僕が知らない僕の物語
あらすじは遊びに来ていた友達に書いてもらいました。
小さい頃から病気で体が弱かった僕の世界は窓が一つしかないこの病室が全てだった。大人になることは叶わないと理解していたためか、僕の性格は曲がっていた。感情を表に出さないようにして、人と極力関わらないようにしていた。
しかしそんな僕にも、かろうじて友達と呼べる子がいた。彼女も病気で、いかにも病弱そうな白い肌と細い体が証明している。
彼女は毎日毎日僕の病室へ来た。その度「晩ご飯何が食べたい?」だとか「将来何になりたい?」だとか何度も、僕と会話しようと君は会話の種をまいた。でも、それが芽吹く事はなかった。僕には関係ない。いつ死んだっておかしくないのに数秒でも未来の事を考えたくなかった。
ある日、僕は君の事を叩いた。それは彼女が僕を見て「さびしい?」と言ったからだった。いつものようなくだらない種なら確実に、無視して芽吹くことすら許さなかっただろう。でもこれは別だ。彼女に同情されたような気がして腹が立った。「お前に何がわかる?」頭の中はそれでいっぱいになって、弱い心臓はすぐに破裂しそうになった。感情が入り乱れ、視界は涙でぼやけて見えない。しかし、確かに君は笑顔だった。
夜になっても、初めて見た君の笑顔が脳の裏に張り付いて消えなかった。
昼間に血圧が上がったせいで僕の容体は悪化したらしく、めったに会う機会がない両親が駆けつけてきた。僕の消えそうな命火にしがみついて、守るのに必死すぎて親は僕を、僕自身を見てくれない。それなら僕じゃなくてもいいんじゃないのかな?なんて思う。
両親は隠しきれない重い空気を纏っていて、父は僕が気付いていないとでも思ったのか、子を諭す様に「もうすぐで、退院出来るかもしれない。あと少しの辛抱だ。」といった。
そんな筈ない。僕が生まれた時から決まっていたんだ。この病室で窓の外を眺めながら短い人生をたどる運命だって。……そうか、僕はもうすぐで死ぬんだ。
たまらなく逃げ出したくなった。僕が誰よりも理解していたことなのに。不意に君の笑顔が脳裏をよぎった。あのとき感じた感情は何だろう?苛立ちや悲しみとは違うはっきりしない、今も感じるこの気持ち。
わからない?
そうか、そうなんだ。やっと伝えられる。今君はどこだろう。無性に会いたい、顔が見たい。
その時、胸のあたりが締め付けられたような、なぐられたような鈍痛が走り、息を吸い込むのが難しくなった。今までどうやって息をしていたかも忘れた。
やっと気付いたのに僕は、僕は…。
次の日、君はまた僕の病室へ来た。でももうそこに僕は居なくて、君は泣いた。




