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全国大会への道と未完成の約束


関西ブロック予選優勝の日から一ヶ月後、東京体育馆の屋根が冬の空にそびえ立つ。

全日本ジュニア選手権本戦の開催日——珏は俊介、金塑龍と共に新幹線で東京に到着し、大会会場の入り口で「全国大会出場者証」を受け取る。証明書に印刷された「張珏」の名前を指でなぞり、少年は少し緊張して手をふるえる。


「全国の強豪が集まるから、緊張しても当然だ。」俊介がスケートケースを提げ、笑いながら話す。「でも、関西で鍛えた技術を全部見せれば、きっと大丈夫だ。」

金塑龍が眼鏡を推し、ノートを開く。「今回のライバルは北海道の藤井颯太、東京の相沢蓮が最も強い。藤井は3Aを二回入れる構成を持ち、相沢はスケーティングの精度が全国トップレベルだ——彼の滑走は『刃を氷に溶かすよう』と評されている。」

珏は頷き、スマホで翔太から送られたメッセージを見る。「兄さん、母さんが昨日、指を三回動かしたよ! 全国大会の動画、必ず見せるから!」少年が胸ポケットの母の絵を軽く押さえ、柔らかい笑顔を浮かべる。


選手待合室では、既に関西の仲間たちが集まっている。寺岡隼人が青い新しい練習着を着て、「風の谷のナウシカ」の新しい振付を練習する。「カク、俺は滑走に『シルクスケート』を加えたんだ! 金さんが『絹のように抵抗の少ない滑走』だって言ってた。」少年は興奮して足を踏みながら、軽やかなステップを繰り返す。

石黒蓮が緊張しながらも、3Sの単跳を安定して決める。「珏くん、全国大会でも一緒に頑張ろう!」少年は前髪を掻き上げ、少し自信を持った表情を見せる。


橘健太が最後に到着する。黒いコートの襟を立て、陳竹コーチに従ってすぐに基礎滑行を始める。「昨日の練習で3Lz+3Tがすごく綺麗に入った。コーチに『GOE+3~+4級の質だ』って言われた。」橘は氷を軽く足踏みした後、珏の方向を見る。「俺の父は元フィギュア選手で、シニア大会に一回も出れなかった…だから、張には絶対に負けたくないんだ。」少年の目には「負けられない」という光が宿る。


午後の公式練習が始まる。

東京のリンクは整氷温度の違いで、刃が沈みにくくなる——関西より硬い氷面に、珏は最初に3A+3Tを試すが、助走のスピードが速すぎて着地時に足元を滑らせ、軸がぶれる。「あれ…」金塑龍が場辺で指導する。「最後のステップを一拍だけゆっくり踏めば、軸が立つ。刃を深く切る力も調整しろ。」

再挑戦すると、3Aが空に優雅な弧を描き、着地時にエッジを深く切って滑り出す。「いい跳び!」俊介が録画を撮る手を振る。


隣で藤井颯太が3Aを二回連続で決める。北海道の選手は高いジャンプ力で場内の注目を集め、「全国でもトップ3のジャンプだ!」と場辺から歓声が起こる。「張珏くん、関西での活躍を見ました。」藤井が声をかけると、珏は笑顔で応える。「藤井さんも、すごいです!」


その瞬間、相沢蓮が氷上を滑り抜ける。銀色の練習着の選手は、刃を氷に浅く切るような滑走で場内を回り、ピラウェット旋回の精度が驚くほど高い。「相沢さん!」珏が声をかけると、相沢は礼貌的に頷き、「張くんも頑張って」と短く応える。

「彼のスケーティングは本当に全国トップだ。」金塑龍が小声で分析する。「君はジャンプで差をつけるしかない。」


夕暮れになると、大会事務局が「明日のショートプログラム抽選」の通知をする。珏は「第二グループ、四位出場」を引き、橘は「第二グループ、一位」、藤井は「第一グループ、三位」——再び橘と同じグループになり、最初に出場する橘がプレッシャーをかけてくる形になった。


帰る新幹線の中で、珏はスマホで母の動画を見る。翔太が撮った映像では、母が絵に指を当て、ゆっくりと動かす。「母さん、明日も見ていて。」少年が小声に呟き、金塑龍が編んだ新しいスピンの順番をメモに書く。


俊介が缶コーヒーを渡す。「明日は、君の物語を氷上に届ければいい。」

珏はコーヒーを啜り、胸の中で約束を誓う——全国大会で勝ち、母の目の前で滑るために。


東京の街灯が窓の外を流れ、少年の目には明日の戦いへの決意が輝く。


読んでくれてありがとう!

もし珏の全国大会初挑戦とライバルたちの物語が気になったら、ブックマーク&高評価で応援してくれると超嬉しいです

明日のショートプログラムの展開もお楽しみに!

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