神経質な生き方
真面目に生きても、損をするだけ。
もっと気楽に、不真面目に生きようと決意したアラサー女の決意とは。
世の中間違っている。
アラサーだし、彼氏いないし、おしゃれ苦手だし、友達もあまりいない。ゼロではないけど。
そんな私も、仕事は真面目にやっている。迷惑をかけないよう、地味ながらも生きてきた。
そのせいで。
神経性胃炎を発症、まともに食事もできず、フラフラしながら一人で病院へ。つきそってくれる人もおらず、風呂にも入っていない汚い格好で待たされるみじめさ。
とりあえず、と薬を出されて、また一人暮らしの部屋に帰る。
「もう少し、肩の力を抜いて生きてみたら?」
数少ない親友が、お見舞いに来てそう言った。
そう、真面目に生きるだけ損なのだ。適当に、不真面目に生きてる人間が得をする世の中なら、それに迎合していけばよい。
体調がよくなり、私は変わる決意をした。
生まれて初めて髪を染め、分刻みに決まった時間に寝ることもやめた。
(23時15分に眠ると朝起きやすい気がして、厳守していた)
職場には始業26分前について、タブレットで新聞をチェックしながらコーヒーを飲むこともやめた。時事なんか知った所で、彼氏も友達も出来ない。
電車だって、いつもと違う時間、違う車両に乗る。
それから………………。
「がさつに生きようと、真面目に取り組んでどうするの」
また、胃炎で寝込んでしまった。再びお見舞いにきてくれた親友は飽きれ顔。
「自分らしく生きるのが、一番楽なんじゃないの?」
自分らしく、ってなんだろう?
私はぼんやりと、しかし真面目に考え始めてしまった。
了