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第百三十九話 予想通りというかなんというか

途中から視点なしです。

「では始めましょうか」


「待て待て待て待て」


どう言う事だおい、なんてツッコミを入れれば、クレイグは首を傾げながら「どう、とは?」と聞いてくる。

いや、この状況見て説明もなしですか?


「話なら早くしてくれよ、俺は眠い」

「昼間からグゥスカと眠っていた人が何を言っているんですか」

「あ、魔導具の作り置き片付けておいたか?俺。あれほっとくと凍るんだよなぁ…」


「なんでエスター達までいるの!!」


話す相手はクレイグだけだと思っていたのに、いきなり三人を呼び出すものだから今の今までツッコミを入れる事ができなかった。

キツイ視線をやれば、クレイグは簡単に答える。


「彼女に関わるのは私だけではありません。なら、最低でもこの場にいる人間には教えておいた方が後々楽になると思いますが」


いや、うん、一理あるけどね?流石にいきなりすぎると思うんだけど。

なんて、私の心の声が聞いてもらえるはずもなく、クレイグはいつもの笑みで「始めましょうか」と笑った。


「はぁ…もういいや、始めるって何するの?」


聞けば、クレイグはやっぱり笑う。それからおもむろに煙が立っている細い棒が入った硝子のケースを取り出した。なんだかお香を思い起こさせて懐かしいような気もするけど、クレイグが持っているならまず普通の代物ではない気がする。

そして予想通りというかなんというか、リンクの「それって!」という驚いた声で、それが普通の代物ではないと理解できた。


「リンク様はご存知でしたか、流石ですねぇ」

「でも、そんなまさか…」


感心しているクレイグなんてお構いなしに動揺するリンクが気になり、「あれって何?」と声をかければ、リンクは動揺しながらもちゃんと答えてくれた。


「昔作られた魔道具…だと思います。でも、その魔道具は百年も前に全て使い果たされたはずじゃ…」

「えぇ、確かにこれは百年以上前の物です」


アンデッドであるクレイグが昔の物を持っている、という事自体にはなんの疑問もない。それに百年くらいであれば、国の宝庫にも同じくらい歴史のある物が眠っていてもおかしくはないだろう。

だけど、リンクのこの驚いた反応にどこか引っ掛かりを感じるのも事実だ。


「記憶に関する魔術を付与するのはそう簡単な事ではありませんから、今の技術では成功したとしても数十回に一度。それも本当に小さな効果だけでしょうね」


その言葉を聞いた瞬間、視界が歪む。


「…?」


重くなってきた頭を支えるように額に手を当てれば、自然と体が椅子のクッションに沈み込む。そこでやっと体が眠り始めているという事に気付いて、クレイグの顔を見つめた。


「いい度胸、してるわ…」


そう言い放つくらいしかできずに、私は意識を深く眠らせてしまった。


───











「あ、アステア様!?」


エスターがアステアの体を揺するが、規則正しい寝息が聞こえてくるだけで返事はない。

ヨルは状況が飲み込めずに、「おい」とクレイグに向かって低く声をかけた。


「ご心配には及びません。ただ、少しだけ眠っていただいているだけですから」


主人を無理やり眠らせるなど従者としては暴挙とも取れる行為だ。エスターが、ありえない、と目を見開き、ヨルはクレイグを睨み付ける。


「一応アステア様の指示なのですよ?「確信」がほしい、その言葉に応えようとしている結果です。まぁ、それは皆様の気持ちで左右されますが…」

「遠回りな言い方はよせよ爺さん、あんた何がしたいんだ」

「それは、リンク様の方が知っているかもしれませんねぇ」


クレイグの言葉によって、ヨルとエスターの視線がリンクへと向く。するとリンクは、「記憶、なんです」と話し始めた。


「この魔道具に付与されている魔術の種類は「記憶」…。今となってはもうお目にかかれない上物で、国宝になっていてもおかしくはないです。魔道具の効果は予想でしかないですけど、人の記憶を文体として読み取る、とかだと…」

「あぁ?んでそんなもんを姫さんに使うんだよ」


ヨルがやはりクレイグを睨めば、珍しくエスターも理解できないとクレイグに視線を移す。

二人の姿に笑みを溢したクレイグは、その続きもリンクに促した。


「……クレイグさんは、アステア様の記憶を読もうとしているんですか?」


その言葉に、ヨルとエスターが揃って目を見開いた。だが、クレイグは何もいう事はなく一つ頷いて見せる。それが肯定であるという事はすぐに理解できたが、それでも声をあげたのはエスターだった。


「アステア様のお気持ちに反しているんじゃないですか!?だって、記憶を読むなんて…」

「何も全てを読むという事ではありません。アステア様が隠されている事について知るだけです」


だけど!と反論しようとするエスターに、ヨルが「それは姫さんの意思なのか?」と静かに問うた。今までの行動を見る限りでは、クレイグがアステアの意に反する事をするとは思えない。ヨルの問いを聞いて、クレイグは迷わず答える。


「アステア様のご要望にお応えするためです」


それは、ヨルの予想通りの答えだった。

お読みくださりありがとうございました。

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