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難関・面接試験

コバルト・ベストショートショート掲載作品。

「それでは、自己アピールをどうぞ」

 試験官に言われ、(すすむ)ははきはきと答えた。

「私は、中学から大学まで陸上部におりました。得意なのは、短距離です。大学のゼミでは研究を進め、学会に発表をしたこともあります。好奇心は旺盛で、何事も積極的に取り組みます」

 試験官の視線は、進の顔と書類を往復させる。ふぅむ、とうなる。

「では、昔からクラスの中心だった、ということは多いですか」

「そうですね、何度かクラス委員長もやりました」

 進は自信満々に答えた。進はいつだって、目立つ存在だった。


「また落ちた……」

 大学の学食では、不採用通知を受け取った進が落ち込んでいた。周りには、男女問わず大勢の友達。進の周りには、いつも人が集まる。

「またぁ? 進なら一番に内定が出ると思ったのに」

 ねぇ、と皆うなずく。

「理由はなんだろうな」

「さあ。不採用通知には、わざわざ書いてないから」

 なげやりな進の口調に、周りもどうしていいか分からない。

 明朗快活で、一流大学での成績も首席の進ならば、どんな有名企業だって欲しいだろう。おしゃべりは上手だし、誰からも好かれるような、清潔感ある整った顔をしている。それなのに――。誰もが首を捻る。


 自宅につくと、企業から封筒が届いていた。多分また不採用だろうな、という予感の元、封を切る。

「やっぱり」

 目に入ったのは『不採用』の文字。しかし、いつもと違い手書きのメモが書き添えられていた。

『貴方は人間的にはとても素晴らしく、我々としても採用したかったのですが、なにぶん、部署が部署。貴方のように目立つ方ならば、営業部で活躍していただきたいのです。気が変わりましたら、御連絡下さい。

 ○×忍者商会 忍部育成科』


 幼きころの夢を叶える為には、今までの自分を否定しなければいけない。滑り止めで受け、内定をもらった広告代理店に勤めるしかないのか……。

 進はため息をついた。



  了


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