第三話5『部室』
◇
翌日、あの勧誘紙は掲示板に貼り出されることになった。なんでも
「中途半端な時期に始まる部活なのでしっかりアピールしといた方が良い」
と坂城原先生にオススメされたからとか・・・。
ちなみに坂城原先生は俺たちのクラス、2年5組の担任でもある。
彼の趣味は生徒のネタを掴み弄りまくること。
蓮宮に追筆消してもらって良かったぁぁ!
もし消していなかったら・・・俺が書いた勧誘紙は教室に貼られていただろう。
そして勧誘紙を見たリア充にボコボコにされるか、哀れな目で見られていたことだろう。
ボコボコにされるのは構わないが哀れな目で見られるのは絶対にイヤだ。
危なかった・・・。蓮宮ありがとう!
◇
放課後、俺と蓮宮は二人で第二音楽室へ向かった。
普段音楽の授業等で使われているのは第一音楽室なので実際来たことはなかった俺の最初の印象は・・・・・・。
広い!広すぎる!!
教室の大きさは普段使っている第一音楽室のおよそ1,5倍。第一音楽室の大きさは約三十畳なので四十五畳ぐらいある計算になる。
周りにはグランドピアノはもちろん、巨大なテレビやソファー、更には冷蔵庫、カウンターテーブルまである。
何て快適な空間なんだ・・・・・・。
「─っておかしいだろ!!?」
おかしい!あまりにもおかしすぎる。グランドピアノがあるのは分かる。
テレビも校内放送とかで使うこともあるからギリギリ理解できる。
しかし、ソファーや冷蔵庫、ましてやカウンターテーブルは理解できない。
何でそんなものがあるんだ!?
─って、ン???
よく見ればテレビの横には W○i U が・・・。
グランドピアノの上にはカセットの山が・・・・・。
☆◯◇■◯!━◯□△◎◇%※▼★!!?
驚きを隠せない俺。イヤ、この状況で驚かなかったら仙人か何かだよ。
「ここ、この前まで顧問が使ってた部屋なんだって」
「顧問!?」
そうか。一応部活動だから顧問がいるんだな─って『この前まで使ってた?』
誰だそいつ!学校の音楽室をこんな風にしやがって。もはや先生としての資格0だな・・・・・・。
会ったらしばいておこう。
「うん。顧問は坂城原先せ─」
「アイツか!!!!!」
ばりばり知ってる奴だった。よし、しばこう!
「...って、何であいつが顧問になったんだ?」
「始めはやる気0だったんだけど部室が第二音楽室って聞いた瞬間『俺にどうしても顧問を』って理事長に土下座してたよ」
「カッコ悪!!?」
しかし、この状況が理解できた。
やはり奴が音楽室をこんな風にしたことは間違いないだろう。だが、奴にとっては音楽室を使う部員は邪魔で仕方ないはずだ。だから蓮宮に勧誘紙を貼ることを勧めたことには理由があるはずだ。
そして、その理由とは俺たちにこの部室を使わせ、そこに奴が理事長を連れてくることでこの部屋の現状を全て俺たちのせいにするっていう戦法に違いない。
と、そのときだった。
─ドンドン。
扉が叩かれた。
「どうやら入部希望者が来たようだな」
そう言って俺は立ち上がり扉を開けた。
そこにいたのは1人の男子生徒だった。
「やぁ。楽斗くん」
その男子生徒 大野 は笑みを浮かべ─。
「お断りだ!」
ドゴォ。
ピシャン!
ガチャリ。
俺は反射的に大野の顔面に本気のグーを食らわせ即座に扉を閉め鍵を掛けた。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ」
「・・・・・・楽斗、大変だね」
あろうことか、蓮宮に本気で同情された。




