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開拓村10日目

 朝、幸せな気分で目が覚めた。きっと昨日の事がまだ脳裏に焼き付いて離れないからだと思う。

 さて、支度をして村に行こう、ジンさんと朝食を食べて狩りに行こう。




 小屋に転移してジンさんの家に向かう、ジンさんの家の中にはマギさんがいた。


「おはようございますジンさん、マギさん」


「おはようヤタ」


「ヤタさんおはようございます、やっと傷の具合も良くなって今日から狩りに出るんですよ」


「そうですか、それは良かった今日は一緒に行きますか?」


「いえ、ヤタさんみたいに魔物は1人では倒せません、動物の方を狩りに行きます」


「マギ、ヤタお互い獲ってくる獲物が違うから争いが無くていいな。自分の出来る範囲を超えてやろうとするんじゃないぞ、そうなれば最悪命を落とすことになる。それにヤタはそろそろ街に行く準備をしなきゃならない。マギ、また今日から宜しく頼むぞ」


「はいわかりました、では行ってきます」


「マギさん行ってらっしゃい」


 マギさんは弓とナイフを持って狩りに出て行った。


「さて、さっきも言ったがそろそろ街に出る準備をしないとな」


「準備ですか?何がありますか」


「普通は食料や水、野宿するためのマントとか色々あるけど、日中は歩いて夕方になったら転移で帰ってくるだろ?」


「はい、街に着くまではそうしようと思ってました」


「荷物もアイテムボックスがあるから持たなくていいし、今の格好で出ていけるな」


「そうですね、特に問題が無ければそのままの格好で行くつもりです」


「そうか、これは持って行けよ」


 そう言ってジンさんは袋を二つ差しだした。中を見ると一つには魔石ともう一つにはお金らしきものが入ってた。


「これはお金ですか?」


「そうだ、ヤタが今まで働いていた分の給金だよ。魔物の毛皮はこっちで行商人に売るから売ったらまた渡すよ」


「毎日食事もしていたのにこんなにはもらえません」


「街に出たら色々物入りになるこれ位は餞別だと思ってもらっとけ」


 ジンさんの優しさに涙が出そうになった。


「ありがとうございます。これは大切に使わせていただきます」


「おう、冒険者になればこの位の金、はした金になるぞ」


 豪快に笑いながら俺に袋を押しつける。嬉しくて泣きそうになりながらそれを受け取る。


「で、今日はどうする?早速街に行くか、それとも今日は村でのんびりするか」


「そうですね、村の人達にお礼も言ってないので明日出発で今日は村をブラブラします」


「それがいいかもしれないな、じゃあまた晩飯の時に家に来い」


「わかりました。あの、これ、飴なんですけど皆さんに配ってくれませんか?買ったのはいいけど渡す機会が無くて」


「飴?ガサガサした物に入ってるじゃないか、どうやって食うんだ?」


「袋に入っているのでこうやって、袋を破って食べるんです」


 俺は見本をジンさんに見せた。


「こうか、これは美味いな手も汚れねえ。今年の収穫祭に全員に配る事にするよ」


「お願いします、こんなお礼しか出来なくてすみません」


「ここじゃ甘味が無いからな、みんな喜ぶぞ」


「そう言われると嬉しいですね。それじゃそろそろ出かけてきます」


「おう、また晩飯にな」


 ジンさんと別れて西の森の山頂に転移で飛んだ。マップで魔物や動物がいない事を確認して少し泣いた。ジンさんの村の人達の優しさが心に沁みこんできて泣いた。

 泣いた後はスッキリしてオークを2匹倒して村に戻った。

 村に戻った後は一軒ずつ回りながら水がめに水を入れて回った。前に毎日井戸から水を汲み上げるのが大変だと聞いてたからだ。その後は井戸掘りの手伝いと、畑の開墾を手伝った。切り倒した木を運ぶのも手伝った。村の加治屋さんに井戸の滑車の仕組みも教えた。ポンプの仕組みがわからなくて、滑車なら今よりは楽になるんじゃないかと思って地面に絵を描きながら伝えた。今度はちゃんと調べてポンプを教えるつもりだ。

 村の人達と話をして笑って、生活に役立つ事を教えてもらって、一緒に仕事して、今日はこの村に来て一番いい日になった。

 夕食の時間になった。ジンさんの家に戻って夕食を一緒に食べる。旅に出ても毎日夕食には戻ってきて一緒に食べるけど今日は気持ちが違った、この村での最後の夕食のような、なんか変な感じだ。


「ヤタ、明日行くんだろう?」


「はい、と言っても朝も夕食も戻ってくるつもりですけど」


「とは言っても道中何があるかわからん、気を付けろよ」


「わかりました」


「街までは一本道だが距離がある、歩きで1週間ほどだ。盗賊などは出ないが動物や魔物はたまに出る。何かあったら転移で逃げて来い」


「わかりました、街に着いたら中々こっちに来られなくなりますけど、それまで宜しくお願いします」


「わかってる、俺もヤタとの夕食は楽しみにしてるからな。街に行ってもたまには帰ってこいよ」


「はい、生活の基盤が出来たらお土産持ってご飯食べに来ます」


「楽しみにしてるよ」


「楽しみにしてて下さい」


 旅の話と後はいつも通りの話をして転移で家に帰った。明日から旅か、転移で帰れるおかげか旅に出るぞみたいな感じが全くしないな。のどが渇いた時の為にコップ位はアイテムボックスに入れとくか。他に一応持っておいた方がいいものあったかな、一度確認しよう。

 エアガン2丁

 包丁

 安全靴

 BB弾

 スマホ

 コップ

 今までこれだけでやってきたから、このままでいいかな必要な物はその都度足していこう。

 明日の準備は済んだから風呂入って寝よう。

読んでくれてありがとうございます。

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