#5 初クエスト
名前 一ノ瀬 龍太郎→リュウ
年齢 20歳
ランク G
ジョブ 無職→魔法剣士
カラー ゴールド
SP 4/100
スキル 名刺交換(無効)
剣士 Lv 7
白魔法 Lv 2
黒魔法 Lv 3
居合抜き Lv 1
パーティ エリー
友好度 親密
装備
【睦月】
【片桐さんの籠手】
【片桐さんのレザーアーマ&レザーマント】
【片桐さんのブーツ】
追加加護
武器耐久性 特 ミスリル
スキル 居合抜き
籠手との相乗効果 大
翌朝
葡萄酒とふかふかのベッドのおかげでぐっすり眠れた。
おもえばこっちに来てからようやくベッドで眠れた。落ち着いた寝床は大切だ。
階段を降りて、一階のホール兼食堂で朝食を食べる。この辺りは魚が豊富で何かの白身の魚とパンが朝食の基本スタイルらしい。
元々サラリーマンの時は朝飯など食べていなかったから健康的だ。
朝食を済ませ、着替えてエリーが来るのを待つ。
昨日の夜に女将さんに要らない布切れをもらっておいて【睦月】の柄に巻きつけておいた。
だいぶ握りやすくなったはずだ。
お金が貯まったら鍛冶屋で柄を新しくしてもらおう。それまではコレでガマンする。
やがてエリーが迎えに来てくれて、ギルドを目指す。メイン通りを10分ほど歩きギルドへ着く。
一階の掲示板には様々なクエストが貼ってある。
その中から自分に見合ったクエストを選び、窓口でクエストを受ける。
最初は当然簡単なクエストしか受けられない。ランクに見合ったモノという事だ。
リュウはエリーと相談のうえ、街道沿いのモンスター討伐のクエストを受けた。
ジュニアコボルトの討伐だ。
討伐数は最低10体 ランクはGだ。
ジュニアコボルトはコボルトよりも小さく約1メートルで力もアタマも弱い、まさに駆けだしにはぴったりの相手だ。
1人でもクリアできそうだったのでエリーは遠くから見守るだけにしてもらい1人で受ける事にした。
報酬は10体で銅貨30枚 約3000円の仕事だ。
さっそく城門を出て街道へ向かう。
今回は北門を出た街道沿いだ。
歩いて5分もしないうちに獲物に出会う。
ジュニアコボルトだ。本当に小さい。
3体でグループを組んでいたので、
武器ではなく
魔法で攻撃する。
範囲を3体に絞ってスキル黒魔法の雷をセットする。
魔法の発動と威力はその魔法レベルに影響される。まだレベル3の黒魔法だが、ジュニアコボルトを倒すのは一撃だった。
しかも範囲を絞ったのでMPもほとんど減らなかった。
午前中が終わる頃にはジュニアコボルト30体片付けていた。
これで30体で銅貨90枚 約9000円だ。
この間に黒魔法が3から4へレベルアップした。
どうやらレベルが上がるとボーナスで体力回復するようだMPももちろん回復する。
しかし
ザコ過ぎだな、これじゃ。
「やっぱり、この辺りのモンスターじゃ手応えがないな。どこか近場にダンジョンとかないかな?」
エリーに確認してみる
「そうね、正直ここまで楽勝になるとは考えてなかったわ。黒魔法レベルがどんどん上がって威力も増してるからこの辺りのザコじゃ相手にならないわね。」
たしかにリュウの成長が速いわね、さすがゴールドカラーってことかしら?
一旦ギルドでクエスト精算して、ガライのダンジョンに挑戦させようかしら?
あそこはFランクのダンジョンだけどちょうどいいかもね。
「分かったわ、ダンジョンに案内する。まずは一旦ギルドへ帰ってクエストを精算してきましょう。」
こうして一度ウエストエンドに戻る事になった。
ギルドに着いたがサンドラさんがいなかった。今日は休みかな?
