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ー第6話ー

 トビラとシステム猫・ピートと召喚獣のポニーのペトロニウスは最初の町ファンデーションに戻っていた。まずはドロップ品を売って多少なりとも装備を整えてから蒸気パン・クウに情報をもらった東にあるという牧場に向かうつもりだ。


 そしてネコ大陸の王道であるマップ探索に対する報酬の件もある。ネコ大陸は基本は探索、探検をすることで報酬が得られる。

 報告の対象は大きく2つある、自分とパーティーが埋めたマップの面積、倒したモンスターの数と強さによるのである。この時、死に戻った場合は探索失敗となり、帰還しても報酬が得られない。

 ゲームとしては新大陸をすべて探検することが開拓団の王女の目的であり、開拓するにはモンスターを減らすことにより報酬がでるという事になっている。が、ゲームである以上、モンスターは絶滅しないし、他のプレイヤーがとっくに埋めたマップでも報告すると報酬がもらえるので、報告報酬は『お駄賃』とも呼ばれる。

 お駄賃の換算基準は「新規のマップ>新規のモンスター>既知のモンスター」になる。モンスターは討伐数もカウントするので、どれが稼ぎやすいかは一概に言えないが。


「まぁ、こんなものか」

 浮かない顔でトビラがつぶやいている。


 お駄賃を得たトビラは今後の予定を確認する。まずは消費アイテムと武器・防具を買うつもりだ。スキルは一度ポイントをふるとやり直せないので慎重に考えたほうが良い。しかし、装備は失敗してもお金をかければ変更できる。なので多少、資金を無駄にしても装備の更新はこまめにしたい。

 が、悩んでいるのは、それだけではないようだ。


「でも、どうしようか」

 またしてもトビラは悩んでいた。最初の村(ファウンデーション)の報酬渡す担当NPCアイザックとの会話が原因であった。カワイイ召喚獣を連れていますねとNPCが言うのは装備や召喚獣を見て、一般的な評価から無難なお世辞を選ぶ悪意のない挨拶である。そのへんは理解していても嬉しくないらしい。


「ここでもカワイイと評価されちゃうか」

 トビラの中の人である夏子は外見をカッコよい服装を着ても、身長の低さからカワイイと言われてしまう。ゲームの中で変わりたいと思っているトビラは、どうやったらカワイイから脱却できるか悩んでいる。


「とりあえず東に行って牧場の人の話を聞いてイメチェンできないか考えよう。最悪、別の職業にするか?蒸気パン・クゥとの約束を破ることになってしまうし、どうしようか」


 ネコ大陸では一つのIDで3つのアバターに切替可能だ。共通する装備は使いまわせるし、資金や倉庫などは共通だ。けれど経験値は別になる。初期資金よりは増えているが、2体分の装備を買うお金はない。

サモナーの育成を放置して、別のキャラを育てたほうがトビラの目標に近道かもしれない。微妙なタイミングである。


(やめっやめっ!まずは頼ってもらえた所を育てよう!)


 問題の先送りをすることにしたトビラはシステム猫(ピート)に前に消費アイテムを買った商人ポール・フレンチの現在地を調べてもらい、買い物をしようと歩きだす。

 でも召喚獣は一旦送還した。


 無事に商人のところで買い物を済ませたトビラの装備がこれである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夏辺野トビラ

武器1:倒木虫牙の短槍

頭部 :狡狐革のネックガード

胴体 :冒険者の革鎧

腕部 :狡狐革の小手

脚部 :狡狐革のズボン

靴等 :布製靴

アクセ:

バッグ:麻布のポーチ

所持金:200ゴルド

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 これにHPポーション(小)2本とスピドニンジン3本である。装備4つで丁度3000ゴルドが消えた。消費アイテムと合わせると今回の探索は赤字である。また性能重視で武器を選んだのだが虫の部品が使われているのもあり、トビラは気分が良くない。


 しかし!

