#8 新しい装備
名前 リュウ
年齢 20歳
ランク E
ジョブ 魔法剣士
カラー ゴールド
SP 5/100
スキル 名刺交換(無効)
剣士 Lv 10
白魔法 Lv 2
黒魔法 Lv 6
居合抜き Lv 3
魔法剣 Lv 2
ー3日後ー
アローナさんの店へ行く。
注文しておいた弓と盾が出来上がったのだ。
しかしエリーは宿で休んでるから1人で行ってこいと言う。
昨日、ギルドの人から何か紙切れを渡され読んでからエリーが浮かない顔している
弓は張力が40〜50キロ程度
(元の世界の一般的なアチェリーでたしか45キロ)
矢は魔力で作るので不要だ。
弦はポリアミド系の樹脂ケブラーが主材料だが、そんなものこの世界にはない。
その代わり、川クジラのヒゲを使うのがポピュラーらしい。
川クジラはクジラと名前はついているが、どうやら鰻や鯰ような生き物らしい。
彼らのヒゲを乾燥させて使う。
盾は径が30㎝の小型の盾だ。
やや小振りにしたのは【居合抜き】に邪魔にならないようにだ。
全体は樫で出来て、表面に薄くミスリルを貼り合わせてくれ多少の魔法の威力軽減も出来る。
そして、紋様も入れて貰った。
市松模様の蔦と花弁の先がW字に分かれそれが5枚で五角形を作る。
イメージしたのは桜の花びらだ。
アローナさんにも高評価だった。
まだパーティと言ってもエリーだけだが、この紋様をパーティエンブレムにしようと考えている。
装備も充実したところだが、やはりエリーの事が気になる。
アローナさんにお礼を言い、宿のエリーの部屋まで急いで戻る。
部屋の扉で深呼吸をしてノックをする。
コンコン
「リュウだけど、今戻ったよ。ちょっと話があるんだいいかな?」
ガチャッと錠の音がする。
「私も話があるの…入って。」
声はやはり重い。
中に入りベッドに腰掛ける。
この部屋には椅子は無く、小さなテーブルとクローゼットとベッドのみである。
クローゼットは冒険者用に少し広めの作りだ。
「エリーの話って?」
まずはリュウが切り出す。
「うん、まずはリュウの話を聞くわ。それから話す。」
「わかったよ。それじゃ…。」
結局の所、話は同じ方向だった。
リュウはエリーの浮かない顔が心配だった、エリーはやはり昨日の紙切れが原因だった。
紙切れの内容を要約するとー
エリーの父親が原因不明の病で倒れてしまったようだった。
エリーとしては父親を助けに行きたいが、今はリュウとパーティを組んでいる。勝手はできない。
それにエリーのエルフの里は遠いらしい。
途中で強いモンスターが出る所を通るので今の俺のランクでは難しいとの事だった。
「分かった一緒に行こう。」
「だけど、あなたを危険な目には合わせられない。お願い、ウエストエンドで待ってて。」
話し合いが平行線になりかけた時
トントンと
扉をノックする音が聞こえる。
「エリー?私よサンドラ。ちょっといいかしら?」
エリーは慌てて扉を開ける。
「サンドラさん?」
「サンドラどうして?」
「あら、坊やも居たのね、なら話が早いわ。エルフの里には私が同行するわ。」
「え?」
「あなたはその間にゴリアテにしっかり稽古をつけてもらいなさい。Cまでランクが上がったら後を、追いかけて来なさい。」
結果、サンドラさんの勢いに勝てずに強引に押し切られる形になってしまった。
次の日の朝にサンドラさんとエリーはウエストエンドを発ちエルフの里に向かっていった。
サンドラさんも昔はBランクのトップまで言った凄腕パーティの回復役だったらしい。治療や治癒は専門家だ。
エリーとサンドラさんなら2人でも道中大丈夫だろうが、エリーがやっぱり心配になる。
サンドラさんの言いつけ通りランクを上げて、さっさとゴリゴリさんに認めてもらい追いかけなければ。
しかしその考えが甘すぎたのを特訓1日目にして思い知る事になる。
➖エリーが旅立った日の午後➖
