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第二十四話 レイラは定番幼馴染系女子だった

「改めまして、リアン・リディアと申します!」


ブンブンに振り回されている尻尾の幻覚が見えるが、まぁ良いとしよう。


「リアン、いくつか質問があるんだけど…」

「なんなりと!」

「………じゃぁ、貴方は貴族って事で良いんだよね?」


私が聞けばリアンは「元ですがそうですね」と、いとも簡単に答えてくれた。

できればそうでなければ良いと願っていたよ…。


「…ソウデスカ。元、というと破門されたって話?」

「家出ですね!家の連中がうざっ…口煩かったので、家出しました!」


今確実に「うざかった」って言いかけたよね、というか完全に重要な部分は言ってたよね。

あの真面目なレイラが友人関係を持つとは思えないくらいの適当君だったりするのか、もしかして。


「…家出の理由は把握したけど、家の方は大丈夫なの?確かフィニーティスは家族愛を大切にする国風でしょ?」

「大丈夫です!我が家は生きていればどうでも良いみたいな考え方の父が当主なので!」


どんな家庭だよ。

放任主義にも程があるだろ、そのせいでこんな男が育ったのか、本当にどうしてくれんだ顔も知らん父親様よ。

呆れて言葉が出ないとはこの事か、と現実逃避するために考えれば…。


バンッ!!


「リアンを助けてくださったとは本当ですか!?第二皇女様!!!」


登場したのは、リアン並みに目をキラめかせているレイラだった。


「れ、レイラ!?なんでお前ッ!!」

「リアン!あんた貴族に捕まったってどういう事よ!!」

「うっ…な、なんでお前が知って…」

「皇女様に頼んだのが私だからに決まってるでしょうが!!」


速報、レイラは定番幼馴染系女子だった。

待って、リアンと話し初めてから情報過多すぎて頭が混乱してきている。落ち着こう、落ち着いて情報を整理しよう。

まず、リアンはフィニーティスの貴族で、しかも家出青年だった。リディアという名はあまり聞いた事ないけど、父様の話を総合すると伯爵家なんだろう。リアンの父親の性格を考えるに、政界で力があるとは思えない。そこまで権力はない貴族かもしれない。その場合、何か問題があっても姉様を気に入っているフィニーティスの王妃様に話を持っていけば一応解決はできるはずだ。

次にレイラ。

レイラは……なんだ、いきなり登場してリアンに怒鳴り始めただけ。知人程度だって思ってたんだけど、まさか恋仲だったりするの…?


「あ、あの〜…レイラ?」

「はい!?って、皇女様!あ、す、すみません!!」


私の存在に気づいたのか、すぐに私の前で頭を下げたレイラは、一度だけリアンを睨むと一歩後ろへ下がる。

言いたい事は山ほどあるらしいが、私の前なのでもう騒ぐ事はなさそうだ。


「…リアン、静かになったところで質問なんだけど、レイラとはどういう関係?」

「えっ…あ、あー…友人です」


先ほどの元気な返事からは打って変わって歯切れの悪い答え。何か込み入った事情かとも思ったが、そうならあんなに元気な再会はしないだろう。

………ま、深く知る気なんてさらさらないけど。


「そう。まぁ良いわ。リアン、貴方の申し出はお断りさせて頂きます」

「!…なぜか理由をお教え願えますか?」

「簡単な話で、もう間に合ってるんだよ」


私の答えを聞いても諦められないのか、リアンが下唇を噛めば、話が飲み込めていないらしいレイラが口を挟んだ。


「ん〜とねぇ、リアンさんが近衛騎士になりたいって言い出して〜」

「それは本当ですか!?」


私の代わりにとばかりにフィーちゃんが答えた瞬間、レイラの目の色が変わる。

………これは、もしかしなくても面倒なパターンか?


「第二皇女様、リアンはこう見えても凄腕の剣士です。騎士の家系でありながら我流の剣筋もあり、我が国の騎士と遜色はないでしょう。近衛騎士にすれば必ず皇女様の身を守ってくれると私が保証いたします」

「待て待て待て、何よいきなり…」

「レイラ…」


そこ、感動してるんじゃない。

私をなぜか説得し始めたレイラを見てリアンが薄ら涙を浮かべ始め、私はちょっとだけうんざりし始めた。

そもそも飲み込めない状況下が大嫌いなんだよ、私は。


「……レイラ、もしかして私の近衛騎士になればリアンの身が保証されると思ってるの?」

「っ!そ、それは…」


ビンゴですか〜。この子は私の近衛騎士の席を軽く見過ぎじゃない?その綺麗なおでこにデコピンしてやろうか。確かにレイラに頼まれた時、「近衛騎士にしてくれないか」と言われたのは覚えてる。けど、最終的に判断するのは私だろう。そして今の私は、リアンを近衛騎士にするつもりは全くない。


「それは思い違いだよ。私はこれから様々な場所に外交として赴く事も多くなる。そうなればリアンが危険に晒される機会は圧倒的に多くなるんだよ?」


まぁ、外交に行く気なんて全くないけど、一応皇女なのでこの言い訳は有効だろう。

苦虫を噛んだような顔をするレイラを見て、リアンと違って話は理解できるみたいで安心する。姉様の近衛騎士だし、無碍にはしたくないので、ここで納得してくれると有難いな。


「で、では!側に置くだけでも!」


……残念な事に、レイラは納得してくれないようだ。


お読みくださりありがとうございました。

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