 これなら可愛く見えないという悟りがおりてきた瞬間に購入していた。

 ちなみに装備を切り替えた後、やっぱり少し後悔している。


「だ、大丈夫。虫ぽい見た目じゃないし。ヨロイ部分は虫じゃないし」


 防具も虫素材に出来たが、絶対ムリと中の人が言っているので却下になった。


「装備はこまめに更新しよう!とくに次は武器を!」


 決意を新たに新たな目的地へと歩きだすトビラであった。しかしタンクタイプのキャラに必要なのは防具である。武器の更新はパーティプレイでは後回しでも良いはずである。

 夏辺野トビラ(かべのとびら)、育成方針も装備もゼッサン迷走中である。

「ま、まだソロだから攻撃力は大事なんだよ・・・」



 そうしてトビラは昨日、船が着いた浜辺まで戻ってきた。目的地の牧場は正確に言うと東南東にある。東方向にある最初のセーフティエリアから更に南東に行けば到着すると蒸気パン・クゥからは聞いている。

 まずは次のセーフティエリア、老人の海辺に向かうことにする。この名称は公式のもので、岩だらけの海岸に老水夫のNPCがいるらしい。

 最初の浜辺で老人の海辺に向かう水夫と小舟がいないか確認するのだ。陸路で行く方法もあるが、海路で行けば未知のモンスターがいる。それを倒すとお駄賃がもらえる。


 トビラは浜辺を見渡す。

森の木(しょうがいぶつ)がないとはいえ、やっぱり身長あると見渡すのが楽よね)

 とパーティ募集のシステム画面から出せる固定ウィンドウがたくさん並んでいるのを眺める。


(んっ?あれは)

 そこには昨日、知り合った水夫と誰かが言い争っている。


「だから初期マップなんだし大丈夫だって!一つ東にいくのが、そんなに難しいって言うの!?」

「それを決めるのはぁ、君じゃないでしょぉ!」

 どうも女性とアース&シーは周囲に聞こえることもお構いなしに喧嘩しているようだ。アース&シーは語尾が「ですー」とか伸びているキャラが崩壊して「ぁ」とか「ぉ」で終わっている。


「レア職業の私の戦闘能力が不安だって言うの?」

「ネコ大陸でぇ、レア職業はぁ不安に決まってるでしょぉ!」


 サモナーが不遇であったり、ハイランダーが狂戦士と呼ばれるようにレアな職業は弱くはないが扱いづらい上級者向けと言われる。力押しだとやりづら


「まったく分からない人ねぇ。私は方士よ!あの!!」

「どの方士だったらぁ安心できるとぉ思ってるんですかぁ」


 力押しだとやりづらい。解説も口を挟めないくらい口論がヒートアップしているが、方士はレア職業の中でも使いこなせる人が少ない割に人気な職業だ。人気の理由は


「方士の凄さを知らないの!?ベータで!!一番活躍したのよ!!」

「方士だからぁ活躍したとはぁ限らじゃないですかぁ」


 方士の少女にちょっと水夫が押され気味だ。βテストで最も遠くまで遠征したパーティのリーダーが方士であ


「やぁ。昨日ぶりね。でも、どうしたの?」


 ・・・方士であった。トビラが割って入ったが、中の人である夏子は人の喧嘩を仲裁できるタイプではない。しかし自分のロールプレイを思い出して『頼りになるキャラ』であれば知り合いの喧嘩をとめるべきと思ったのである。


「おやー。トビラさんじゃないですかー」

「えっと、アース&シーだったよね。無事に舟を入手したのね?」

「ちょっと、今は私が話しているの!?」

「まぁまぁ喧嘩してばかりでは話が分からないよ?何があったの?」

 トビラに尋ねられた方士だというプレイヤーは答える。

「この人に海上移動を頼んでいるのにダメだっていうのよ!」

「アタッカーも、いないのにー海上移動はムリだと断っているだけですー」

「だから!レアな職業なんだから大丈夫!って言ってるじゃない!」

「だからぁーそれがー余計にー不安なんですー」

「うーん?アタッカーなら私がやろうか?」

 と、トビラが提案すると

「行けるじゃない!」

 と方士の少女は喜ぶが、アース&シーは

「アタッカー2人でもぉーギリギリだったんですよー」

 と渋っている。


「そんなに難しいの?」

「まだぁー、僕がー操船しながらー、戦闘ができないので」

「あぁ、なるほど」

 じゃあ、しょうがないとトビラは思ったが方士の少女は違ったようだ。


「わかったわ!失敗したら私が責任とるわよ」

「責任って?」

 とトビラが聞き返すと

「責任は責任よ!」

「失敗してもー、文句を言わないってことですかー?」

 水夫アースシーが確認すると

「そんなの当たり前じゃない!失敗したら消費アイテム分のゴルド払ってやろうじゃない!」


 さて、話がやや強引ながらまとまりつつあるので解説する。まず水夫のアース&シーは最初のクエストでもらえる報酬として初期装備の武器と小舟をもらっている。こういった小舟を初期から入手しやすいのが水夫のメリットであり、他のプレイヤーから運賃を取ったり、水辺を移動することで探索報酬を得やすいので金策がしやすい人気職業である。