精算も一階の窓口だった。
今日も窓口は3番 担当はゴリゴリのおっさんだった。
「おぅ。新入り、けっこう早く片付けてきたな。ほら、今回の報酬だ。30体討伐は3倍だな、午前中で片付けてきたのも含めて初クエストだし銅貨10枚増やして銅貨100枚だ。銀貨に変えたければ奥の両替を使いな。それともギルドカードにつけとくか?」
「ギルドカード?なんですか?」
「サンドラさん、やっぱり話し省きやがったな。まぁいい今はヒマだから、教えておいてやる。 」
ーギルドカードはいわゆる元の世界出会うところのスイカのようなチャージして使える電子マネーのようなヤツだった。
銅貨や銀貨がスリに盗まれる所から100年くらい前に別のギルドで開発されて一気に普及したらしい。小さい村では使えないが大きな都市部では買い物の決算はカードで済む。
一般の街の人も使っているー
さっそくゴリゴリさん(勝手にアダ名)からギルドカードを発行してもらう。
「夕方には出来てるから、それまでクエスト受けるなり買い物するなり時間潰してくれよ。」
そうゆう事なのでエリーが言っていたガライのダンジョンへ向かった。
歩くこと1時間…相変わらず歩くね。
1時間も歩くと、敵もさっきのザコと違い少し大きなモンスターも出てきた。
イノシシみたいモンスター、さっきのコボルトの成人版 鳥型のモンスター
しかしどれも魔法で一撃だ。睦月の出番がないな。
火炎冷気よりも雷の方が威力が出る。
これも相性なのかな?エリーは魔法に詳しくないので、帰ったらゴリゴリさんに聞いてみよう。
あとゴリゴリさんの名前も聞いておかないと。
さらに1時間、ようやくダンジョンに着いた頃には時計は15時だった。 ギルドは24時間あいてるからいいけど暗くなるまでには帰りたい。復路がまた2時間かかるとして…19時にウエストエンドとするとダンジョンは2時間位か。
明日は朝1からコッチにこよう。
「さぁ着いたよ、ここがFランクのダンジョン ガライよ。たぶんここも今のリュウだと問題無いと思うわ。
ダンジョン内のアイテムは取ってもイイけどトラップもたまにあるから気をつけて。今回は宝箱の解錠は私がやるわ。」
「ありがとう、よろしく頼むね。ココのメインの敵はどんなヤツ?」
「ガライは別名ゴブリンの巣って言われてるの。たくさんのゴブリンが出てくるわ。
地下3階にはダンジョンボスのゴブリンナイトがいるわ。今日は2階までにして明日の朝から3階に
挑戦してみましょう。ゴブリンとはいえ油断しないようにね。さぁ行きましょう。」
ダンジョンの中は少しひんやりとする。
少し中を歩くと…さっそく出てきた、ゴブリンどもその数10体以上。
「少し多いわね。手伝うわ。」
エリーが弓に構えようとする。
「いや、大丈夫だよ。魔法の威力をあげてやってみる。失敗したら手を貸して。」
リュウがエリーを制する。
さて10体2列に並んで向かってくる洞窟の中だしサンダーは使えないだろうから、ブリザードを横幅を狭めて奥行きに威力を集中させて発動させる
さしずめブリザード砲だ。
上から落ちてくるサンダーと違い
手先から出せるのでコントロールしやすい。威力はサンダーの方がでそうだけど。
ブリザード砲でゴブリンの半分を倒せた。
ゴブリン達も一気に数が減り3匹逃げ出した。
残りは2匹。
やっと睦月の出番だな、鞘から抜いて構える。
魔法もイイけど、やっぱり剣だな。洋刀じゃなく日本刀だね。
向かってきたゴブリンを袈裟斬りで一撃。
そして鞘に一旦収めて、ラスト1匹は居合抜きで片付けた。
さすがにこのくらいでは居合抜きのレベルは上がらなかった。その代わり黒魔法が3から4に上がった。
「ほら、なんとかなったでしょ?」
「うん…。」エリーの表情が冴えない。
「どうしたの?まさかゴブリンに何か毒でも?」
「ううん、その…リュウの戦闘が随分落ち着いてるし、魔法の威力もどんどん上がるし、さすがゴールドカラーなんだなって。この分なら帰ったらランクアップすると思うわ。時間が少しおすけど、ボスまで行ってみる?」
戦闘に関しては確かに素人だけど、VRのゲームなら何やら疑似体験は済んでるし、それに体が勝手に反応してくれているのもある。
もしかしたら片桐さんの防具にも何か加護が付いてるのかもな。
「うん、一気にボスまで行ってみるか。細かいアイテムは無視して、ザコはエリーも片付けて。」
こうして一気に3階まで最短で辿り着いた。
ダンジョンの奥には決まってボスの部屋がある。
扉に触れると、一度頭の中にメッセージが流れる
ーガライのダンジョンのボス ゴブリンナイトがいます挑戦しますか?ー
答えはもちろん、 -はい-だ!
