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遊ぶ金欲しさに……

遊ぶ金欲しさに、新太に手を上げた少年。くだらない理由での犯罪は後をたたない。

 ただ、遊ぶ金が欲しかった。

 そのような理由で他人を傷付ける若者の犯罪は後をたたない。

 所詮遊び。しかし、遊びがなければつまらない。

 少年達は、殺那的な快楽を求め、汚れてゆく。


「どうしてこんなことを……」

 新太(しんた)は肩を押さえうめいた。目の前にいる少年をみつめる。

 嘆かわしい。たかだか小銭が欲しいだけで、こんなにも人間は凶暴になれるのか。

「金が、欲しかったんだよ」

 気弱そうな少年は、わなわなと唇を震わせている。

「何も、こんな真似しなくても」

「働けない僕が金を手に入れるには、これしかないんだ!」

 少年が憐れに思えた。労働などしなくても、親に庇護してもらえる年頃は、なんとも楽だ。

 たとえ金がなくても、ひと月以上の休みがある学生になど、大人は戻りたくても戻れない。

 子供達は、可哀想なことにそれが金に変えがたい時代だということに気が付かないのだ。

 金がすべてではない。だが、すべてを覆す力がある。金に囚われ、堕落していく人間は多い。新太もそれを知っているから、少年にはそうなって欲しくない。

「金に縛られる人生など、つまらないぞ。そんなことより、大事なことがあるだろう?」

 ゆっくりした口調で諭すと、少年は目を潤ませた。

「ご、ごめんなさい」

 少年は、ぺたんと床に座りこんだ。手から小銭がこぼれる。

「値上げも検討するから、一日中肩たたきするのはやめてくれよ。父さんの肩がやられる」

「うん……」

 小学一年生の息子は、めそめそ涙を流した。それを拭う手は、赤く腫れていた。




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