#7 ゴリゴリさんの意外な過去
名前 リュウ
年齢 20歳
ランク F
ジョブ 魔法剣士
カラー ゴールド
SP 5/100
スキル 名刺交換(無効)
剣士 Lv 10
白魔法 Lv 5
黒魔法 Lv 6
居合抜き Lv 2
魔法剣 Lv 1
ー2日目ー
まずは地下1階を目指す。昨日の反省を踏まえ、炎系は今回は使わないようにしよう。
B1は昨日と同じゾンビドックもいたが、もう一回り大きいゾンビウルフが多い。
犬より狼の方が断然強いし動きが速い。
こうなると、剣より魔法の方が命中精度が上がる。
エリーは
弓で一体ずつ確実に倒していく。彼女の命中精度は大したものだ。顔の眉間に確実に矢を当てて急所をほぼ一撃だ。どこの世界の魔物だろうと急所(顔や脳)はやはり弱い
なるほど、弓か…。
魔法で矢のようにイメージしてやれるか?
左手に弓・右手に矢を持ち引き放つイメージで、右手に冷気を込める…。
氷がぼんやり矢の形になっていく、これならいけそうだ。
向かってくるゾンビウルフの眉間に照準を合わせ氷の矢を放つ。
刹那、氷の矢は狼の眉間ではなく右目に命中した。
急所に違いはないが即死させる事は出来ない。
ガクっと運動量が落ちたところでスキル【居合抜き】で両断する。
魔法の矢は成功だが、コントロールはまだまだ甘い。
これも鍛錬が必要だが収穫にはなった。
ー数時間後・B2フロアー
相変わらずのゾンビウルフだがB2の方が体が一回りデカイ。
冷気の矢の練習相手にはぴったりだった。B1からの試行錯誤の結果
矢だけでなく弓も魔法で作る事に成功した。
ただ弓を魔力で維持しようとすると消費が激しいようで連射ができなかった。
今後の課題か、やはり弓は実装武器として用意した方が良さそうだ。
B2の奥にはさらに大きなゾンビウルフがいた。どうやらこのフロアの主のようだ。
するとエリーがゾンビウルフを見て
「ゴリアテさんが言ってたのは、どうやらアイツみたいね。どうリュウ、1人でやれそう?」
と問いかける。
コッチに来る前に、ゴリゴリさんに言われた事を思い出す。
「とりあえず今回はB2までにしておけ。そこにデカイ・ウルフゾンビがいるはずだ。もしそいつを倒せたならFからEランク昇格だ。いいか、仮に倒せてもB3には行くな。帰ってこいわかったな。」
「うん、たぶん大丈夫だよ。万が一ダメそうなら援護お願い。あとエリーの弓を貸して。」
「分かったわ。帰りの心配はしないで思いっきりやっちゃいな」
エリーから弓を借りる。
改めて、ゾンビウルフを見る。
体長は約2メートル強か、デカすぎて狼っていうより化け物だな。あれだけデカイと当てやすいがタフそうだな。
まずは遠くから体力を削っていくか…。
冷気の矢を3連射する。
やはり弓があると威力と精度が上がる。3本とも狙い通り首元に命中する。
さすがにダメージがあるのかグルルゥと低い声を出す。
ゾンビウルフが
姿勢を低くして、一気に突っ込んできた。
思ったよりも速い!
弓をエリーの方に放り投げ、睦月の鞘と左腕でゾンビウルフの突進を受ける。
左腕がビリビリと痺れる。
おい、けっこう痛てぇな。このヤロー!
リュウにとって、異世界に来てまともに受けた初めてのダメージだ。もちろんゲームのようにただ体力が減るだけでは無い。ちゃんと痛みが伴うのだ。
リュウにもダメージがあったが距離をアッチから詰めてきたのは好都合だった。
首周りでだいたい50センチ位か…それなら切り落とせるだろうか?