ドアを蹴飛ばすと中に体長2メートルの大きなゴブリンがいた。一丁前に鎧と剣を装備している。
手前には部下なのか、杖を持ったゴブリン
ゴブリンメイジと斧を持ったゴブリンウォリーアが一体ずつだ。
ボスが動かない所を見ると、まずは手先を片付けからって事だな。
まずはゴブリンメイジに狙いをつけ居合抜きで一閃。
ゴブリンウォリーアは一瞬の事で分かっていないが、仲間が真っ二つになり、激怒した。
そのスキに左手に火炎をためる。まっすぐ突っ込んできたところに炎を放つ。
あっという間にゴブリンウォリーアは丸焦げになり。
倒した。
ゴブリンナイトがようやく腰を上げる。
振り下ろした剣で衝撃波が起こる。
リュウは睦月を立てて衝撃波に備える。
エリーも腕を十字にして防ぐ。
動きは思ったより早くはなさそうだが、今のリュウと腕力なら互角そうだ。
これなら下手に打撃でやり合うより魔法の方が良さそうだ。
ゴブリンは基本的に魔法には弱いらしいが炎よりも冷気が苦手らしい。
両手に冷気を目一杯溜めて、両手を合わせてゴブリンナイトに放つ。
今使える魔法で1番の威力だ。
案の定、ゴブリンナイトは寒さで動きが悪くなった。
これなら居合抜きも当たりそうだ。
睦月を鞘に収め、一瞬目を閉じ深呼吸をする。
一気に集中力をあげ、敵に向け走り出し刀を鞘から走らせ切り抜ける。
ゴブリンナイトは右腰から左脇にかけて大きな傷を負うがまだ倒れない。
マジか?けっこうタフだなコイツ
リュウも一気に疲れが現れた。
MPも、ほぼ使い果たし。集中力も切れ始めた。頬には汗がつたう。
残りもMPを振り絞って冷気を唱えようとした時に、睦月に微かに冷気が纏っているのが分かった。
…?
これはもしかして…?
確証は持てないがやってみるしかない。
残りのMPを冷気にして、ありったけを睦月に集中させる。
睦月は
どんどんキンキンに冷たくなっていき、鞘まで冷たくなっていく。
やっぱり、この刀は
魔法を上乗せして攻撃できそうだ!
たぶん、RPGでいうトコロの魔法剣ってヤツだ。
これなら…。
最後の体力とMPをこの一撃にかける!
ゴブリンナイトが大きく振りかぶって剣を振り下ろしてきた。
ガンッと地面を叩くがそこにリュウはいない。ゴブリンナイトの上に飛び上がり冷気を纏った睦月を振り下ろす。
冷気斬!
着地した後にリュウは片膝をつく。
肩で息をして立ち上がれない。
これで倒れないならリュウに勝ち目は無かったが、振り返ると真っ二つになりゴブリンナイトが氷ついて倒れていた。
エリーが後ろで大声をあげてリュウに近づいてきた。
「おめでとう!まさか1日でゴブリンナイトを倒せると思ってなかったわ!」
そこまで聞いてリュウは意識を失った。
時間にして約1分だろうか?リュウにはもっと長く感じたかもしれない。
目を覚ますとエリーの膝の上で寝ていた。
「起きた?大丈夫?さすがに疲れたみたいね。もう少し休んでてもいいわよ?」
リュウは膝枕の状態から起き上がった。
「ううん、もう大丈夫。ありがとうエリー。それよりボスは?」
「冷気で凍った後に粉々になったわよ。見事だったわよ。さすがに魔法剣士ね。剣に魔法を纏わせて攻撃するなんて。」
良かったぁ、なんとか倒せて。ホッとする。1つ上のランクとはいえギリギリな戦いだった。
次からはもう少し余裕を持たせないと。
「そして…はい、コレがバスを倒した証よ。」
そういってエリーが手渡してくれたのは
小さいビー玉のようなガラス玉だ。
色はゴブリンナイトの灰色と同じだ。
「エリー、これは?」
「これはゴブリンナイトの核よ。これをギルドに持っていくとダンジョンクリアの証明になるの。だいたいはそのボスのボディと同じ色が
出てくる。たまにキレイな色の核が出ると高値で買い取ってくれるのよ。」
そういうモノだったのか、じゃギルドまで大事にとっておこう。
リュウは腰の小物入れに入れた。
さぁてレベル上がってるかな?ステータス確認するか。
名前 リュウ
年齢 20歳
ランク G
ジョブ 魔法剣士
カラー ゴールド
SP 5/100
スキル 名刺交換(無効)
剣士 Lv 9
白魔法 Lv 2
黒魔法 Lv 5
居合抜き Lv 2
魔法剣 Lv 1
おぉ、レベル上がってるな!
魔法剣のスキルが増えた。これはボス戦や格上の敵に効果的だな。
それじゃ、ちゃっちゃと戻って街に帰ろう。
たぶん21時は過ぎるな。まだ晩御飯には間に合うだろう。
「じゃエリー、出口まで戻ろう。帰りもアイテムは無視していく。」
「戻らなくても出口まですぐ出られるのよ、奥の魔方陣を使えば。」
エリーが指差したゴブリンナイトの座ってた椅子の奥が何やら光っている。
魔方陣が出口までのショートカットになっているらしい。
ラッキー!また戻るとちょっと面倒だもんな。
ここはありがたく使わせてもらおう。
エリーと2人で魔方陣の上に立つ。すると一瞬でダンジョンの入り口まで戻れた。
辺りはすっかり暗くなっていた。
こうしてやや駆け足でウエストエンドまで戻った。
帰りはエリーがメインで戦ってくれたので楽だった。