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第百五話 話せばなんとかなる、かな

初めて会った時、クリフィードに話しかけられて場所を移動したすぐ後に姉様とブラッドフォードが出会うところを目撃したからなんとなく話が流れてたわ…。そう言えばクリフィードが話しかけてきたのって、リディア伯爵に何かしようとしてる私を止めるためだったっけ…?


「クリフィードがまさかの伯爵派だったぁ…」


誤算だ。いや、忘れてた私が悪いんだけど。色々とクリフィードに協力してもらえたから助かった部分もあるし、姉様とブラッドフォードの関係を良好にするには、弟妹である私とクリフィードも関係を悪くしてはいけない。けど私を睨んだ時のあの目は本気だった、どうにかしないとヤバイ。

リディア伯爵を尊敬しているなら手を出すのをやめる?だけど、それだとリディア家の問題からも手を引かなきゃいけなくなるし、何より本気で手を引くならリンクがせっかく決めてくれた英断を突っぱねなきゃいけなくなる。それだけはダメだ。でも、リンクを引き抜いてリアンを当主にした場合、機嫌を損ねるどころの話じゃなくなるし…。


「手詰まりかよ…」


どう考えてもリディア伯爵の意思に反する事をしようとしてる私と、リディア伯爵を尊敬しているクリフィードが協力している図が見えない。カタルシアとフィニーティスの友好に罅が入ったら、姉様とブラッドフォードの結婚は絶対におじゃんになる…それだけは阻止したいのにッ!


「何決意したかしらねぇけど、変な顔してるぜ。姫さん」

「人の決意に変な顔はあんまりじゃないですか!?」


せっかく頑張ろうとしてるのに!!


「姫さんがしようとしてるのは王子サマのご機嫌取りだろ?らしくねぇ事すると空回るからなぁ」

「なんて不吉な事を!!」


クリフィードとリディア伯爵の関係を思い出して放心状態の私を貴族達の中から連れ出してくれた事には感謝してるけど!!そんな怖い事言わないで!!


「俺ならいつも対等に話してた奴がゴマすってきたら何企んでんのか吐かせる」

「……まぁ、私もそうするかもしれないですけど…」

「だろ?そもそもあの王子サマが機嫌悪くなったからってなんだよ。姫さんが知ってる事と、王子サマが知ってる事は違うんだ。馬鹿みたいに考えてねぇで自分の正しいって思った事貫いとけば良いんじゃねぇのか?」


うっ……確かに…というか主人に向かって馬鹿みたいって…。でも、そうかもしれない…かも?クリフィードが知ってるリディア伯爵と、私が知ってるリディア伯爵は違うかもしれないし。私に対するリディア伯爵の対応が非常識な事には変わりはない。リディア夫人も驚いていたくらいだ。話せばなんとかなる、かな。


「ちょっと、話してみます」

「そうしとけ。姫さんの言葉だったら聞くだろうよ」


それはどうかわかんないけど、まぁ、クリフィードも馬鹿じゃないだろうし…大丈夫だよね…。


───











「先生がそんな事をするわけないだろ!」


数十分前の私よ、前言撤回しようか。こいつ話聞く気ねぇわ。


「クリフィード、話聞いてって!」

「うるさい!これだから女は嫌なんだ!」

「それとこれとは話が別でしょ!?」

「同じだ!女はみんな狡賢くて気持ちが悪い!!」


こいつ全く話を聞かない。リディア伯爵と話終えたのか一人になっていたクリフィードを人のいない部屋に誘導したのは良いものの、話しかけた瞬間から嫌悪感を露わにされるとキツい…っていうか、ムカつく…。


「何度も言ってるようにリディア伯爵はリンクが大事にしていた物を切り捨てて、何より自分の考えを押し付けてるんだって…」

「子供が一人以上いるならよくある事だろ。長子の意思が尊重されるのは当たり前の事だ」

「だから、その長子であるリアンが当主になると決めても、リディア伯爵は自分の意思でそれを無視してるんだよ?」

「家出した長子なんて無責任すぎるからだろ」

「家出するように仕向けたのはリディア伯爵なんだって言ってるよね」

「証拠はどこにもない…あの人は尊敬できる人なんだ!」


私が知ってるリディア伯爵の事を一から十まで丁寧に教えてやってもこの対応。見たくない事から目を背けたいのはわかるし、この伝え方じゃ伝わらないっていうのも薄々はわかってる。けど、たぶんこの機会を逃したらクリフィードは二度と会ってくれないと思うから。


「クリフィード、落ち着いて話聞いてよ…」

「俺はお前がありえない事ばっかり言うから怒ってるだけだ!!」


思わず私は溜息をつきそうになる。ここまでキレてる相手になんて伝えれば届くのか、正直わからない。どうしよう、と私が言葉を詰まらせた時だった。


「そもそもなんだって言うんだ!先生が望んでるなら才能の一つぐらい捨てたって文句はないだろ!それでも先生の子供かよ!」


それは、言っちゃダメな言葉だ。


──パチンッ


乾いた音が私とクリフィードしかいない部屋に響いて、クリフィードは言葉を無くした。

お読みくださりありがとうございました。

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