鞘にありったけの冷気を込めて、睦月を鞘から走らせる。ゾンビウルフもトドメを刺そうと大きな口を開け牙で嚙みつこうとする。ほんの一瞬の差で先に首を切り落とす事に成功した。
討伐の証にゾンビウルフの牙だけを回収する。
「やったわね!」エリーが
笑顔で駆け寄って来る
「ありがとうね、でもギリギリだったよ。それにしてもまだ左腕が痺れてる。盾も用意しておかないとダメだね。ウエストエンドに戻ったら買いに行かないと。」
リュウのレベルが上がりました。
名前 リュウ
年齢 20歳
ランク G
ジョブ 魔法剣士
カラー ゴールド
SP 5/100
スキル 名刺交換(無効)
剣士 Lv 9 → Lv 10
白魔法 Lv 2
黒魔法 Lv 5 → Lv 6
居合抜き Lv 2 → Lv 3
魔法剣 Lv 1 → Lv 2
ー翌日ー
「この分なら、B3もいけそうじゃない?」
とエリーは言っていたが、ゴリゴリさんのいう事を聞いて、一旦ウエストエンドに戻ることにした。
起きたら、左腕の痺れは取れたが大きな青タンができていた。さすがに1晩で元通りにはならないらしい。
帰りもまた馬車に乗りのんびりウエストエンドに向かった。
ウエストエンドに着き、まずはギルドへ向かう。
ちょうどゴリゴリさんがいた。
「ゴリさん〜、倒して来たよ。コレ倒した証のゾンビウルフの牙。」
「おぉお疲れさん。確かにヤツのだな、それではリュウのランクをFからEへ昇格させる。そしてゾンビウルフの討伐の報奨金が銀貨20枚だ。やったな。」
「ゴリさん、ありがとうね。ところでさ…」
「おう?どうした?」
「弓と盾を作りたいんだけど、どこかイイ武器屋あるかな?」
「それなら…大通りから一本路地に入ったアローナのトコに行ってみろ。俺から聞いたって言えば多少安くやってくれるだろうからよ。」
「分かった。アローナさんね、ありがとうゴリさん。」
ギルドを出て、言われた通り大通りから一本路地に入った角にアローナさんの店があった。
扉を開けると
「いらっしゃい!何が欲しいんだい?」と
威勢の良い女性の掛け声がカウンターからしてくる。
アローナさんは1メートル70位の長身の美人だった。
「こんにちは。ゴリアテさんから、聞いて来たんですけど弓と小型の盾が欲しくて」
「ゴリアテ?もしかして…最近この街に来た坊やかい?」
「はい、そうです。リュウと言います。なんで知ってるんですか?」
「アイツが昨日飲んだ時に言ってたんだよ。面白いヤツが登録に来たってね。1日でランク1つ上げたんだって?」
「はい、今日も1つ上げてEランクになりました。」
「ほう、ナカナカ見どころがあるわね。アイツが気に入るワケだ。ようし、任せな。アンタに合うサイズで作ってやるよ。」
「いいんですか?けど、手持ちお金が銀貨30枚しかないけどオーダー品できます?」
「あぁ、大丈夫だよ!合わせて銀貨10枚でやってやるよ。あとはアイツから巻き上げて酒を奢らせるからさ。まずは腕周りを採寸するからこっちに来な。」
こうして約1時間
腕の長さから腕周りの採寸と弓の大きさ・盾のサイズの打ち合わせをして店を出た。出来上がりは3日後だ。
打ち合わせの中で、アローナさんとゴリゴリさんの間柄を話してくれた。
ゴリゴリさんも元は冒険者でAランク間近までいった凄腕らしい。
その時にパーティを組んでたのがアローナさんとアローナさんの旦那さんらしい。とある事情でパーティは解散しゴリゴリさんは引退してギルドの職員に・アローナさんは実家の武器屋を継いで今に至るようだ。
なおアローナさんの旦那さんはケガが原因で結婚して間も無く亡くなったらしい。未亡人ってヤツだ。
ゴリゴリさんは独身なので、よく一緒に飲むみたいだ。
「私も何年かこの街にいるけどゴリアテさんが凄腕の冒険者だったなんて知らなかったわ。」
「きっと自慢するタイプの人じゃないんだろうね?本当に実力がある人はそうするさ。」
「まぁね、弱いヤツほどよく吠えるしね。」
「そういう事だね。それにしても手頃な値段で作ってもらえて良かった。ゴリさんに感謝しないと。」
こうして出来上がるまでの3日間はウエストエンド周りで討伐クエストで小銭稼ぎの日々になった。