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ミリアの街19&ダラムの街

 朝、アラームで目が覚めて違和感を感じた。ああ、そうか試験で野営をしてるんだった。伸びをして起きて、テントから出る。まだみんなは起きてないようで夜番のジェランドさんだけがいた。


「おはようヤタ、ずいぶんと早いな」


「おはようございますジェランドさん、アラームをかけていたのでそれで起きました」


「そうか。朝食はまだだぞ」


「いえ、朝食も準備してあるので、鍋だけ火にかけててもいいですか」


「おう、いいぞ。じゃあまた肉とパンも食えるのか」


「まだありますよ」


「朝から豪勢じゃないか、こんな護衛ならいつでも歓迎だな」


 鍋を出して火にかけた後、顔を洗いに行く。たらいにお湯を張って歯を磨き、顔を洗い、髭を剃る。着てる服に浄化の魔法を使い、ジェランドさんに声をかけてみんなが起きてくるまでテントに戻る事にした。




 テントに戻ってボーっとしていると、外が騒がしくなった。急いで出てみると、狼に囲まれてる数は20。野営地自体はバリアが張られてる為ここまでは入ってこないが、バリアの外側を狼たちが囲んでる。

 ジェランドさんがバリアの外に出て狼たちを倒してる。俺も反対側から狼たちをエアガンで撃っていく。

 暫くすると動いてる狼がいなくなったので、バリアの外側に出てアイテムボックスに回収していく。


「ヤタご苦労さん、助かったよ」


「いえ、ジェランドさん1人で出来ると思ってたのですが、勝手な真似をしてしまいました」


「そんなことないぞ、野営地にバリアが張ってなかったら、みんなを起して相手する所だったぜ」


「そうですか、邪魔にならなくてよかったです」


 邪魔したんじゃなくてよかった。みんなが起きてくるまでもうしばらくかかるからチェアに座ってジェランドさんと話をしてた。

 この世界は迷宮もあり、ジェランドさん達も1度潜った事があってその話を聞いてて、1度潜ってみるのもいいかもと思った。




 みんなが起きてきて朝の支度をしてる間に、スープをかき混ぜ、串焼きとパンを皿に出す。


「ヤタさんがいると野営の概念が覆されるわ」


「そうだな」


 モリーさんの言葉にクリスさんが返す。よろしく以外の言葉を初めて聞いた。少し距離が縮んだのかな。

 器にスープを入れ各々好きな所に座って朝食が始まる。


「朝から暖かい食いもんが食えるのは嬉しいな。やる気が出る」


「焚火で暖まるより、効果的だ」


 ジェランドさんの言葉にアーノアさんが同意する。


「アイテムボックスもある、自力で戦える、野営も安心して出来る。ヤタさんは商人にもむいてますよ」


 ダコスさんが俺をほめ倒す。恥ずかしくて下を向いてしまった。


 ほのぼのとした朝食を終えて、ダラムの街に向かって馬車を出す。この調子で行くとお昼過ぎには着くので、休憩は1度するだけらしい。




 ゴトゴトと木の車輪が回る音だけが聞こえる街道、お尻が痛くなる街道。みんな平気な顔してるけどどうなってるんだろう。

 1人で旅する時は歩こう。野営も安全だってわかったから風呂だけ入りに帰ればいいか。足腰も鍛えられるしそうしよう。

 どうしても馬車に乗らなきゃいけないときはクッションを持ってこよう。そうしよう。お尻に回復魔法をかけながら俺は誓った。

 1回目の休憩になった、屈伸をしながらジェランドさん達と今後の予定を話す。


「ダラムの街に着いたらダラスさんから依頼書に達成の印をもらう、それを持ってダラムのギルドに行って処理をしたら晴れてCランクだ、みんなと話し合ったけどマイナス点が見つからなくてな、満場一致で合格だ」


