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王を継ぐもの  作者: ジェイソン
王都脱出編
2/25

御嬢様の安息

sideヴィクトリア


ジェイソンに言われた通りの服に着替えると、私は急いで先ほどの庭に向かった。


途中でママにボコボコにされているパパを見つけたが、いつものことなのでスルーしておいた。


外に出ると、先ほどより格段に快適だった。


なるほど、御洒落も大切だがやはり快適性も考えないとダメなんだなぁと痛感した。


今まで服を選ぶのをすべてジェイソンに任せていたツケが回って来た。


メイドから借りたファッション雑誌『愛されガールのフワフワファッション!』の記事を読まなければ私は今でもジェイソンに服を任せていただろう。


アレのおかげで服に興味を持ち、メイドと一緒にお忍びで買いに行き、その服を着た私を見たジェイソンがべた褒めしてくれる、ということがあったおかげで自分の服は自分で選ぶ習慣がついた。


まぁ、今日のように失敗してしまうことも多くあるのだが。


庭に戻ると、ジェイソンは私が出る前と変わらず庭いじりを続けていた。


「来たぞ、君」


「御嬢様、大変よくお似合いですよ」


「うん」


今度は褒めてくれた。


私はジェイソンに手を差し出して、つないでもらう。


「それでは行きましょうか、御嬢様」


「うん!」





街を回るのは1週間ぶりだ。


私はお気に入りの定食屋に入り、店主であるオッサンの料理に舌鼓を打つ。


城の料理人のも美味しいのだが、オッサンの料理はガッツがある。


そのあと御菓子屋やパン屋などを回ってこのあと1週間分のおやつを買い込み、広場で芸人がやっている大道芸に驚き、魔法ショーに歓声を上げた。


そして服屋さんに行き、ジェイソンと一緒に服をいくつか買った。


久しぶりの休日の仕上げは、2人でのディナーだった。


綺麗なレストランで、ジェイソンと色々な話をした。


パパについて色々聞かれたので正直に答えたら、おかしそうに笑われてしまった。


美味しい食事と楽しいおしゃべり。


とても幸せな休日は、お城に戻るとおしまいだ。


これから1週間はまた勉強に訓練の日々が始まる。






次の日の朝から、私の訓練の日々が始まった。


まずは機神に関する講義だった。


「機神、というのは巨大な人型魔導兵器のこと。


開発者はお父様とメビウス将軍。


これを動かすためには膨大な魔力が要求されるが、その分破壊力は既存の兵器を遥かに上回る」


「はい。いい答えですね」


機神について、という曖昧な質問への私の解答は及第点だった。


「機神は15メートルもある巨大な兵器です。


機神を動かすために要求される魔力量を満たす人間はあまり多くありません。


満たすことができた人は軍か聖堂教会付騎士か、もしく国王直属の衛兵となりますね。


機神を動かせるパイロットが高給取りなのはこういう理由があります」


「ジェイソンもパイロットなんだろう?お父様が言っていた」


「えぇ、昔は私も機神に乗っていました。今はまったく乗っていませんがね。


さて、機神の持つ武器は2種類に分けられます。何かわかりますか?」


「実弾兵器と魔力兵器だろ?」


「えぇ、その通りです。実弾兵器は少ない魔力量で使用できますので、操縦に全力を割くことができます。


たとえば私などは魔力量がそこまで多くないので、実弾兵器のみの機体に乗っていました」


「魔力兵器の利点は何なんだ?」


「威力が大きく、追尾弾や範囲攻撃などの特殊な攻撃ができる点ですね。弱点としては消費魔力が大きいため、連発で使えば魔力切れを起こして動けなくなります」


「なるほど。バランスよく使うことが大切なのか」


「それは搭乗者によりますね。例えば聖堂教会の聖女、リゼ様は重量機体に魔力兵器を積みまくった超火力機体ですし」


私は、たまにおしゃべりをするリゼのことを思い出す。


銀髪で小さなあの子が、そんな機体を操っているとは想像しにくかった。


「王様も魔力兵器オンリーですね。王様は『能力』でかなりの魔力を持っているからなのですが」


「『能力』か」


「『能力』は一部の搭乗者が持っている固有の特殊能力のことを言います。これは生まれつきのものですね。


王様の能力は無尽蔵の魔力、将軍メビウスの能力は人力レーダーなど様々です」


「私の『能力』は何だ?」


「御嬢様の能力は王様と同じでしょうね。『能力』は親から受け継がれることが多いのです。国王様が亡くなった時、継承することになるでしょう」


「そうか……」


ならば私が『能力』を持つことになるのはずっと先のことになるだろう。


「機神はそれぞれ、搭乗者専用に作られたものです。他の機体に乗ることもできますが、乗りこなすのは難しいでしょうね。


ちなみに人型と言っていますが、人の形をとっていないものもいます。


アーリアの機神は足が4本ありますし、ガーディアンのは機竜という、完全に人からかけ離れた機体です」


ちなみに私の機体は中量2脚。一般的な機体だ。


それから私は火器管制システムについてや、様々な状況を想定してのシミュレーションなどを復習して、午後からの実習に備えた。


アーリアの機体はいわゆる4脚。

次回、機神が動きます。

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