 しかし小舟の搭載人数は3人なので、戦闘能力がないプレイヤーを乗せてしまうとモンスターとの戦闘で負けたり、死亡してしまう。死ぬと探索失敗となり、所持金が減るなどのペナルティはないが、セーフティエリアまで戻される上に探索中に使用したアイテムは返ってこないし、探索中に得たアイテム・経験値は丸ごとロストする。


 少女は失敗したら使用アイテム分の弁償はすると言うくらい自信があるようだ。

 自信の源である方士は全25職の中では最初は地味に思われていたが、トッププレイヤーの職業が方士だったため、今では一番人気である。主な役割はバッファー、支援魔法の使い手である。トッププレイヤーは支援(バフ)阻害(デバフ)、回復の魔法を絶妙なタイミングで使い分け、冷静な戦況分析から指揮をとる優秀なリーダーであった。

 βテスト終了後の公式動画で、その戦闘スタイルを紹介されたためマネする人が続出した。しかし、マネした人たちは勘違いしていた、『方士は強い職業である』と。


 実際には攻撃力は低い職業なので水夫アース&シーと2人だけで水上戦は失敗確実なので断っていた。トビラをいれても3人パーティでは不安だが、失敗しても消費アイテムの損失がないなら時間のロスだけですむ。少女に文句も言われそうにないと判断したようだ。


「よし!じゃあ!!行くわよ!」


 と方士の少女からパーティ編成の招待が来る。方士の少女の名前は朝比ラッキー。(あさひらっきー)というらしい。トビラが念のため

「貴方の名前は朝比ラッキーというの?」

 と聞くと


「発音は朝比ラッキーでいいけど、最後に『。』をつけるのを忘れないでよね」

 妙なこだわりがあるらしい。


 トビラもアース&シーも

(地雷キャラかもしれない)

 と不安に思った。


2人の微妙な顔色に気づいていないのか

「ちょっと、こっちが名乗ったんだから、名乗りなさいよ」

と言われて

「えぇっと、すまない。私は夏辺野トビラ(かべのとびら)という。よろしく」


 こうして3人パーティで東の海へと旅立つのであった。


 船上に3人そろった所でトビラが思い出したように質問する。

「そういえば舟には定員があるよね。召喚獣はカウントするの?」

「あぁー、トビラさんはサモナーでしたねー。ヘルプでの情報ですがー大丈夫らしいですー。やってみたことはないのですがー、不思議ですーよねー」

「へぇ、サモナーだったの?魔法職ぽくないカッコね?でもレア職業2人なら楽勝ね」


 と言った所でマップが切り替わる。エリアとしてファンデーション扱いだったので、他の舟も見えていたが、視認できなくなる。けれども風景はシームレスだ。


「サモナーは魔法職じゃない気がする。じゃあ、何かは分からないけど」

「後衛とか前衛とか、魔法・物理のくくりが、わっかんない職業おおいよね。このゲームの侍は魔法戦士ぽい立ち回りだって聞いたし」

 職業名は現実世界に実在したものとリンクはしていない。カウボーイは牛を飼っているわけではないし、馬賊は強盗行為をするわけではない、ジプシーが放浪してる設定だが被差別民ではない。


「ガチでー攻略するならー、一般職でタンク・火力・ヒーラー・そろえるのがー、テンプレですねー」

「戦闘の効率なら、そうだろう。けど偵察役や荷物運び(ポーター)、水上移動もある。支援役(バッファー)も入れると6人パーティじゃ足りない気がするが、どうするんだ。」

