、レイラは私の事を甘く見ていたようだ。

これでも、精神年齢的に言えばずいぶん年上だし、何より皇女という立場の人間を騎士が軽視するなんてあってはならない。

居心地悪そうに私の後ろをついてくるレイラを一瞥し、そうしてそのまた後ろを歩くリアンを見る。

リアンもレイラと似た性格だと、私の側にいる事自体難しいだろう。レイラは皇女の側に置いておきたいと思っているらしいけど、それがかえってリアンのストレスにもなり得る。


………今考えても仕方ないか。


とりあえず、姉様に癒されて、リアンの件と、姉様がフィニーティスに行く件について聞き出すのが先だな。


───







「あら、こんな時間に珍しいわね」


ちょうど食後のティータイム中だったらしい姉様が微笑む。飲んでいた紅茶を机に置き、わざわざ立ち上がってくれた。


「話したい事と、聞きたい事があって」

「そう、まぁいいわ。可愛い妹の訪問だもの。………レイラも関わっている事なのかしら?」


スッと、姉様が目を細めて、普段は見せない顔をする。

姉様の反応がいつもと違っていて少しだけ足がすくんだが、私は姉様の向かいの椅子に座った。ちなみに、レイラは姉様の、リアンは私の後ろに立って話を聞く事にしたらしい。レイラはともかく、リアンは一応客人という扱いだから座っても良かったのに…。


「……それで、話って言うのは?」

「そんなに重くないよ。ただ、レイラに頼まれた件が思った以上に大きくなっちゃったから報告にと思っただけ!」

「頼まれたって…」


驚いたように目を見開く様子を見るに、レイラは姉様には事情の一切を話していなかったらしい。………まだ若くてわからない事が多いにしても、団長がそれで良いのか、レイラ。


「頼まれたのはリアンの救出で、まぁ上手くはいったんだけど、困った事にリアンが貴族だったんだよね。しかも交流のあるフィニーティスの貴族だから、姉様に一応話を通しておこうと思って」

「……なるほど。リアンさんの話は私から王妃様にしておく事にするわ。ちょうどパーティーにも参加する予定だったし…」


パーティー、その言葉を聞いた瞬間、私の目の色が変わる。


「姉様、こっちが本題って言っても過言じゃないんだけど、パーティーに行くって本当なの?」

「え?えぇ。第一王子のブラッドフォード殿下が久方ぶりに帰ってくるらしくて、出迎えのパレードとパーティーに呼ばれたのよ」


なんで!!と怒鳴っても、姉様を驚かせてしまうだけなので何も言わない。でも、でもさ、私言ったはずなんだよね。フィニーティスには行くなって。あ、もしかして「私や兄様が帰ってくるまで」ってつけたのがいけなかったのかな?でも、私達がアルバへ行っている間に約束しちゃったら止められないじゃん。しかも第一王子?社交的な姉様も会った事ないような戦闘狂じゃないか。

最悪だ、姉様が「予定」ではなく、「行く」と決めているという事は、すでに返事をしてしまっているのだろう。

この場合、無理に姉様を止めると相手側であるフィニーティスとの友好に亀裂が入る可能性がある。

でも、でもなぁ、姉様を行かせるの嫌だなぁ…なんとかして止める手立ては……。

目の前で「どのドレスを着て行こうかしらね」と話す姉様を見て、私は「あっ」と思いついた。


姉様を止めるんじゃなく、私が着いていけば良いだけの話じゃないか。


「姉様!提案なんだけど!」


お節介かもしれないけど、姉様の天然が心配なので…あと私が姉様といたいので、着いてく事にします!

お読みくださりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