第一章
学校に着くなり、「はい。じゃあ君はこの教室に入って。」と指されたのは1-3と書かれた教室。
教室の扉を開けるとそこは静寂に包まれていた。
みんな、緊張しているのだろうか?
誰一人として話をしていなかった。
それからしばらくして、教師が教室に来て私達は体育館へと向かった。
「えー。新入生の諸君。今日は本当におめでとう。えー」そんなありきたりな挨拶で始まった入学式。
私はあくびをしていた。
校歌を歌ったり、国歌を歌った後、新入生代表の挨拶が始まった。
どうやら入学試験で一番だった人が挨拶をするようだ。
そこには、背の高い男の子が居た。
なかなか手も足も長く、顔は見えないが恐らくイケメンなのだろう。
女の子達が騒いでいる。
男の子は一礼の後、挨拶を始めた。
「えっと。これなんて読むの?せんせー!ヘルプ!読めないよ?わかんない。俺には無理だぁ。フリガナくらいしておいてよ。もう。いいよ。面倒だし。とりあえず、頑張るんでよろしく☆それだけっ!」
生徒も教師も驚いている。
そりゃあ、学年トップがアレだとは。
ありえません。
教師は慌ててフォローに入った。
「今日は、挨拶の予定をしていた生徒が休みだったので、1-3の白垣日向くんにしてもらいました。急な大役で、緊張していたのでしょう。ありがとうございました。」と言った。
一人の教師が慌ててマイクでそう告げた。
私は(さっき、あんな感じの人居なかったよね?)などとぼんやり考えていた。
体育館の、あちこちで笑い声が聞こえる。
そんなこんなで、私の高校の入学式は終わった。