「ありがとうございます。でも最後まで気を抜かないで頑張ります」


「そうだな、何が起こるか分からないからな。気を引き締めていけ」


「はい」


 ダラムの街まであと何時間かある、最後まで気を抜かないようにしよう。

 休憩が終わり馬車が動き出す。後は昼過ぎまでガタゴト道との戦いだ。もちろんマップを出して危険が近づいてきたらすぐ対処できるようにもしてるけど。

 1度だけ狼が近づいて来たけど、何故か引き返していった。ダラムの街に着くまであった事と言えばこれ位だ。

 意外すぎるほどあっけなくダラムの街に着いた。門でギルド証を出し通る。

 街はミリアの街位の大きさだと思う。雰囲気もよく似てた、ここでダコスさんとはお別れだ。


「ダコスさん、俺の護衛は合格でしたか」


「ヤタさん、文句なく合格ですよ、特に食事が素晴らしかった。また護衛が必要になったら引き受けて下さい」


「褒めていただいてありがとうございます。護衛が必要な時は声をかけて下さい」


「何かあればうちの店に来て下さい。ダコス商会のダコスと言えばこの街で知らない者はいないでしょうから」


 おぅ、何故か大物と知り合いになってしまった。


「ありがとうございます。何かあれば相談に行きます」


「ぜひ来てください、あなたからは儲かる匂いがする」


「わかりました、見せたいものもあるので、近いうちにお邪魔します」


 ダコスさんと別れジェランドさん達とギルドに行く。




 ダラムのギルドに着いた、ギルドの内装もミリアの街と変わらない、慣れ親しんだ感じだ。

 ジェランドさん達と依頼達成の受付に行く。


「Cランクの昇級試験を受けたヤタだ、パーティー『赤い白熊は』満場一致で合格とみなす」


「承りました、ではヤタさんのギルド証をお貸しください、ありがとうございました。おめでとうございます、これでCランクになりました。討伐の範囲が広がります。後護衛の依頼も受けられるようになりました」


「ありがとうございます」


「おめでとうヤタ、冒険者としてこれで1人前だ。これからも気を抜かず頑張れよ」


「そうよ、最近冒険者になったって聞いたのにもうCランクなんて胸張ってもいいのよ」


「おめでとう」


「飯、美味かった」


「みなさんありがとうございます、これからもがんばります」


「パーティーに入りたくなったら1番に声かけろよ、いつでも歓迎するぞ」


「暫くソロでやりますが、その時はよろしくお願いします」


「今日はCランク昇進の祝賀会するか、俺達がいつも使ってる宿を紹介するよ。そこでどんちゃん騒ぎしようぜ」


「いいですね、お願いします」


「よし、じゃあ宿に行くか」




 ジェランドさん達と向かった先の宿の名前は『猫手亭』人不足かな。

 無事部屋を取って夕方に集まる事になった。部屋に着いてまずした事が風呂に入りに行く事だった。昨日体は拭いたけど、どうもスッキリしてないから、ゆっくり浸かる事にした。風呂で長く居すぎたかもしれない、宿に戻ってスマホを見たらもうすぐ約束の時間だ、普段着に着替えて1階に下りる。よかった、まだ誰も来てない。ワインを頼みながらちびちび飲んでると他の人達も下りてきた。


「明日は休みだし今日は飲むぞ。おねえちゃん、エール人数分と料理を何品か持ってきてくれ」


「ヤタさん、明日はどうやって帰るの。乗合馬車、歩いて帰るならうちの馬車に乗っていけばいいわ」


「明日は転移で帰ります」


「転移持ちか、これはますます欲しい人材だな。うちのパーティーの事本気で考えててくれよ」


「そうですね、入るならこんなパーティーがいいですね」


「エールが来たぞ。みんな持て。今日はヤタの昇進試験合格の集まりだ、飲んで騒げ。乾杯」


「「「「乾杯」」」」


 楽しく始まった夕食、賑やかだったのは最初だけだった。

 ジェランドさんは脱ぐし、モリーさんは色気たっぷりに口説いてくるし、クリスさんは剣の事を熱く語ってる。アーノアさんが一番まともだと思ったら、目を開けたまま寝てるし。楽しくそしてカオスな時間だった。たまにはこういう飲み会もいいかもしれない。いつもじゃ困るけど。楽しい夜だっだ。

読んでくれてありがとうございます。

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