「ダンシングチェーンソー」by名無し
今日はジェシカの家でホームパーティ。ジョンはとっておきのおめかしをして耕耘機に乗り込んだ。
「今日こそはキャサリンをゲットだぜ!」
ハンドルを握る手に自然と力がこもる。ジョンの耕耘機はあぜ道を耕しながらジェシカの家に向かって出発した。
どこまでも広がる大地を進む耕耘機からタイヤが一つ取れた頃、ジョンはジェシカの家に到着した。ジェシカの家の庭では、すでに大勢の人が鍬を片手に地面を穿り返している。もうすでにパーティは始まっていた。
タイヤの取れた耕耘機で蛇行運転しながらジェシカの家の敷地を耕していたジョンの元に、パーティの主催者であるジェシカが走って近づいてきた。
「ハーイ、ジョン。今日は来てくれてありがぶぢゅび」
ジェシカはジョンの耕耘機に巻き込まれてミンチになった。肥沃な大地にジェシカの血と肉が吸い込まれていく。パーティはいきなりクライマックスだ。
テキーラを静脈注射したようなデタラメ走行の挙句、横倒しになった耕耘機から放り出されたジョンは、キャサリンの前に頭から着地した。
「ハイ、キャサリン。機嫌はどうだい?」
「ジョン、今日は最高よ!」
キャサリンは倒れているジョンの頭に鍬を振り下ろしながら、恍惚とした表情で答えた。
ミンチが追加されて盛り上がるパーティ。いよいよダンシングチェーンソーのコーナーだ。
「さあみんな! チェーンソーをたくさん準備してきたよ! レッツ、ダンシン!」
ジェシカの関係者と思われる人物が、ダンプの荷台にチェーンソーを満載したままパーティ会場に突入してきた。ダンプは3人轢いて5人潰した後、転がっていたジョンの耕耘機にぶつかって横転、そのまま派手に炎上した。
パーティの客たちは歓声を上げながら炎に包まれたダンプに群がり、チェーンソーを手にとった。そこかしこからチェーンソーのエンジンが目を覚ます音がする。
炎に包まれたパーティの客が、魂の振動で唸りを上げるチェーンソーを振り上げた時、燃え盛る炎がガソリンタンクに引火してダンプ大爆発。チェーンソーと人間は部品と手足を撒き散らしながら宙に舞った。
「とっても……きれい」
ダンプに胴体を潰されたキャサリンが、迫り来る炎を前に血の塊と共に声を吐き出す。
血と肉を大地は飽く事無く取り込みつづけた。炎は全てを灰にして、さらに大地は肥沃になる。
来年も豊作だ。