 トビラが素朴な疑問を口にすると、


旅団(ギルド)結成してますねー、まぁギルドシステムは試行中との事でギルドチャットしかなくて不評らしいですけどー」

 アース&シーが回答した後、つづけて

「ちょっと作戦会議してもいいですかー」

 と続ける。小舟の(かい)をとめて移動も止まる。

「先に召喚獣を呼んでおく。敵が来たら、警告してくれるから」

「へぇ、そんなことも出来るんだ」

 トビラは一言断って召喚魔法を行使する。魔法陣があらわれて、ペトロニウスが呼び出される。


「「かわいい!」」


 異口同音にトビラを微妙な気持ちにさせる朝比ラッキー。とアース&シー


「なでていい?」と尋ねられるが

「後にしてくれ。ペトロニウス、船首にいて敵がきたら、よんでくれ」

 と断る。残念そうな顔しているがクリアできないと弁償の約束があるからか、素直にこちらを向くラッキー。


「自分もーあとでーモフモフしたいですー」

「わかった。わかった。それでどんなモンスターが出るんだ?」

 内心、たしかに毛足が長いしモフリがいあるなと思うトビラであったが今はゲームをすすめたい。


「絶体ですよ」

 と言ったアース&シーの目が怖いトビラであった。

「このマップで会ったことのあるのはーイカとトビウオぽいモンスターですー。基本はー空中に飛び上がって突撃してくるのでーカウンター当てる器用さがあればー楽ですー。盾でおとしてー火力で潰すのがーテンプレですー。あとー出現数はすくなくー自分もあったことないのですがー角はえたアザラシもいるようですー」

 言われて、考え込むトビラ。

「私がバフで攻撃力あげるから、だからアタックは任せたわよ」

「敵の数が多くて飽和するようだったらー、自分もー攻撃に回りますねー」

 とアース&シーが言うが、そうすると舟が進まないのでトビラが火力になるしかないようだ。


「わかった。出来れば舟を移動を優先して、敵に囲まれないようにしてほしい。船首に私、舟の中央にペトロニウス、後方にアース&シーさんとラッキーさんがいるようにしましょうか」

 と提案するトビラであった。

「えぇ、任せておきなさい!」

 ラッキー。が答え

「ではーそれでお願いしますー」

 (かい)をこいでアース&シーが舟を進ませる。朝比ラッキー。がペトロニウスの背中をなでているのをアース&シーが羨ましそうに見ているが、トビラは前を見ているので気づかなかった。


 ほどなく初の水上戦となった。ペトロニウスは視覚なのか聴覚なのか分からないが敵の接近に気づいていななく。


「敵がでたみたい!」

 そう声をかけながら、ペトロニウスの視線から敵の位置を探す。


「どこよ!」とラッキー。が叫び

「右舷側たぶん2体!」トビラがこたえて

「わかりましたぁ、進路2時に変えますよぉ」と敵と正面戦闘すべく転針するアース&シー

「あれはトビウオね!」とラッキー。

 転針は完全には間に合わないが、11時方向から来る相手に穂先を合わせる。相手は2体とほぼ縦に並んでいるような状況になる。相手は何も考えず突っ込んでくるようなので、この位置取りで戦いたいと思ったトビラは後衛の2人に声をかける。


「進路まっすぐ!バフを!」

 車は急に止まれない。舟も慣性の問題でやや行き過ぎてから直進しはじめる。敵は今までまるで水面を走っていたような飛び方をしていたのに急に水面に沈む。


「来ますよぉ!」

 とアース&シーが警告するのと同時に敵のトビウオは人の背より高く飛び上がる。

 そのまま飛び込んでくるトビウオの一体目に

「魚が!みおろすんじゃねぇ!」

 心の叫びをもらしながら槍を突き立てる。


 ほぼカウンターの形でキレイに一撃決まって、再び上に打ち上げられ舟の上に落ちる。が、2体目はトビラの肩口に攻撃をくわえて、飛び去る。


「くっ」

「まだです!後ろから増援もいますよぉ」

 とアース&シーに言われてトビラが振り向くと、イカ1体とトビウオ2体を加えた合計4体が海上にいるのが見える。イカはトビウオと違い、羽もないのに謎原理で飛んでくる。


 とりあえずトビラはペトロニウスが前足で蹴っているトビウオ、さきほどの一体目にトドメをさそうとする。ちなみにペトロニウスの攻撃はダメージエフェクトは出ているが、あまり効いてないようである。

槍を振り下ろそうとしたら急に、勢いがついて微妙に狙いを外してしまう。


「な、何!?」

「ちょ、バフかけたんだから舟を壊さないで!」

 攻撃力のあがった理由は朝比ラッキー。の支援だったらしい。ちなみに味方の攻撃では舟はこわれない。

なんとか敵を倒すと敵の増援が進行方向7時方向から迫ってくる。


「ペトロニウス!しゃがんでいて!」

 あわてて召喚獣に指示をだし、背を飛び越える。ラッキー。は船首方向に避難していく。純粋な後衛として正しい判断だ。ちゃっかりドロップアイテムを拾うのは賛否あるだろうが。


