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姉かわ  作者: 春波流音
第一話『ここから悲劇は始まった』
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第一話5『俺と蓮宮と死神』

 ヤバイ全然眠れない。


 既に時計は4時を指していて、カーテンからは明るい日の光が漏れている。

 姉さんから逃げるため那伊家に亡命してきた俺は蓮宮の魅力により一睡も出来ずにいた。これなら公園にでも寝泊まりしていた方がマシだったかもしれない。

 

 まさか、蓮宮と同じ部屋で寝ることがここまで緊張する事だったなんて... 。


 (さて、そろそろ帰らなきゃな)

 

 実は今日は学校があり休みではない。なのに俺は勉強道具や制服などの必需品を家に置いてきてしまった。まぁ、あの時は非常事態だったので仕方がないが。

 

 普通なら忘れたとしても次の日の朝、少し早く出発(いつもの登校の2時間前)して忘れ物を取りに帰れば問題はない。

 しかし、今の俺にはそんな余裕は残されていなかった。家にはあの死神(姉さん)がいるからだ。死神の朝は早い。少し早く出発したぐらいではあの死神から逃げ切ることは出来ない。

 死神が起きる時間は平日が約5時、休日が約6時といった具合だ。

 

 つまり、今出発をすれば死神にバレずに装備を入手(忘れ物)出来るかもしれない。思い立ったが吉日。俺は、すぐさま蓮宮が敷いてくれた布団をたたみ始めた。

 せっかく敷いてもらったのに一睡も出来なかった事を悔やみながら。


 布団をたたみ終えると俺は那伊家に持ち込んだ数少ない荷物を持ち立ち上がった。そして、蓮宮の方を向いて「ありがとう」と呟いた。

 部屋を出てドアを閉めるとき、微かに蓮宮の「頑張れ」って声が聞こえた。


 ...... って、起きていたのか!?


 ということはまさか、俺の呟きを聞いていたのか!?

 マジか、すげぇ恥ずかしい。穴があったら入りたいよ...。

 すぐに蓮宮の部屋に戻って事実を確認しようと思ったが、ミッションに支障が出たらいけないので泣く泣く那伊家を飛び出した。




 自分の家に近づくにつれて足が重くなる。


「くっ。これが死神の威圧か!?」


「俺の装備を取り戻してやる」


「チャンスは奴が寝静まっている今しかない」


 などと独り言を言いながら深夜を歩く俺は端から見れば不審者そのものであろう。しかし、何かを呟かないと自分が保てなくなるほど俺の精神は弱っていた。


 見つかれば物理的死が待っている。怖い。怖すぎる。

 俺は極度の恐怖の中、町を歩いた。


 ついに家の前までたどり着いた俺は深呼吸をした。心臓が鳴り止まない。

 ホントに鳴り止んだら死んでしまうんだけど。


「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫俺ならできる俺ならできる俺ならできる俺ならできる俺ならできる俺ならできる俺ならできる俺ならできる俺ならできる」


 と、自分に言い聞かせるが震えが止まらない。ホント出来ることならそのままUターンして蓮宮の部屋に帰りたい。そして、そのまま永住したい!

 しかし、ここまで来てしまった以上、のこのこ帰るのは間抜けのすることだろう。

 失敗は許されない。


 時刻は4時30分。

 姉さんがいつも何時に起きているかは知らないがこの時間帯は流石にまだ寝ているだろう。


 チャンスは今しかない。


 俺は勇気を振り絞って家のドアを開けた。


 ガチャリ


 そして、ソッと玄関に入ると、、、


「おはよう!」


 そこには満面の笑みを浮かべたかわいい死神ねえさんがカッターナイフを両手に持って立っていた。


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