リュウはギルドの奥にある鍛錬場に居た。
今日からまずは1ヶ月、ゴリゴリさんと鍛錬場で訓練だ。
それから進行具合で東にある【大森林】に向かう。
大森林は大きく外周部・内周部・奥地の3段階に分かれており、奥地=魔境入口と言われている。
ウエストエンド周辺のモンスターはこの奥地から発生していると多くの学者に分析されているが詳しく調査をした事がない。
いや、調査はしてるがことごとく失敗してるのだ。
調査隊は必ず全滅、分かっているのは内周部も何段階かに分かれており奥地にむかうほどモンスターのランクも上がる。
外周部入口ですでにCランク・内周部はB〜Aランク相当だ。
奥地はSランク相当とされている。
ただし伝承に出てくる英雄カエサルのパーティの高名な賢者によって、Sランクのモンスターは大森林より外には出られないように結界が張られているらしいのだ。
カエサルのパーティを持っても奥地は完全制覇とならず、結界を張ることに留まったのだ。
まぁまずは外周部入口まで行けるくらいの実力をつけろという事だろう。
「それじゃ、まずは1ヶ月でしっかり基礎を叩き込む。その前に現状を知りたい、ステータス出せるか?」
「はい、師匠。」
名前 リュウ
年齢 20歳
ランク E
ジョブ 魔法剣士
カラー ゴールド
SP 5/100
スキル 名刺交換(無効)
剣士 Lv 10
白魔法 Lv 2
黒魔法 Lv 6
居合抜き LV 3
魔法剣 Lv 2
「ほうほう、なるほどな…お前ゴールドか。残スキルポイントが山のようにある。こりゃ鍛え甲斐があるな。剣士がLV10あるなら基礎は要らないな。」
え?要らないのか?
「お手柔らかにお願いします師匠。それとカラーはサンドラさんからは余り言いふらすなと」
「あぁ、分かってる。お前が【迷い人】な事もあの人から聞いている。それに急に師匠なんて呼ばなくていいぞ。ゴリさんでいい。」
「はい、ゴリさん」
ゴリゴリさん曰く
剣士スキルがLV10でようやく《剣士》を名乗れるくらい。
魔法も使えるので必然的に《魔法剣士》になる。
魔法剣士は大昔に流行ったジョブなのだが最近は使い手がめっきり減ってマイナーな位置になってしまったようだ。
理由は簡単。単純に剣士と魔法使いどちらのスキルも持とうとする人が少ない。だって経験が2倍かかるから非効率だ。
それに現在はジョブもたくさん確立されより専門的に修得し各々パーティを組む事で補完し合う。
ソロで活動する冒険者はほんの一握りだ。
「お前は【迷い人】ならではの経験値補正がたぶんあるはずだ。他の奴よりレベルが上がりやすい。だからこのまま魔法剣士として磨いていけばいい。ゆくゆくは《剣聖》か《聖騎士》がいいだろう。」
おぉ、どっちも上級職の中でもカッコイイ響きだ。
なおさらファンタジー感が出るな。
「はい、そのどちらかを目指して頑張ります。」
「それじゃ早速、実力を見せてもらおうか…」
そう言うと、ゴリゴリさんがどこから出したか分からないが?槍が左手にある。
そして、一気に顔めがけて矛先が飛んでくる!!!!
「あ、危ねぇ!ちょっとゴリゴリさん!」
「ほぅ、アレを避けるか!じゃもう少し…」
避けたつもりがビュッ!頬を掠り血が滴れる。
たまらずバックステップをして間合いから一度離れる。
ヤベぇ、ゴリゴリさん…マジで強ぇ!
さすが伊達じゃねぇな。こりゃ、アウトレンジから魔法攻撃で隙をみるしか…
パチパチパチ
まぁとりあえず合格だ!
今日はこれで終わり。
明日は少し座学だ。
「え?」
呆気にとられたが、ホッとした。
今の俺じゃ、はっきり言ってゴリゴリさんには勝てない。
あれでさえも手加減してくれてるぐらいは分かる。
さっさと片付けてなんて甘過ぎた。
たった何手かのやり取りだったがドッと疲れがきた。
その日は宿に戻り晩御飯も食べずに朝まで爆睡だった。