「ここは舟をとめまぁすぅ」

 アース&シーが武器の曲刀を腰から抜く。櫂を放しても慣性も計算されるらしく舟は惰性ですすむ。


 同時にトビウオが水面下に隠れる。イカは速度で劣りやや遅れている。

 トビウオ3体が飛び出してくる。トビウオの攻撃方法は先程から変わっていないために高さを見切ったトビラはジャンプの頂上で1撃、落ちてくる最中に槍を短く持って更に1撃を別々にいれる。

 バフのおかげで2体とも倒せたが、アース&シーは攻撃をもらってしまう。そのまま舟を追い越して行こうとするトビウオであったがラッキー。が傘くらいの長さの短杖を器用にあてる。


「いかせるかぁ!」

 ちょっと怖い声と共に、船尾方向に戻ってきたトビウオをアース&シーがトドメをさす。

 トビラはイカが舟に追いつこうとしているのをにらみつつ、


「ペトロニウス!アース&シーに支援を」

 言われて召喚獣は立ち上がり、水夫にAGIのバフをかける。トビラとしては水夫がやられたらパーティ全滅のためHP回復の指示を出したつもりだったが、そちらを見る余裕がない。


 どういうヘイトシステムしているのか、イカがターゲットを召喚獣につけた。ペトロニウスの真横で水面下に沈み、飛び上がってくる。相手にあわせて大股のカニ歩きでトビラは移動して召喚獣を背にする。


「おぉー、漕ぎやすーい」水夫が慣性で動いていた舟の動力として漕ぎ始める。AGIすばやさ上昇効果とあいまって、一気にスムーズに進み始める。

「きゃ」急に進みだした舟にラッキー。が尻もちをつく。


 器用に移動にあわせて突っ込んできたイカを、これまた器用にトビラが打ち落とす。


「水面に落としたらー、ドロップひろえないのでー、気をつけてー」と流されていくイカを目で追いながら言う水夫(アースシー)

「気を付けなさいよ!」立ち上がりながら発言のタイミングわるく誤解を与える方士(ラッキー。)

「早く言って、そういうことは」何とかタンクをこなしている事に満足していたら、思わぬ方向から精神ダメージをもらう召喚士(トビラ)

「はやくちはー、にがてですー」


 その後も息のあっていないパーティプレイ、誰かが何かをすると誰かの邪魔になるというデコボコプレイをしつつ、ちょいちょいダメージをもらい全員HPを四分の一は残して上陸ポイントが見えてきた。


「あそこまでー行けばーセーフティエリアですー」

「や、やっと着いた!上級の職業でもこんなに苦戦するなんて」

「このゲームには実質は上級とかないかな」

 ぼやいた朝比ラッキー。にトビラが返事するときれいな小顔にガーンと音を立てそうな表情を浮かべて、振り向く。


「強いから上級じゃなくて、上級者じゃないと使いこなせないから上級職ってゲームらしいよ」

 とトビラが攻略サイトなどで言われている情報を話すと

「そ、そ、そんな!じゃあ方士は最強キャラじゃないの?」

「まぁー、臨時パーティでー、動きにーなれてないのにーここまでー来れたらマシですよー」

 臨時パーティを組む回数が多かった水夫(アースシー)は評価する。正直、絶対にクリアできないと思っていたのと、第1印象が悪かった人がいるのでビックリしているようだ。ゆっくり喋るのでビックリしているように見えないが。


「なんてこと」

 と落ち込んでいる朝比ラッキー。出会ったがボブヘアの金髪が落ち込む彼女の横顔をかくす。

「ともかく無事についてーよかったー」

 とよろこぶアースシーは明るめのアッシュグレーの髪とあいまって平穏な海を航海してきたようだ。

「とりあえずペトロニウス?ニンジンたべる?」

 気分的につかれたトビラは召喚獣に食べ物を与えて落ち着くことにする。


 波はおだやかながら、舟の上ではデコボコパーティの旅もおえて、次なる目的地へと向かうトビラであったが、後半は平穏無事に旅することが出来るのか?

だいたい8000字

誤字あれば教えてください。目指せ誤字がマンガイチ!1万字に1字くらいにしたいです。


また感想書いてくださると嬉しいです。

次の話は、設定集になります。読まなくとも特に問題なく話はすすみます。


ここまで読んでいただき感謝します。

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VRMMOで弓削師というのもかいてます。よろしくお願いします
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