開拓村1日目
朝になってスマホを見ると7時、しっかり寝れたみたいで良かった。森の中で睡眠不足で眠たいとか嫌だし。顔を洗って、ちょっと厚手のシャツに着替えてズボンを履いて安全靴を履いて襖を開けて出発。
森に出るとまず空気が美味い。昨日は緊張していて気が付かなかった。新鮮な空気を肺いっぱい溜めて吐き出す、それだけで体中が清浄化される気がする。
気合いを入れなおして出発する。村に着くまで獲物が獲れたらいいな、と思いながら山を下って行く。
途中で兎を見つけエアガンで撃っていく、面白いように当たっていく。調子に乗りすぎて10羽も狩ってしまった。やりすぎかな。まあいいや多くてもアイテムボックスに入れとけばいいし。......まてよ、アイテムボックスに入ってる物は痛むのか?ライトノベルだと時間が停止していて中に入ってる間は痛まないとか容量は無限とか生き物は入れる事が出来ないとか......要検討だな。取り合えず今は狩った兎をアイテムボックスに入れながら村まで行こう。
村に着いた、早速ジンさんに挨拶に行こう。ジンさんの居る場所を村の人に聞きながら歩いて行く。
「ジンさんおはようございます」
「よう!おはようヤタ。思ったより早いじゃないか、獲物を狩ってきながら来ると思ってたぞ。それと昨日はみんな熊鍋で久々に腹いっぱい肉が食べれて嬉しかったよ。ありがとう」
たまたま仕留めた形になったのに感謝をされるのは何かこそばゆい感じがするな。
それにジンさんは今から猟に行くと思ってるのかな。もしかしたら足りないかもしれないし聞いとくか。
「山を下りながら兎を10羽仕留めてきましたけど足りませんか?」
「10羽も獲ってきたのか!凄いじゃないか!今日も全員に肉が配る事が出来る。ありがたい!」
良かった、足りるみたいだ。でもアイテムボックスの検証用にもう少し獲っときたいな。後、渡す物があるんだった。
「これ、塩と胡椒、これだけしかないですけど良かったら使って下さい」
「塩か!助かる。行商の商人が3か月に1度来るが足りなくてみんな切りつめているんだ。胡椒もあるのか!貴重じゃないか!もらってもいいのか?」
「ええどうぞ。少ししかないので皆さんには配れませんが」
「助かるよ!ありがとう。これは収穫の祭りとかにでも使わせてもらうよ」
「そうしてもらえると助かります」
ジンさんは良い人だ、なるべくみんなと使えるように考えてくれてる。これでアイテムボックスの検証と魔法の練習にいける。アイテムボックスに仕舞ってた兎を出して山の方に行くと伝える。
山と言っても下りてきた方の山ではなくて反対側の山だけどね。
「今日の狩りが終わりなら、これから反対側の山に行って魔法の練習をしてきます。夕方くらいにはまた顔を出します」
「ああ、わかった。他の事はやらなくていいから魔法の練習行って来い」
「はい。ありがとうございます。では行ってきます。薬草とか見かけたら採ってきた方がいいですか?」
「そうだな、出来ればお願いしたい。頼んでもいいか?」
「はい、大丈夫です。薬草を知らないので出来れば1度現物を見せてもらえないでしょうか?」
「おお、いいぞ。おい!薬師のばあさんの所に行って薬草を2,3枚もらってこい」
「山の方角でしたら一緒に行きます」
村の人に案内してもらって薬師のおばあさんの所に行った。
「初めて見る顔だねぇ、薬草を見たいのかい?これがこの村で1番使われてる薬草だよ。これは切り傷にも打ち身にも効くからすぐ無くなってしまうんじゃ」
よもぎみたいなギザギザのある独特な匂いのする葉っぱだった。
「これですね、間違ったらいけないので1枚もらっていってもいいですか」
「別に構わないよ。採る時は全部取ったら次が生えてこなくなるから適度に採っとくれ」
「わかりました。教えてくれてありがとうございます」
「別に礼はいらんよ。教えるのが当たり前だからねぇ」
薬師のおばあさんは俺に薬草を持たせてくれた。薬草をよく見ると、[鑑定 薬草 状態 普通 食用可]と出た。鑑定も出来るようになったみたいだ。食べられる物かどうかもわかるみたいだ。凄いな。
この鑑定は何にでも使えるのかな?これも後で試してみよう。おばあさん達と別れて山に行った。
30分位山に登ったら昨日の続き、魔法の練習だ。昨日少ししか出来なかったから今日はもう少しやっておこう。
水をカッターみたいに飛ばしてみる、出来た。穴を掘ってみる、出来た。雷を木に直撃させてみる、出来た。氷は出来るかな?氷の飛礫を木に飛ばしてみる、出来た。光の弾は出来た。風もカッターみたいに飛ばせるか、あたった木が倒れた......何気なしに出来た。
