第十七章
「みんな・・・。ありがとう。私ね・・・・オタクなの。アニメもラノベも漫画もゲームも大好きなんだ。オタクって知られたら嫌われちゃうかもしれない・・。そう思うといい出せなくて。怖くて・・・・。」
私ははっきりとみんなに告げた。
(みんな、信頼できると思う。でも、やっぱり不安だ。みんなの顔は見られない。)私がうつむいていると。
「なーんだ。そんなことかよ。」日向はお腹を抱えて笑っている。
「由佳。そんなことで悩んでたの?言ったでしょう?私もオタクだって。」柚がにっこりと微笑んでくれた。
「怖かったの。」私はあふれてきた涙を拭きながら言った。
「どうして?私たち、そんなことで由佳を避けたり嫌ったりしない。」理亜は私の背中をさすりながらそう言ってくれた。
「てかさ。直人みたいな変人でも馴染めてるのに、あんたが馴染めないわけ無いだろ。」大空もそういってくれた。
「私ね。中学の頃、オタクだからって周りの人に変な目で見られて避けられて。友達だった子も私から離れてった。私は一人になったの。ずっと寂しかった。みんなみたいな優しい人たちに出会えて・・・。私、今幸せなの。嬉しいの。ありがとう。こんな素敵な部活に誘ってくれて。」私がそうお礼を言うと、みんなは私に優しく微笑んでくれた。
「由佳。きっと中学の時の奴らは本当の友達じゃない。本当の友達だったらありのままの由佳を受け入れてくれるはずだ。でも、違ったんだろ?じゃあ、そいつらはそういう奴らなんだよ。でも、もう由佳にはありのままの自分を受け入れてくれる仲間がいるんだ。もう、本当のなにも取り繕わない自分でいて良いんだ。これから、卒業まで一緒に楽しい思い出。沢山つくろうじゃないか!なっ。」日向はそういうと私に手を差し伸べた。
「はいっ。握手!」
私は「ありがと。」そういって日向の手を握り返した。
日向の手は大きくて、暖かかった。
「じゃあ。改めて歓迎会。いらっしゃい由佳!」
柚はそう言って鞄をあさり、沢山のお菓子を出した。
(そんなに隠し持ってたの?もはや、柚の鞄に四次元性を感じる・・。)
「さっ。たべよー。」柚がお菓子を開けた。
「世界征服はー?しないのー?」直人が聞いた。
「それはまた、今度ね。いただきっ」柚がポッキーをくわえながら答えた。
「しゃーないな。よし。お菓子くうぞー!」そういいながら、直人はお菓子を食べた。
「みんなで、ポッキーゲームしよっ!」日向がそう提案した。
「えーやだよ。きもいし。」理亜がそういうと、日向は「ちっ!」と言い大人しくポッキーを食べた。
「おいしいねー」私は言った。
「そだねー」柚が言う。
こんな感じで、私の歓迎会は日が暮れるまで続いた。
私にとってすごく楽しい時間だった。
これからもこんな事が出来ると思うと、私は嬉しい。
(こんな場所へ連れてきてくれて、ありがとう。)