回復はどうだろう?指の先っちょを包丁で傷をつける、血が出てきた。『治れ』傷がふさがり痛みが無くなった。魔法って結構簡単に出来るんだな。子供でも出来るって言ってたし、この世界だと簡単に出来るもんなんだ。
練習で結構時間がたったなそろそろ村に戻ろう。何か忘れてれる気がする。あ、薬草。自分で聞いといて完全に忘れてた。近くにあった葉っぱに鑑定してみる。[鑑定 雑草 状態 新鮮 食用不可]と出た。アイテムボックスから包丁を取り出して鑑定してみる[鑑定 包丁 状態 良好]解り易くていい。
薬草はどの辺りに生えてるのかな?考えてたら頭の中にマップらしきのが出てきた。この辺の地図かな?試しに薬草と思ってみる。すると薬草の生えてるとおぼしき所に緑マークが付いた。近くにマークが付いてるので見てみるとそこに薬草があった。助かるな、これで探し回らなくて済む。どの位採っていいかわからなかったので4,50枚採ってアイテムボックスにしまう。足りなければ明日また持って行こう。
帰る途中で鳥を2羽仕留めてこれはアイテムボックスの検証用に明日まで入れとくとしよう。
村に着いたらジンさんが丁度いい事に通りかかった。
「ただいま帰りました。魔法って結構簡単に出来るんですね。子供でも出来るって言ってった意味がわかりました」
「おかえり。簡単だっただろ。生活魔法位なら誰でも覚えられるからな」
「生活魔法?結構殺傷力の強い魔法が出来たみたいですけど...」
「ヤタは魔法の才能があるのかもしれないな。アイテムボックスも持ってるし。ヤタは冒険者向きだな」
「冒険者ですか。あまりここから離れられないのでたぶん無理ですよ」
「そうか?もし転移魔法が使えるなら、1度行った事ある所なら飛んでいけるぞ。俺が昔いたパーティーで使える奴が居たからなだいぶ楽をさせてもらったぞ」
「それはいい事を聞きました。後で早速練習してみます」
「おう!そうすれば何所へ行っても帰ってこれるぞ。遠出も楽になる」
それは助かる。風呂は毎日入りたいからな。帰る時にでも練習してみよう。そしたらこの世界を冒険者として旅するのもいいな、その前にもうちょっと色んな事覚えないとな。暫くこの村に通う訳だし邪魔にならない範囲で教えてもらおう。
「今日は晩飯食って行け。昨日はヤタが早く帰ったから歓迎会が出来なかったからな」
確かに昨日はバタバタしたまま帰ったな。今日は転移魔法で帰れるかもしれないから晩ご飯はここで食べて行こう。
「わかりました。今日は一緒させてもらいます」
「ああわかった。晩飯まで時間があるからのんびりしててくれ。毎日山へ帰るといってもこっちにも休む部屋くらいはあった方がいいだろう。俺の家の横にある小屋は誰も使ってないから、もしよかったら休憩所としてでも使ってくれ」
「助かります。ありがとうございます。お言葉に甘えて借ります。おばあさんの所に薬草を届けてから休ませていただきます」
何から何まで良い人たちだな。おばあさんの所に行って薬草を届けて、俺は借りた部屋で転移魔法の練習をしようと思った。ここなら急に現れてもびっくりさせる訳でもないはずだし。
俺は自分の部屋を思い浮かべてそこに移動するイメージをした。エレベーターに似た浮遊感の後自分の部屋の玄関に居た。成功したみたいだ。これで行きも帰りも楽になるな。そのまま村に転移した。また浮遊感の後村の部屋に戻った。こんなに簡単に使えるなら危険な動物や魔物にあった時逃げられるな。覚えられて良かった。
「ヤタ!居るか?これから飯だぞ」
椅子に座りながらウトウトしてたみたいだ、ジンさんの声で目が覚めた。あたりはすっかり真っ暗になってた。
「すみません。少し寝てたみたいです。今出ますんで」
俺は小屋を出てジンさんの家に行くとテーブルの上にはスープと兎肉を焼いたものと少し硬そうな黒パンが準備してあった。
「俺はまだ嫁が居ないからな近所の家の嫁さんたちが交代で飯を作ってくれるんだ。今日は昨日に続き豪勢だぞ。これもヤタのおかげだ。ありがとう」
「そんなことないですよ、たまたまですから」
「マギの具合がよくなるまで宜しく頼む」
「こちらこそ色々教えてもらってますしお互い様です。これからも宜しくお願いします」
少し酸味の効いたワインを飲みながら夕食を食べた。素朴な味でとても美味しく感じた。久しぶりに誰かと食べる食事はとても美味しいと感じた。あっという間に食事の時間は終わり、また明日来ますと言う言葉を掛けて転移で家に帰った。
今日は色んな事があったな、魔法も色々出来たし、転移魔法が使えたのはこれから役に立ちそうだ。
そんな事を思いながら風呂に入って気絶する様に寝てしまった。
読んでくれてありがとうございます。